Pan American Championship 参戦リポート


 

 

Pan American Championship CEI****2003に参加して

  この1年の私の大きな目標であったPAC終わりました。去年のTEVISとほぼ同じ時点87マイルでまたもや跛行失権という結果でした。この大会に出るまでに私は、Houstonに自分のエンデュランスの拠点を移し、1年かけて660マイル(約1000km:失権したレースは含まない)、レース数にして13レース(うち2回は失権)を走り、今年3月にTexas Glasslands CEI***で6位とBCを獲得し、やっとそのチャンスをつかんでいたのでした。このうち8レースは今回も騎乗したDJB Wersus号とのコンビで彼とともにこのPACの完走を目指していたのですが、残念な結果となってしまいました。特に彼とは相性もよく、レース中腹痛を起こしても失権はしたことがなかったのにです。

 今回のPACの舞台はワシントン州はTrout Lake周辺。キャンプ地は水も電気も何もない場所で馬用はともかく人間用の水食料などすべて自分たちで調達しなければなりません。(これはアメリカで行われるエンデュランス大会すべてにおいてそうで、当然のことながら馬房なんてものはなく自分たちで作ります。これはこっちではごく普通のことです。)

 コースはMt. Adamsの麓周辺、標高約1000メートル地点における(トータル高低差は2000メートル)でのマウンテンコースです。合計6ループからなり、前半3ループが20−21マイル。後半3ループが11−15マイルで、特に前半のコースが急なのぼりとくだりが入り混じった馬の足の負担が最もかかるようなコースになっていました。コース上には最初のループ以外は人が立っておらず、基本的にはリボンの色を目印に進まなければなりません。ただ、コースが入り組んでいたのと、ほかのリボンが交差しているのとで私も何度か道に迷いましたし、多くのライダーもコースを見失っていたようです。このマウンテンコースはテキサスから来た私たちとってはとてもハードなコースだったように思います。さらに、気温の変化も激しく夜は真冬。昼は夏になり、テキサスと比べて涼しく湿気がないものの、朝方や夜はVet checkに入るとすぐに馬体を暖めてやらないと筋肉が収縮し、それによる失権が出るようなところでした。その結果、テキサスを含むUSA Central Teamは12人中4人しか完走できず、89人中50人完走した全体の成績から比べるとかなり悪いといえます。

大会は
International7カ国(個人参加のみ)とアメリカ(5チーム)カナダ(2チーム)の89人がスタートしました。前日の獣医検査ではテキサスから一緒に行った仲間の一人ルーマニアの女の子の馬がbacksoreのため失格となり急遽予備馬で出場するハプニングもありました。今回のレースはCEI****にあたり、FEI審判員の厳格な審査の元で行われたように思います。実際私が跛行したときも、一人の獣医がおかしいと判断し、次に3人の獣医が現れ、結果はそれぞれスチュワートに知らせ、私たちはスチュワートから結果を聞かされるというもので途中で一言もしゃべらずに行われていました。実際このときは私たちの目から見てもあやしかったのですが、疲れてこわばっているのか跛行によるものなのかを判断するにはあの不整地では難しかったです。それほどわずかでしたが、私の馬は最終ループには進めませんでした。ほかの馬も馬体に疲れが見える場合、腸の動きが悪い場合はすぐに再検査となり、再検査で失権となる馬も多かったように思います。特に、Metabolicが理由で失権になった馬は12頭。跛行は20頭。私の馬を含め7頭が怪しい歩行や、その他の理由でした。さらに、一箇所だけでしたが全頭に2回のVet checkを課すところもありました。うちの馬たちはキャンプに到着してから鉄(正確にはプラスチック製)をはかせるいつものスタンス。もちろん終わるとすぐに脱がせています。

 レース中はいつもそうですが、馬が水を飲み、ものを食べ。尿や糞をするかどうかに注意をしています。クルーポイントでは基本的に食べたいだけ食べさせます。さらに電解質の補給を必ず行い、腸の動きの悪い場合はprobiというたんぱく質と繊維分の多い液体を与え、体がこわばっているやつかれていると判断された場合カルシウムを与えるといった処置をしています。またマッサージもかかせません。私も今回は合計約10kgのおもりと、さらに思いゼッケンを使いようやく75kg達しています。やはりおもりによる馬体への負担は大きく毎回クルーによる念入りなマッサージが馬に施されます。さらに、今回参加した中の馬にはレース後レース前で血液検査を行い何がどのくらい減ったかを明らかにし、それによって与える電解質を決めるといったことをやっている人もいました。クルーの力が、その馬の勝利・完走に大きくかかわっていることを改めて感じさせられました。実際Top 10に入った馬たちはこの険しいコースをほぼ9時間台で走ってきています。このタイムは平地でのレースでも難しいタイムでこの馬たちとのレベルの差を感じたレースでもありました。また、次の日のBCのための獣医検査で見た彼らの元気な歩行は本当に印象に残りました。さらに、もうひとつ付け加えますと、今回私たちのオーナーの馬がレース後死亡するということも起こりました。彼女の馬は私たちの馬の中でも最も能力に優れた馬だと思います。当然彼女は上位を狙い最初からかなりとばしていたと聞きました。その馬は61マイル地点でやはり高地でのレースと、ハードなコースにより腸の動きが止まり獣医検査で失権となりました。その後、しばらく何も食べず何も飲まずにいたために、大会に設けられている簡易病院で点滴の処置を受けましたが状態は一向に回復しません。失権してから約15時間たってもまったく何も食べません。ついに立てなくなり、ポートランドにある専門医に見せに行くことになったそうです。直検をしても、そこには粘液しかなく、鼻から大量の液体を入れたそうです(なんなのかわかりません)。そして、結局胃もしくは腸が破裂し死にいたったとあとでききました。最初は、こんなことが実際私たちの馬に起こるとは信じられませんでした。やはり、一歩判断を間違えばこんなことが起こってしますのです。私にとっても今後レースを続けていく上でこれは大きな教訓となると思います。

 今大会のオープニングセレモニーでは日の丸を掲げ、さらに君が代の中で馬と一緒の行進となりました。多くの歓声と見知らぬ多くの人たちに声をかけてもらいいい仲間とつながりができたことに本当に感謝しています。また来月にはすぐに100マイルレースがテキサスであります。次に向けてまたがんばって行きたいと思います。

9.17.03  林 加奈子