パイルドラモンとディノビーモン

本部長です。

パイルドラモンとディノビーモン。
エクスブイモンとスティングモンのジョグレス体。
しかし他のジョグレス体と異なり、(変形激しいものの)各部にここまで原型が残っているデジモンはそういません。
結果、同じデータを持ちながらもまるで異なる姿を持つ2体です。
 
 
今回は携帯ゲーム『D−3』を中心に、この奇妙な双子を少し掘り下げてみましょう。
 
 
 
■ジョグレス
ジョイントとプログレスの合成語であるジョグレス。
言うまでも無く、2体のデジモンが互いに融合することで上位の進化段階のデジモン1体となる進化です。

さてそのジョグレスですが、これは細胞融合による異種交配に他なりません。
その為遺伝情報つまりデジコアの内在データはシャッフルされ、原型の2体とは異なる種になります。時折一方のデータが優性となって他方を取り込む≒ロードすることでより高度な種となる(『D−3』におけるエンジェモン×アンキロモン→ホーリーエンジェモン、といったケースです)こともありますが、少なくとも発現因子の変更により新規のパーツが形成されて外見的には異なる姿になります。
ところが唯一といっていいでしょう、各パーツがほぼ原型を留めているジョグレス進化体(?)がいます。

スサノオモンです。
 
 
 
■スサノオモン
スサノオモンは頭部以外(兜のくわがたというか、額飾りはカイゼルグレイモンの腰の後ろにあります(笑))ほぼ全てカイゼルグレイモンとマグナガルルモンのパーツで構成されています。
鎧のような外見故、パーツ交換したようにしか見えません(まるっきり聖○ですね(笑))が、あれでもれっきとした生物。
動物、特に人間ならフラ○ケ○シュタイ○の怪物、植物なら接木といったところでしょう。
〜の怪物はさておき、この接木という表現はあながち的外れなものではないのではないでしょうか?
地上にトマトの実がなり、地中にジャガイモができるキメラ植物・ポマトは細胞融合以外にも前述の接木で作れます(ポマトは本来細胞融合で作った新品種に付けられた名称ですが)。逆に言えば接木のように各個体の特徴的な形質を組み合わせた新個体を(遺伝子操作ではなく)細胞融合で作ることもできるのです。
接木は基本的に同種間で行われます。例に挙げたジャガイモもトマトも共にナス科の植物です。

つまり同種間での融合ならば、(身体の基本設計は共通していますから)身体構造に破綻をきたすことなく二重に存在する形質の選択(どちらの足を使うか、とか)のみで原型を残した新個体が作れます。
品種改良の基本、有性生殖による交配とほぼ同じですね。

スサノオモンの形態も元の2体が同種(複数のスピリットによるハイブリッド体超越形態。アニメ的には人間が素体という非常に明確な共通性があります)であったことによるのではないでしょうか。
カイゼルグレイモンとマグナガルルモンはそれぞれ竜戦士型・サイボーグ型であっても、本質的には同じ存在。それ故スサノオモン各部ではそれぞれの発現形質が混じることなく、ああいった姿になったのではないでしょうか(重複データの整理からでしょう、全然違う箇所に移動し新たな機能を持ったパーツもあります。その最たるものが半ば独立した生命体であるZEROアームズ・オロチでしょう。なぜZEROアームズなのかはナゾですが(笑))。
 
 
 
■フレイドラモンとシェイドラモン
パイルドラモン・ディノビーモンの原型であるエクスブイモン・スティングモンの進化系にも注目すべき種がいます。

エクスブイモンの成長期ブイモンのアーマー体・フレイドラモンとスティングモンの成長期ワームモンのアーマー体・シェイドラモンです。

両者は「勇気のデジメンタル」によるアーマー体であり、共に成熟期=エクスブイモン・スティングモンの特徴が引き出された姿なのですが、前者はデジメンタルの相性が最高であったため、後者は相性が悪く逆作用してしまったための形態です。
そのせいか、シェイドラモンは性格まで凶暴になっています。

この点から両者は「勇気」に対して逆の反応を示す行動アルゴリズム=心理データと、同じ反応を示す身体構成データを持つのではないでしょうか。
(ディノビーモンの凶暴性もスティングモンのワームモン因子に対しエクスブイモンのブイモン因子が作用した結果だという仮説も成り立ちそうですね)

もちろんこれは1例に過ぎず、他のアーマー体にはあまり共通点は見られません。
ですが成熟期の特徴を示すアーマー体はこの2体だけ。しかもそれが同一のデジメンタルの作用によるのですから、少なくともブイモンとワームモンは共通する因子を持ち、共通のルーツを持つ種であると言うことは可能でしょう。
 
 
 
■パイルドラモンとディノビーモン
さて、冒頭に上げたようにパイルドラモンとディノビーモンが共に原型を強く残しているのは何故か。
前述の2例から1つの仮説が導かれます。

エクスブイモンとスティングモンは外見・種族に関わらず、本質的に同じ種であるということ。

ジョグレス前の個体が同種だからこそ、ジョグレス後の身体各部は多少の混乱見られるものの概ね原型を止めており、それ故にまるで異なる外見を持つのです。
そしてそれはブイモンとワームモンもまた同じ種である可能性を導き出します。
 
 
 
■ ブイモンとワームモン
設定によると、ブイモンは古代種の生き残り、つまり古代種そのものです。
対して、ワームモンは古代種の末裔。
ブイモンよりもワームモンの方が新しく若い種だと言えます。

私個人はブイモンとワームモンは共通の祖先から枝分かれした派生種ではなく、ブイモンからワームモンが派生したと考えています。
正確にはブイモンがスティングモンの原型種というべき成熟期に進化し、それが残したデジタマからワームモンが(幼年期を経て)誕生した、といった流れでしょうね。

こう考えてみるとスティングモンの「人型をしている昆虫型」という形質は「人間じみた体型だけど幻竜型」エクスブイモンの形質が更に進んだもの、といえそうですね。
そしてそれはそもそも「古代に存在した究極のデジモン」インペリアルドラモンファイターモードに由来しているのでは…(それならそれで昆虫人型でもいいのでは、とも思いますが…)。

ワームモンこそ、生存に特化した機械的身体構造=昆虫の形態を選択し、現代まで生き残ったブイモンの末裔。ドラモンの血脈に連なるもの。

ワーム(Worm)もまた、竜を意味する単語なのですから。
 
 
 
■そんなわけで
個人的には最終的にマグナモンに至るXデジモン・ファンビーモンはサイボーグ型やマシーン型が多いスクルドターミナルに適応したワームモン系デジモンだと思っています。
 
 
 
パイルドラモンとディノビーモン。
私が彼らに惹かれたのは、その背景にどんな姿になろうとも生きて生きて生き抜こうとする生命力を(勝手に)見ているからかもしれません。

それともその姿が同様に竜・昆虫・人をモチーフにしているア○トとギ○スの関係についてあれこれ想像していたときを思い出させるからでしょうか(笑)。

本部長でした。