デジモン大戦:エネミーズ2.1
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照明の押さえられた部屋の中、四人の人影が腰掛け
大型のモニターだけが明るく室内を照らしている。
モニターには氷に閉ざされた大陸と、普段決してその場所には
存在しないもの〜巨大な炎と爆発〜が映し出されている。
人影の一つが、たった今一つの要塞を吹き飛ばし
目の前の光景を作り上げたスイッチをつまらなそうに
テーブルに投げ出すと、代わりに口元の葉巻へと指を添え
煙と共に言葉を吐き出した。
「グロリア・ムンディもここまでか。
やはり子供なんぞに任せたのが間違いだった」
その言葉に別に人影が答える。
「いや、あれはあれで役には立った。UNUFともども
製品の実働テストという意味ではな」
「とはいえ、デ・リーパーシステムはやり過ぎだったのではないですか?
おかげで折角のUNUFも縮小されてしまいましたし。
目先の利益に捕われるのはいかがなものかと」
途端に第2の人影と第3の人影の間に無言の緊張感が走る。
慌てて第4の人影が声をあげた。
「まあまあ、御二人とも。僕らは運命共同体なんですから。
些細な事でケンカは止めておきましょうよ」
第2の人影は忌々しそうに舌をならすと、椅子に深々と座り直した。
「別にケンカなぞする気は無い。
この若造が余計な嫌味を言わなければな」
「嫌味?厳然たる事実を指摘したまでですが」
再び険悪なムードに突入しそうな事態に、第4の人影は立ちあがる。
「ですから御二人とも。これからは僕らはより緊密な協力を保てなければ
全て失うことになるんですよ?」
「確かに。なにしろここからは人任せではなく
我々が直接動かなければならんのだからな」
第1の人影の肯定に第4の人影は頷き、そのまま席を離れると
ワインとグラスを持って戻り、他の人影達の前に置いていった。
「さあさあ、仲直りと僕らの未来の栄光の為に乾杯しましょう」
この言葉に第3の人影は苦笑し、第2の人影は憮然としながらも
グラスを手にとった。
そして第1の人影がグラスを掲げ、乾杯の音頭をとる。
「では、我らの目指す未来、『永遠の戦争』に」
「「「「乾杯」」」」
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◆BIG4〜戦いの扇動者
世界各国に影響力をもつ死の商人の通称で、USAのエレクトリック・エリィ
日本の菱川グループ、EUのガラモンカンパニー、中国の四星重工社の四つの
巨大企業体で構成されています。
前身はE.E、菱川、GCの3社によって構成されていた
トリニティと呼ばれる組織で、その後中国の経済発展と共に急成長した
四星重工社を加えて現在の体勢になりました。
前大戦においてUNUFに対デジモン兵装を提供しつつ
裏でグロリア・ムンディへの資金援助および
ゲノム・コンバーター・システムの技術提供を行なっていました。
グロリア・ムンディがチルドレンズによって壊滅させられたことを受けて
自らの手で現実世界とDWの『永遠の戦争』を実現されるべく画策します。
当然ながらゲノム・コンバーター・システムのオリジナルも彼らが保持しています。
・ブライアン=ソンドハイム
エレクトリック・エリィ代表取締役。男性。44歳。
恰幅の良い体格でやや強持てですが、BIG4のメンバー中では
一番の良識人で、単純に自分達の会社がより利益を上げることを
目標に行動しています。
もっともあくまでも「中では」のただし付きですが。
キューバ産の葉巻を愛用しています。
・辰冲重次郎
菱川グループ会長。男性。71歳。
高齢にもかかわらず非常に矍鑠としており、その風貌は猛禽の類を思わせます。
見事な白髪を肩まで伸ばしており、普段から和装を好みます。
大企業のトップであるとともに軍国主義の生きた亡霊で
新参者の連のことを快く思っていません。
・連雲儀(レン・ウェンイー)
四星重工社総主。男性。21歳。
常に細い目で物静かな笑みをたたえ、一見穏やかな雰囲気ですが
その目の奥の瞳は鋭く、見るものをすくみ上がらせます。
先日代替わりしたばかりの若き経営者ですが各国の華僑や中国の裏世界にも
連大人の名で顔が利きます。
『永遠の戦争』において、他の3名とは別の目論見があるようです。
・ルネ=エルサン
ガラモンカンパニージェネラルマネージャー。男性。26歳。
非常にシンプルな思考の持ち主で、仲間内や自分達にとって
プラス要素となる相手には人当たりがよく気も利きますが
邪魔な相手は躊躇する事も無く排除しようとします。
本人曰く
「人殺しの道具で金を稼いでいる人間が、今更良心の呵責を感じてもしかたないでしょ」
とのことです。もっとも兵器とは使いようによっては人の命を守る
盾となる事も出来るはずなのですが。
・サラセニアン小隊
BIG4直属の非合法実動部隊。BIG4の権益拡大のために
これまでも多くの内外乱に介入し、ある時はそれを鎮め、またある時は
その規模を広げてきました。
今大戦においては『永遠の戦争』実現のため、各自がEデジモンを従え
現実世界とDWに戦乱の火種を撒き散らします。
・マルタ=エクロート
サラセニアン小隊隊長。女性。24歳。
冷徹に隊を統率する苛烈な性格の人物。
その容赦ない戦いぶりから「鬼喰い」の異名で恐れられており
高澄特佐も傭兵時代にまみえたことがあります。
常にサングラスを着用し、笑うという事がありません。
・ロスチンプモン
ウィルス種・完全体・昆虫型。
マルタ=エクロートのEデジモン。
外見はボディラインも露な青黒い体表の人間の女性型で
頭部から鼻の部分にかけて逆さになった女郎蜘蛛が貼りついています。
必殺技は両手から繰り出した無数の糸で相手を絡めとり、そのまま
切断する「縛斬糸」。要は秋せ○らの妖糸(笑)。
・アストラ=ユパンキ
サラセニアン小隊副長。男性。31歳。
マルタの信頼厚い副長で、片腕として常に彼女に寄り添って行動しています。
ゴツい体躯の大男で、一見突撃型のパワーファイターに見えますが
実際は緻密な作戦による計算づくの戦いを好みます。
・ヤガーモン
ウィルス種・完全体・鬼人型。
アストラ=ユパンキのEデジモン。
全長10メートル近い大型のデジモンで、顎の上部より4本の牙が突き出た
鬼人の頭部から直接白骨化した腕が生えています。下顎には
移動用の車輪が生えており、一見怪しげな外装を施された車のようです。
必殺技は巨大な口から発射する強酸弾「ドローンスプリッド」
・吉載淑(キル・ジェスク)
サラセニアン小隊隊員。女性。20歳。
サラセニアン小隊唯一のムードメーカーで、戦場でも妙なテンションで
はしゃぎ回っています。その度にマルタやアストラに睨まれるのですが
それでもめげない根性の人(笑)。
・コーガモン、フーマモン
データ種・完全体・突然変異型。
吉載淑の双子のEデジモン。
忍び装束に身を包んだ忍者の姿ですが、首より上が無く胴体に目が付いています。
2体ともほぼ同一の姿で、コーガモンが右利き、フーマモンは左利きのため
刀などの装備が左右逆なのと、背中に背負った大手裏剣が
コーガモンは八方手裏剣、フーマモンは卍手裏剣という点が違います。
必殺技はそれぞれ背中の大手裏剣を投げつける「蓮華明王」「卍車」。
・ジーン=ショア
サラセニアン小隊隊員。男性。28歳。
全体的にひょろ長く、カマキリのような印象を与えます。
戦いのなかでのみ自分が生きていることを実感できるという
筋金入りバトルマニアで、特にどちらが倒れてもおかしくない
ギリギリの戦いを渇望しています。
・ヌルモン
ワクチン種・究極体・サイボーグ型。
ジーン=ショアのEデジモン。
半透明のクリスタル状の物体が幾つも組み合わさり、立体的な
幾何学模様をなしているデジモンです。その外観からも分かる通り
格闘より遠距離攻撃向きのデジモンで、必殺技はビームを内部で乱反射させ
標的を全方位より狙い撃つ「フラクタルレーザー」。
・ピーター=サラゼン
サラセニアン小隊隊員。男性。19歳。
サラセニアン小隊の新入隊員で、新人として真面目に
仕事をこなそうとしていますがまだまだ経験不足のため
吉の格好のオモチャにされています。
しかし実力的には決して他のメンバーに劣るわけではなく
自身一流の狙撃手でもあります。
・エピデミモン
ウィルス種・究極体・アンデッド型。
外観は人型なのですが、体は緑の外殻に覆われて背中からは幾本もの
管が生えており、基本的に四つんばいで移動するため
不気味な虫のように見えます。生きた化学工場とでもいうべきデジモンで
体内で様々な効力をもつガスを合成し、背中の管から噴射します。
必殺技は各ガスのなかでももっとも強力で、相手を生きたまま
腐らせる「バタリアンプティング」。
・大天球オルフェ
BIG4の作り上げた最強の対デジモン兵装にして、最後の切り札。
直径15kmにも及ぶ巨大な銀色の球体に、金属製のリングが
土星の輪の如くフィンによって繋げられた構造をしています。
武装として球体部分に108個の砲門が内蔵されており
その火力もすさまじいですが、もっとも恐るべき機能は
かつてケルビモンが創りだしたデジモンを幼年期にまで
退化させるフィールドを展開できる点です。
これによりほとんどのデジモンは、まともに接近すれば
殲滅させられてしまいます。
一見鉄壁の防御システムですが、ケルビモンの力をもはねのけた
奇跡&運命のデジメンタルによるマグナモン&ラピッドモン
特殊な方法によって幼年期を通らず生み出された
アルケニモン&マミーモン、BWグレイモンなら接近することが可能です。
ちなみに元ネタは某Gロボのアレ。よってパリの地下から出現して
上海に向けて進撃する可能性大(笑)。すると操縦者はルネか。