友樹の孤独な戦い アシュラモンの罠

 脚本:成田良美 演出:角銅博之 作画監督:山室直儀
 25話です。


●全体印象
 引き続きセフィロトモンの内部が舞台。今度は炎の世界ですね。

 合間に輝二がらみで重要な含みがありましたが、トータルでは題名どおり、友樹のお話。初めてひとりで戦うことになりました。
 まずは一話以来、ひさびさに本編へ復帰した山室作画に触れねばなりますまい。原画にはあの諏訪可奈恵さんもいるので、描線の繊細さも折り紙つき。どのキャラも、デジモンシリーズとしては気持ちいいくらいの動きを見せてくれます。
 そんな絵のよさに応えるように、演出も冴えています。今回は角銅さん。カラテンモンとアシュラモンの手や、炎→噴水の回想シーンと、対比の仕掛けがフルに働いていますね。成田良美さんの脚本も魅せるポイントを押さえたつくりなので、相乗効果で見応えのあるお話に仕上がってました。

 今回で初登場した彼の家族(母親のみ9話で登場)ですが、設定段階から語られていたという年の離れた兄がポイント。
 お話では、ぶっきらぼうながらも弟想いの兄だということがちゃんと理解できるのですが、まだまだ甘えたいさかりなはずの友樹へあんなことを言っても普通理解されないというよりまだ無意味な気がするんですが、いかがなものでしょう。
 ただしこれはオトナの勝手な解釈で、現実というものはそれが判断できる年になれば、教えてもいいはずなんですが。
 私としては兄もそうですが、あの描写かぎりでは無条件に甘いように見える親御さんも気になります。まあ、いろいろあるんでしょうけど。

 しかし時間をおいて考えてみたら、友樹がワガママというのはなんかヘンなんですね。彼は他人を思いやれる子だったはずなのに。
 それにすぐ気づけなかったのは、私の不徳のいたすところ。
 先週からこっち、友だちや家族というキーワードがやたら飛び出すのも不思議と言えば不思議。本音で語れる友を見つける、というのが今回のテーマのひとつっぽいので、それがいよいよ全面に出てきたとも言えるんですが…けっこう唐突感はあります。
 友樹の兄がこれまでの回で、せめてシルエットだけでも出ていてくれれば。

 
 セフィロトモンは今のところデジモンじゃなく、結界みたいな印象ですね。
 なんだか、一つひとつステージをクリアしていくようなシークエンスでゲーム的です。
 

●各キャラ

拓也
 今回の出番は1カットだけです。

輝二
 カラテンモンとの戦いでまた過去のベールをあばかれてます。後にひかえるダスクモン戦への布石でしょう。
 どうやら母親に秘密があるようなのですが……。
 ガルムモンに進化しての動きは、ここ最近でトップクラスの出来映え。


 次回の主役なので、それを想起させる場面がありました。

友樹
 上でだいたい書いてるとおりです。
 追加があるとすれば、ブリザーモンの時にえらく挑発的になっていたところでしょうか。
 まだ制御し切れとらんのかもしれませんが、承知のうえでの確信犯かも。

純平
 今回はほとんど出番なしでした。まあ先週活躍しましたからね。

ボコモン&ネーモン
 せっかく外にいるのに、友樹が出てくるまで役立たずなのが歯がゆいところ。
 メインの誰かと絡まないかぎり、活躍できないんでしょうか…。

アシュラモン
 誰か別のデジモンとグルになって、助ける役で友樹を騙すと思いきや、一人二役だったとは(^ ^;
 輝二のエピソードとの兼ね合い?
 セリフによって阿修羅面がくるくる変わるのはおもしろいですね。唯一、悲しみ(青)にだけ変わらなかったのが残念。
 最後に顔が祝福(黄)に変わったのには、いろいろ解釈がありそうです。
 声は梁田清之さん。前作のガードロモンでおなじみですね。

カラテンモン
 アシュラモンと並んでシリーズ初登場。オリエンタルつながりです。
 前回といい、どうやら心の隙を衝く作戦のようですね。メルキューレモンも趣味が悪い(笑)。
 イラストの段階では本物のカラス天狗よろしく、クチバシ持ちだと思っていたのですが、どうやらあれは鼻だったようです。



●今回の名(迷)セリフ

『拓也お兄ちゃん! 輝二さん! 泉さん! 純平さん!』(友樹)

 毎回恒例? 名前呼びローテーションです。純平と同じくらいウェイトがわかりやすい配列。


『優しくされて当然だなんて思うなよ。一歩外に出れば、お前なんか誰も助けてくれないんだからな。
 あんまり調子に乗ってんなよ』(友樹兄)

 あらためて見返してみてもやっぱり小四そこそこへ言う台詞じゃないような…。
 それにいじめられっ子である以上、友樹はもう、薄々それに気づいてたはずなのでは?


『なんてひどいやつだ! 友だちにこんなことするなんて!
 おまえのようなヤツに友だちなんてできるはずがない!』(アシュラモン)

 友樹の作戦に逆ギレして。が、どう考えてもこれは因果応報というやつでしょう。


『…兄ちゃんは、ぼくを心配して言ってくれていたんだ。イジワルなんかじゃなかった。
 ぼくは今まで優しくされたり、助けられてばっかりで、友だちなんてできるわけなかった。
 でも今はちがう!』
『きっとみんなも戦ってる。戦ってるのはぼく独りじゃない!』 (友樹@チャックモン)

 きつい態度が愛情の裏返しだということに気づくというシチュエーションは、01の26話「輝く翼! ガルダモン」を思い起こさせます。
 あちらは似た立場に立たされての理解でしたが、こっちは兄の言葉を効果的に挟むことで、うまく視聴者を引き込んでますね。
 メインキャラ中いちばんの成長株は、やっぱり友樹かも。そう思わせてくれます。
 純平もいい感じになってきてますが、個人的にはあともう一押しがほしいところ。


『…オレには必要ない! 友だちも、家族も!』(輝二@ヴォルフモン)

 これは初期設定にあったように、転校が多いことへの諦観から来るセリフでしょうか。
 しかしまだこんな事を言っているあたり、どうやらいつの間にか拓也に抜かれたようです。
 まあ、このへんはダスクモン戦で大々的に描かれるんでしょう。

 でもそこに絡みそうなのがあのドラム缶かと思うと………。



●予告
 女の戦い三たび。しかし、泉のものすごい目のクマがいきなり不安をあおってくれます。
 そして親衛隊がまたまた登場なのですよ?
 どうやらラーナモンはイカ進化を完全に使いこなせているようで、これは痛み分けになるか?