私的デジモンテーマ考1『進化』

本部長です。
今回は以前掲示板に乗せた進化に関する考察です。以前書いたものをほぼそのまま載せるのはどうかな、とも思いますが、考察を進めていけば以前の考察からの引用・参照が出てくるでしょうから思い切って載せることにしました。


●間違いだらけの進化、あるいは私とデジモンの出会い(笑)

ゲームやアニメ、マンガとかでやたら使われる割にそのほとんどが誤解されている進化という言葉。
字面から少し上質のレベルアップと思われている。
それらに不満を募らせていた私は初めて妹にアドベンチャー無印を見せられた時、「○○モン進化〜!」とパワーアップするデジモンにもやはりうんざりとしたものです。
ところがたまたま飛行機の中で見た劇場版第1作がとても面白く、改めてTVシリーズに関心を持ち、あれよあれよとハマっていきました。
そんな私の私見ですが(こんな観点でデジモン見ている奴なんてメチャクチャ少数派だろうな)、しばしお付き合い下さいませ。


●進化とは?

理系の人にひんしゅく買う事覚悟で大雑把に言ってしまえば、進化とは『生物が新たな形質(姿形や能力)を獲得し環境に適応する事』です。結果生き続け増えていけば、次世代種になったと言えるでしょう。
より進んだ=高度な能力を備えたものに変わる事ではありません。何をもって高度な生物とするかはとても難しく、大抵ある一つの側面で判断する事が多いですね。ゲームなどなら戦闘力とか(これも破壊力・耐久力・知力・反応速度etcと多くの要素が絡む問題ですが・・・)。
ついでに言うと退化は進化の逆ではありません。退化はもとある形質が失われる事です。当然進化の結果として退化が起こることもあるわけです。

『光のない地底で進化したある種のイモリは目が退化している』とか。

デジモンの場合、『カブテリモンの羽による飛行能力はアトラーカブテリモン(青)で失われた(光子郎のパートナーはなんと念力で飛んでいる!)』とか『メガログラウモンでは背面のバーニアによる飛行能力があったが、デュークモンでは失われた(はずだが、あのマントで飛べるって資料もあるな)』、『イッカクモンの生体ミサイルになる角はズドモンではただの角になった』といった具合ですね。


●進化したデジモンが何故元に戻るのか

以下はパートナーデジモンの進化が主な対象です。

前述した通り進化はいい事ばかりではありません。むしろ飛躍的な進化で思わぬ弱点を抱えることもあります(例・水に弱いジャミラ)し、生存に不便な性質を得てしまうこともあります(スカルグレイモンやメギドラモンへの進化は自他共に不幸でしょう)。
特にパートナーデジモンの進化は不利な戦況を挽回するためです。時間をかけた適応ではなく、必要に迫られたとはいえパワーアップとしての不自然な進化です。それは多くの場合、生物としての不利を背負い込むでしょう。この辺をコミカルに描いたのがテイマーズ9話。ギルモンと比較し、グラウモンはその巨体の為にいろいろ困った事になりました。
更にデジモンは食事によるエネルギー補給を行う事から、自身を構成するデータの発現にエネルギーを常時消費していると思われます。完全体や究極体の体を維持するのは成長期より遥かに大きいエネルギーが必要なのでしょう。この辺はテイマーズ31話・49話で描かれています。多大なダメージを受けたアンドロモンとベルゼブモンは、ガードロモンやインプモンに戻る事で一命を取り留めます。進化で得た形質を捨てる事で残存エネルギーでも体の維持が可能な形態をとったのです。
通常はエネルギー消費の少ない形態で生活し、必要に応じてエネルギー消費の大きい戦闘形態をとる、つまり省エネですね。

そしてもう一つ重要なのが、進化していないということは逆に言えば進化の可能性があるということです。
そこには常に新種が誕生する可能性があります。未知の能力を秘めているかもしれないそれはより生態系を豊かにし、世界に刺激を与えます。
更に新たな種が生まれるための刺激を。
どんな生物にもある進化する可能性、それは刻々と変わり行く世界の中で、生物が第一目的である『生きる』為の能力であり権利です。その権利を当面の戦闘を乗り切るためだけに捨ててしまっては、パートナーデジモンは生物以前に兵器になってしまいます。事実アドベンチャーにおいて彼らは『闇の力に抗う』という目的のために集められ、手を加えられているのですから。
戦闘形態から元に戻るのは、それが本来あるべき姿であり、彼らを唯の生物兵器にしないための優しさなのですね。