『メガ(ギガ)デス』〜デジモン必殺技解釈1

本部長です。
 
 
今回はデジモンの必殺技が一体どのような技なのか、掘り下げてみました。
もちろんデジタルワールドにおいて、各々の技の具体性など設定だけ、もっと言ってしまえば言葉だけに等しいものです。
こういった傾向はデジモンに限らず、多くのコミックやアニメ、ゲームでも見られます。ビジュアル的なイメージははっきりしていても具体的に何がどうなってどうなるのかはおざなり(人間いかに視覚に頼っているかということですね。人外の存在や超常現象を扱う割りに想像力が欠けているかのような描写が目立ちます)。

個人的には正直、味気ない。

この考察というより私的解釈は以上を踏まえた、ほとんど無意味な設定遊びです(笑)。
物足りなさを補完したSF解釈(科学解釈ではない点に注意! 真面目に科学的考察をしたらほとんどの技が在り得ないの一言です!)。
超常現象の背後にはそれなりの、もっともらしい(前述しましたがウソでもいいんです! ウソついてる自覚があり、欲を言えば1つのウソをつくのに10の真実を並べれば!)理屈を要するというSFのルールがあるだけ。
そんなわけで軽くお付き合い下さい。
なお当然と言えば当然ですが、デジタルワールドよりも現実世界を舞台にした解釈が中心です。

第一回は通常掲示板でも書きましたが、ある意味もっともSF色の強い必殺技・インペリアルドラモンのメガ(ギガ)デスを取り上げてみました。
 
 
 
■メガデス・ギガデス
超質量の暗黒物質を発射し半径数百mの全てを暗黒空間に飲み込むという技が『メガデス』。
(ファイターモード時に)右腕の「ポジトロンレーザー」を胸の(ドラゴンモード時の)竜顔にはめ、全身のエネルギーを放射する技が『ギガデス』です。
 
 
 
■暗黒物質
この技の要となるのが暗黒物質。
これがどういうものなのかでそれが生み出す暗黒空間、そしてそれがいかにして全てを飲み込むのかが定まってきます。
とりあえず、私が思いつくのは二つ。
ダークマターと負の物質です。
 
 
 
■ダークマター〜高重力攻撃
宇宙論でおなじみのダークマター。
通常の物質と重力以外の相互干渉を持たない=見えない(触れない)ので『暗黒物質』という、ちょっと微妙なネーミングの存在(同様のネーミングにダークエネルギーなんてものも…)。これは宇宙に偏在しており、その全質量の大部分を占めていると言われます。そこら中ダークマターだらけということですね。これを集めて『暗黒空間』を作るわけです。
で、超質量が生み出す全てを飲み込む『暗黒空間』とはやはりブラックホール(笑)。まあブラックホールを作るには質量そのものよりも密度が重要なのですが(1円玉=1gのアルミニウム塊でも充分に圧縮してやればブラックホール化します。とてつもなく小さく実害はほとんど無いでしょうが)、『半径数百mの全てを飲み込む』程のブラックホールならばやはり相当の質量が必要でしょうね。もちろん半径数百mがまるまるブラックホール=事象の境界面とは考えていません。その規模のブラックホールですと地球全土(どころじゃ済まないかも!)に深刻な影響が出るでしょうし、それだけのダークマターを集める(ブラックホールになっても質量が増えるわけではありません)のにどれだけ時間が掛かることやら。

具体的にはまず偏在するダークマターを集中させ、密度を上げてブラックホールの元=高密度ダークマター塊を作ります。これの密度がある程度大きくなったらダークマターを収束加速、その奔流で高密度ダークマター塊を押し出します。高密度ダークマター塊はダークマター流を浴びせられ続けることでその質量をますます増大させ、最終的にはブラックホール化します。
この時ブラックホール周囲の空気などが潮汐力で粉砕加速されたり空間の仮想粒子が引き出されたりして発光、光球状に見えます。
命中時の質量と密度は着弾までの距離と加速に用いたダークマター流の総量など様々な条件に左右される為完全な制御は困難でしょう。それ故効果範囲が『半径数百m』と曖昧な表記なのです。一定しませんからね。
この解釈ですとメガデスは「中心のブラックホールから半径数百mは壊滅的な重力異常に見舞われ、さらにその周囲も距離に比例した影響を受ける」実にはた迷惑な技となりますね。めったに使わない訳だ(笑)。

ところで、仮に『暗黒物質』がダークマターだとしたら実はブラックホールを作らずともダークマター流だけで凶悪な威力を発揮します。
何せ見えないということは光子の相互作用を受けない=電磁気力の影響を受けないわけですから電磁気力による防御、いわゆる電磁バリアの類が効かない。更に触れないということはどんな物理的障壁も装甲材質も在って無きが如し。念力や魔法で防ぐにも超質量などと表される巨大質量を支えるのはいかにも困難です(島とか山を持ち上げる位の労力は覚悟しませんと)。
大質量のダークマターはあらゆる防御を無視し、対象をすり抜けざま(多くの力がそうであるように重力もまた近いほど強く作用します)にすさまじい潮汐力を及ぼして内部から引きちぎり押し潰してしまうでしょう。
この場合『暗黒空間』とは「暗黒物質空間」。ダークマター=暗黒物質による重力が他のあらゆる諸力の影響を凌駕する空間という意味になりますか。あと光ったりしないと思います。

ダークマター版メガデスはいずれも回避以外防御不可能、しかも(空気の発光が始まるまでは)避けようにも観測自体がほぼ不可能(重力による諸々の影響は観測できるでしょうが…)な正に必殺技なのです。
欠点は使用後のダークマターを何らかの方法で拡散させないと射線上のあらゆるものが破壊されてしまうということと発生したブラックホールは事実上消去不可能=ダークマターに戻せない(地球大ピーンチ(笑))ということ。ちなみにダークマターを失った空間は重力バランスが崩れそうですがブラックホールと化してももともとの総質量自体は変わっていないので特に大きな影響はない…はずですが…(汗)。
 
 
 
■負の物質〜相殺消去攻撃
電子に関するディラックの方程式、波動に関するマックスウェルの方程式、そしてニュートンやアインシュタインの重力に関する方程式は正と負二つの解を持ちます。
それらが意味するのは通常とは逆の性質を持つ存在でした。
ディラックの方程式が意味するのは電子(トロン)と量子特性が逆の陽電子(ポジトロン)即ち鏡像物質(いわゆる反物質ですね)。
マックスウェルの方程式が意味するのは時間を前つまり未来に進む遅延波(通常の波動)と時間を逆行し過去に進む先進波。
そしてニュートンとアインシュタインの方程式が意味するのは通常の質量と重力特性が逆、周囲に斥力(反重力)を及ぼす負の質量です。
アインシュタインによって質量=エネルギーということが証明されましたから、負の質量とは即ち負のエネルギーであると考えることができるのではないでしょうか(なお反重力実現の可能性を扱った物理関係の本で負の質量を持った物質が出てきた場合、大抵重力特性のみが逆として扱われています。エネルギー特性について触れるのはSFでしか見かけません)。

この負の質量=エネルギーを持つ物質は存在の根底からして通常の物質とは逆。
通常の物質が空間という水平なゴム板を押してたわませる指先(このたわみが重力場です)なら負の物質は摘み上げる、又は裏側から押す指先。
負の物質は空間を削って作った通常の物質の鋳型とでも言いましょうか、両者が接触すると互いに打ち消しあってこの世から、いいやあらゆる世界から消えてしまうのです(鏡像物質の場合総質量がエネルギーに変わって大爆発が起こるのですが)!

具体的にはまず空間から正のエネルギーを追い出してエネルギー量0〜マイナス=負の空間を作ります。適当な例えではないかもしれませんが、この過程は「真空エネルギーの抽出」「ブラックホールの蒸発」など空間を満たす正負の仮想粒子の対消滅・対生成のバランスが崩れた状態のようなものと思います。
この空間から更にエネルギーを取り出し続けるとやがて無から負の粒子が生まれるでしょう。
負の物質は光子を相殺=光を消します。つまり『暗黒物質』。
この暗黒物質の存在する空間、そして暗黒物質を生み出すエネルギー量0以下の空間には光も正のエネルギーも存在しません。つまり『暗黒空間』です。
取り出した正のエネルギーでインペリアルドラモンは回復・補給ができますが、消費エネルギーを上回ることはないはず。
ちなみに負の物質を得る方法の一例として上記とは逆に「空間の一点に高エネルギーを集中させて正負の物質を同質量生み出す」方法が考えられます。この場合最初の高エネルギー(仮想粒子を実在させるのですからどれ程のものなのか見当もつきませんが…)があれば物質=質量に変換されるエネルギーは0でよい(正と負の質量が同時に同量生み出されるということは結局0だから。よって1g作ろうが1万t作ろうが同じこと)のでとても効率的です。おまけにその正の質量が陽電子であればポジトロンレーザーの弾(笑)も確保できて一石二鳥。
いずれにせよ意外にコストパフォーマンスがいいようですね(ただし最初に消費するエネルギーは相当大きいでしょうからバカスカ撃てる訳ではありません)。

発射後の負の物質は同等の質量・エネルギーの通常物質を接触により相殺=0にする、文字通り消してしまいます。
ということは負の物質は単純に考えて効果範囲である『半径数百m』の(おそらく)球型の空間を満たしなお余る量。『超質量』と表現されるに充分ですね。
この巨大な負の質量塊は高次元に存在し、我々の世界に現れるのはその一角、四次元的断面に過ぎません(でないと真っ先に消えてしまうのはインペリアルドラモン自身です(笑))。断面周囲は空間が圧縮され、見かけ上エネルギー密度が上がって強く発光する光球に見えます。
この光球は発射直後、高次元からこちらの世界に負の質量が現れることにより急速に膨張してゆきます。そして最終的に『半径数百m』を包み込み消し去るのです。

さて、負の質量は周囲に反重力を及ぼします。
ということはそもそも通常物質に接触できない(前述しましたが重力は近距離ほど強くなる=近付くにつれて押しのける力が強くなるのですから)=命中させられないのではないかと思いましたが、よく考えたら普通重力の影響なんて無視できる位小さなものでした(宇宙最弱の力ですからね)。それこそ地球の質量より大きい負の質量を作らない限り普通に命中させられそうですね(ただ重力の影響により、下方に落ちてゆくところ負の物質は上方へ上がってゆきますから、遠くの的を狙うときは通常と逆に的のやや下を狙わねばなりません)。
むしろ普通なら飛距離に比例して減速するところ、負の物質は逆に加速しますからね。つまりメガデスは発射後(理論上亜光速まで)加速してゆくのです! 減速するには進行方向の逆から運動エネルギーを加えてやる、つまり後ろから押してやらなければなりません(笑)。触ると消されますけど。
これまたなんとも防御しづらいですね、バリアなどで受け止めるとどんどん加速=運動エネルギーが大きくなるのですから! しかもバリアにつぎ込まれるエネルギーは相殺されてゆくわけですし、どんな防御手段もあっさり突破されるでしょう。

この解釈ですとメガデスは呼び出した負の質量と同等の質量とエネルギーが消えるまで決して止まりません。また消去後、「何も無くなった」空間には大量の空気等が凄まじい勢いで流れ込むでしょう。これまた直接消される『半径数百m』の周辺もただではすみませんね。
 
 
 
■ギガデス
ポジトロンレーザーを差し込むと何故技が強化されるかというと、あのユニットは技の増幅器、ブースターなのではないか、と。つまりあのユニットが無くてもポジトロンレーザーは本来使用可能なのです。
通常ポジトロンレーザーに使っているブースターをメガデスに転用した結果メガ→ギガと1千倍(!)に及ぶパワーアップを果たしたです。
ですから素のポジトロンレーザーはもっと威力が小さいか、消費エネルギーが大きいか、射程距離が短いかだと思いますよ。

ポジトロンレーザーというくらいですから陽電子を使った技なのは間違いありません。ではその陽電子をいかにして得られるかと言うと、空間から正の電子を取り出す(!)とできる空間の穴が負の電子=陽電子なわけです。
この正のエネルギーを取り出す作用を併用することでメガデスはギガデスにパワーアップできるのです(ちなみに空間の穴うんぬんは例えであり、正確には真空に高エネルギー(ガンマ線が使われます)を照射すると極短時間しか存在できない正負の仮想粒子の内正の仮想粒子のエネルギーが高められ実在時間が長くなり、電子として観測されます。これに伴いペアであった負の仮想粒子もまた負の電子=陽電子として観測されるようになるのです)。
 
 
 
■総括
技の威力を『超質量』という点に由来するものと考えるならダークマター説の方が適当と言えそうです。負の物質説は質量による破壊以前に負の物質の性質そのものによる破壊ですから。

しかしながら『ディアボロモンの逆襲』の描写〜メガデス喰らってなお反撃するアーマゲモン〜に従うなら負の物質説の方が有力に思えます。
インペリアルドラモンが放ったメガデスがどの位の負の質量であったかは不明ですが、アーマゲモンのエネルギー≒(公式超図鑑によると)分裂した無数のクラモン及びその周囲の水と大気の総量はそれより多かったということです。海中に逃れればより多くの海水で相殺できるでしょうから潜ったのかもしれません。
何にせよアーマゲモンは(影響ないはずはないのですから)かなりのエネルギーを奪われたにも関わらずなお余力満々だったわけです。…最強かもしれませんね、アーマゲモン。

一方ダークマター説もまた重力干渉だけで対象を破壊できるほどの巨大質量を半径数百m≒直径2km以下の(多分球状の空間)に押し込めてなおダークマターがその透過性というか、不干渉性を保てるかという疑問が残ります。縮退物質と化して充分物理的に接触できるようになるかもしれません(それはそれで強烈ですが)。

いずれにせよ凶悪な技ですね、メガ(ギガ)デスは。どの場合でもほとんど防御不能。
もし目の前に竜の顎を開いたインペリアルドラモンがいたら、全速力で逃げるのが最善かもしれません。
 
 
 
■ところで…
メガデス炸裂後のアーマゲモンの反撃の際、周りで燃えていたのは何だったのだろう…真面目に考えると

『メガデス焼夷弾説…暗黒物質とは黒い可燃性の何か=化学燃料か魔法の火薬、暗黒空間とは燃焼時に発生する黒煙である(笑)』

とも言えるかもしれませんね。
 
 
 
…とまあこんな感じです。
もともと具体性に欠けるものの考察ですからツッコミどころ多し(笑)。
実際ダークマターを集める方法とか空間から正のエネルギーを取り出す方法とか高次元とかはやはりうやむやにしていますが、いいんです。
SF解釈ですから。
そんな方法本当に考え付いたら私は学者やっていますよ(笑)。

全ては空想する遊びなのですから。

今後も気になった技を一つ一つ取り上げていこうと思います(その方が後で見やすいでしょう)。
よろしければ今後もお付き合い下さいませ。

本部長でした。