我が家へ!拓也たった一人の帰還

 脚本:富田祐弘 演出:貝澤幸男 作画監督:八島善孝
 22話です。やっと拓也が主人公になった回。


●全体印象
 一話と重なるシーンが非常に多かったです。貝澤チーフ担当には、そういう理由もあったんでしょう。
 そのわりに作監が八島さんなので全然似てないんですが…(笑)。フレイモンの表情はよくできてました。

 お話としてはセンス・オブ・ワンダーな雰囲気を楽しむというより、拓也の心情を反すうするパターン。なぜ時間が戻っているのか、一度も疑問に思うことないまま流されていましたし。ただ、そんなものは自分がもう一人いるという異常な状況で消し飛んでしまうんですが。どうして姿が変わってしまったのかも、心理を推しはかれば無理なく理解できますね。

 完成度としては無難にきっちりとまとまっております。ここはとても大事なお話なので、スタッフとしても断じてはずせないところでしょう。
 それまで中途はんぱな気持ちで戦っているにすぎなかった拓也の、新たな決意も描かれてようやく感情移入できました。
 また、輝二そっくりな謎の少年も登場し、今後への引きも用意されてます。

 ところで、例のトラックのシーン。
 一話では気がつくとトラックの方が避けていたように見えますが、実はフレイモン(=自分自身)に助けられていたということが明かされます。
 これ、最初から伏線になっていたんでしょうか?
 たしかに、後からどうとでもできそうなカットなんですが。



●各キャラ

拓也
 先週とはうって変わって、ちゃんと感情移入できるようになってます。21話からの引きが生かされているのもポイント。
 この回を経ることで、やっと彼は「デジモンフロンティア」の主人公になれたのではないでしょうか。

=フレイモン
 よく見ると、「ディースキャナ」に載っていたイラストとはかなりバランスが違います。
 アニメ向きに直されたというより、拓也の体型に合わせたというべきでしょう。髪の色は思ったより薄め。
 中途はんぱな姿ではありますが、身体能力は人間よりもはるかに上のようですね。炎も出せます。
 一説によると成熟期にも勝てるとか…。

謎の少年
 初登場。ところが、なんと階段から転げ落ちて大けが!? 要注目でしょう。
 彼の存在により、このお話が拓也の自己啓発などではなく、現実に起こったことなのだということがわかりますね。


闇のトレイルモン
 心のわだかまりを司る存在でした。彼自身は中立の存在なのですね。
 もし最後に彼をぶっ飛ばす展開だったら萎え萎えだったところなので、ひと安心。



●今回の名(迷)セリフ

『…行け! 走れ! 拓也!』
『信也…誕生日おめでとう。父さん、母さん…ごめん……』
『神原拓也は…自分で選んで、この世界に戻ってきたんだ!!』(拓也@フレイモン&アグニモン)

 なんか、やっと彼自身の言葉を聞けたと素直に思いました。
 今後は、彼についていろいろと入り込んで考えることができそう。…できるといいな。



●予告
 いきなり泉のくすぐりシーンが入るあたり、ただごとでない雰囲気(笑)。
 一目でわかる上野作画ですが、この人の担当回ってこんなんばっかり…。

 注目点は、メルキューレモンとの初の直接対決でしょう。ヴォルフモン単身ではかなり苦しいようですが、さて。