拓也の融合進化 アルダモン技炸裂!

 脚本:大和屋暁 演出:地岡公俊 作画監督:出口としお
 28話です。輝二につづいて拓也も融合進化。主役はどっちだ?


●全体印象
 拓也のカッコ良さもさることながら、メルキューレモンも趣味の悪さを大爆発させており、
対決篇として見どころが満載になってます。
 純平、泉、友樹もそれぞれの良さをうまく出せていて、素直に楽しむことができました。
 これは筋立てと演出のおかげもあるでしょう。調べてみたら、演出の地岡公俊さんはテイマーズで48話を担当していた人。
 あの名編「樹莉を守る力! ベルゼブモンの拳」ですね。納得。

 今回のような話を見ていると、つくづくセリフ回しの違いというものを思い知らされます。
 フロンティア以前のシリーズなら、今回の拓也のような言い回しは絶対にしないでしょう。するとしたらデジモンのほうです。
 主人公の子供たち=デジモン十闘士=ヒーローという側面を、これまでになく強く感じました。
 ちょっとジャンプ系バトルマンガな口調ですよね。

 一つ残念なのは、融合進化が輝二や拓也自身の力じゃないように見えること。
 今回は友樹たちとの友情でカバーしてましたが、あれは彼ら自身による会得のほうがもっと良かったと思います。
 けっして、赤ちゃんパワーうんぬんを次元のかなたに置いておきたいわけじゃありません。

 ところで拓也とメルキューレモンですが、実はかなりいいライバル関係を作れた間柄なのではと今ごろ気づきました。
 拓也はいわゆる直情径行で正義感のつよい性格設定。かたや、メルキューレモンは幻惑と虚構に生きる錬金術士。水と油です。
 彼らふたりの丁々発止、今回だけといわずまだまだ見たかったですよ。
 何とはなしに、金剛のシュウと幻魔将螺呪羅の関係を思い出させます。

 するとラーナモンは那唖挫か?



●各キャラ

拓也
 輝二はひとりでダブルスピリットを会得していましたが、彼はみんなとの絆で身につけました。
 ふたりの違いはそこにあるのかもしれません。

輝二
 放置ぎみ。気に懸けてたのは純平ひとりですか……。


 先週とちがい、今週は純平にイニアシチブを奪われてましたが、まあ土壇場ではそうなるのかもしれません。

友樹
 今回はフェアリモンにかかえてもらってます。
 誰よりも拓也を信じた彼の涙が、ほんとうは最大のきっかけなのかもしれません。

純平
 輝二を心配していたり、拓也を助けに行くのに積極的だったりと、気のいいところを発揮してます。
 デキはともかく、24話を経ているという事実が大きい。
 彼がああいうセリフを言うとなんとなく嬉しいですね。もっとやっちゃってください。

ボコモン&ネーモン
 さいわい先週ほどアレではありませんでした。脚本さん、演出さん、ありがとう。

メルキューレモン
 突っ走ってました。やっぱりいい味だなあこのキャラ。
 このいちいち芝居がかった物言いとか、余裕ぶちかましすぎて気づいたら不利になってるところとか。
 セブンヘブンズ連射が小物っぷりに界王拳二倍をかけています。

 彼の本体はセフィロトモンの方にあるんでしょうか? 普通はスピリットHのほうにあるのに、変則的ですね。

腹巻きパタモン
 あ、荒木香恵さん……ええっ!?



●アルダモン
 ベオウルフモンにつづき、ハイブリッド融合体のお目見えです。けど、なんでいつも輝二の後なんでしょうね?
 アグニモンの機動性とヴリトラモンのパワー、ふたつを高いレベルで融合させた強力な闘士ですが、ヒューマン体とビースト体、ふたつの長短がハッキリ描かれきっていないため、単純にヴリトラモンの上位バージョンに見えてしまうのが残念。
 外観は一見アグニモンのグレート合体ですが、足音からして両方の中間くらいの大きさなんじゃないでしょうか。
  必殺技ブラフマシルはまるっきりガイアフォースですね。

 それにしても、究極体と十闘士が融合した最悪の存在さえああも容易に下すとは…。
 やはり従来のシリーズとは力関係を切り離して考えた方が楽しめるようです。再確認。

 今回からは融合体でもデジコードスキャンができるようになったみたいです。
 これでヒューマン体の存在意義がまた減退しました。まあ、しかたないですけど。



●今回の名(迷)セリフ

『かえせ! わしの子じゃい!』(ボコモン)

 あんたのじゃない。


『だが、ひとつだけ分かったことがある。おまえは絶対に許せない!』(拓也@アグニモン)

 えらく飛躍しています。


『遊び? それは違う。私はこの戦いを芸術の域にまで高めたいだけだ』
『おまえに捧げるレクイエムだ。心して聞け』
『はやるな。戦いの前に見せたいものがある』
『すばらしい。芝居はシナリオ通りに進んでいる。お前の命はもはや風前の灯火だ』
『無駄無駄無駄無駄ぁっ!』
『力なき者がぶざまにあがく姿ももう見飽きた!』
『く、来るな……!』
『バカめ、どんな攻撃だろうとこのイロニーの盾で……なに!?』 (メルキューレモン)

 今回は特別無駄なセリフが多かったですこの人。
 自己陶酔から絶体絶命への急転直下キン肉ドライバーっぷりはまさに理想的な小物悪役(笑)
 こういうよく喋る敵役にかぎって、自分が不利になるととたんに錯乱するんですよね(^_^;)
 計算外のことには極端に弱そうです。


『そんなことない! 拓也お兄ちゃんは絶対に負けたりしない…どんなことがあっても、最後まであきらめたりしないよ!』(友樹)

 上ではああ書きましたが、実はちょっとひっかかる一言。
 なぜなら、拓也は21話で一度逃げ出しているからです。23話で戻ってきたからチャラになったとはいえ。
 いちばん気になるのは、拓也がこのことをみんなに話した場面がないことなんですが…友樹は知ってるんでしょうか?


『伝わったよ…みんなの心。おれはもう、二度と負けるわけにはいかないんだあぁあぁあぁっ!』
『言ったはずだ。かならずお前にこの拳をたたきこむとな!』(拓也@アルダモン)

 今回はいつになくヒーローしています。彼の活躍するお話では一話をのぞくといちばん演出がよかったため、より光ってました。
 絵も山室さんが原画にいるためか、思ったよりずっとよかったですし。
 ところで、割れたゴーグルがなぜか再生するあたりは笑うところでしょうか?



●予告
 セフィロトモンが背景から動画に進化。火光雷氷風のちからを取り込んだ要塞となって襲ってきます。八島さんなので動きまくりそう。
 拓也はもうアルダモンがデフォルトになっちゃいそうですね。ハッキリ言ってバラで進化するメリットはもうないですし。
 忘れ去られたかと思われた合体技もお目見え? さあてどうなるか。

 セフィロトモンはラーナモンやダスクモンの能力も取り込んでるんでしょうかね?