『アブソリュート・ゼロ』〜デジモン必殺技解釈2

本部長です。


デジモン必殺技解釈の第二回はエンシェントガルルモンのアブソリュート・ゼロです。
いきなりといえばいきなりなネタですが、そもそもこのシリーズはゴールデンウィークに友人と交わした四方山話だ発端なのです。
で、その時友人が言ったのが

『Aガルルモンは光属性なのに何故凍結系の技を使うのか?』
『アブソリュート・ゼロとAメガテリウモンのフリージングブリザードの違いは何か?』

でした。
いやはや全く。そこで私が答えたのが下記であり、そういう意味ではこれこそ第一回というべきなのです(通常掲示板で触れていたメガデスは第零回ですね)。
 
 
 
■アブソリュート・ゼロ(absolute=絶対的な zero=0)
全てを凍らせる冷気で完全に電子の動きを止めてしまう技です。

物質の温度は究極的にはそれの構成原子の電子の運動速度で決まります。つまり電子が停止した状態が温度下降の限界なのですね。
この温度が(氷点を0度とする)摂氏約マイナス273.15度。絶対温度0度です。

…見事に光と無関係ですね。それに冷気=冷たい空気って…電子よりめちゃくちゃ大きいですよ? これでどうやって止めろと?
ここはちょっと日本語としてアレな設定は思い切って無視し、ちゃんと光属性らしく光による凍結技として解釈してみましょう。
 
 
 
■冷凍光線
よくあるツッコミですが、光線ってことは光または光っている粒子とかであって、当然エネルギーを持っているんですよね。それを浴びせれば対象は光線のエネルギーを受け取り、エネルギー量が増大する=温度は高くなる。
つまり冷凍光線=対象の温度を下げる光線とはそもそも原理からして変だというのです。
某怪獣映画でも『超低温レーザー』なるガジェットを出して場内の空気まで冷やしてしまったことが(笑。まあ「科学的に正しい点が一つも無い」とまで言われた作品ではありましたが…)。

ですが、光で電子の運動を減速する方法はすでに実用されています。
 
 
・レーザー冷却
電子をレーザー=光の圧力(!)で減速させるという方法です。
電子を光子で押し返す、とイメージすれば良いでしょうか。
 
 
・磁気冷却現象
光を電磁波として考えるなら断熱消磁のような磁気冷却現象もアリですね。
通常原子の運動は無秩序ですが一旦磁場に捕らえられると磁気に沿って整列=秩序化します。その後磁場を解除すると原子は再び無秩序の運動を始めるのですが、その為に周囲(他の原子)のエネルギーを奪ったり自身のエネルギーを消費したりします。
結果、エネルギーは失われ温度が下がります。
 
 
 
■フリージングブリザードとの違い
エンシェントメガテリウモンのフリージングブリザードは(どうやって発生させるのかは置いといて)強烈な吹雪即ち低温の気流(しかもきっと氷雪交じり)で対象の熱を奪い凍らせます。
これは熱は高温から低温に移ってゆくという熱力学第二法則によるごく自然な現象であり、この吹雪の気温が対象よりも低い時のみに冷却が起こります。ですから熱を奪うというよりむしろ吹き付ける氷雪によって外部から凍結させる技なのではないでしょうか。
これに対し(私の考える)アブソリュート・ゼロはむしろ熱を叩き出す・搾り出すといったより積極的というかポジティブな技。こちらは凍結は二次的効果で対象の熱=エネルギーを奪うことに重点を置いた技なのです。

後何となくフリージングブリザードは吹雪の範囲内の全てを凍てつかせる全体攻撃であるに対し、アブソリュート・ゼロは光線の命中した対象を徹底的に冷却する単体攻撃(といってもその周囲は極端な低温に見舞われるでしょうが…)のようなイメージがあります。
 
 
 
■今回のツッコミ
例に挙げた二つの方法は普通原子の数が少なく運動の自由度が高い気体に対して行われます。原子がびっしり並んでいる固体に対してはやはりエネルギーを与える=温度を上げるだけなのではないでしょうか?

またレーザー冷却だと絶対0.001度位まで冷やすことができるそうです。
断熱消磁だと絶対0.00001度位まで。
つまり絶対0度=アブソリュート・ゼロにはならないんですね。
残りの千分の一℃だか十万分の一℃だかは小宇宙を燃やすなりしなければならないわけです(笑)。
 
 
 
  凍結技というのはなかなか難しいですね。何せ最も確かな物理法則の一つといわれる熱力学第二法則が関わってくるものですから。
ところで私はアブソリュート・ゼロというと真っ先に機龍を思い出すんですよ(笑)。巨大なダイアモンドが必要なレーザー砲で壊れると修理が絶望的というシロモノでした。あ、もしかしてセントアメジストはアブソリュート・ゼロの光線を作るのに必要なのかな(ヴォルフモンと同じパーツを持っているAガルルモンですから、きっとその全身の紫の部分はセントアメジストでしょう)?
 
 
本部長でした。