逃走!変幻自在セフィロトモン!

 脚本:吉田玲子 演出:芝田浩樹 作画監督:八島善孝
 29話です。


●全体印象
 いったん
姿を消したセフィロトモンが動画になって再登場、人のお株を奪ったあげくに返り討ちに遭う話です(ひでえ)。
 うにうにとよく動く八島さんの作画のおかげか、その気持ち悪さはこれ以上ないくらい表現されてました。
 前半はひとつ覚えのように技を返されまくる描写でわりと終始。後半は拓也のアイディアでチームワーク復活と、これで説明がつきます。
 
 さて、どうやら純平たちが融合進化できないことが判明したため、今後へ不安を残すお話になっております。
 なにもバトルだけが見せ場じゃないし、力はなくても知恵で戦いをいどむことだってできます。今回も、一見そういう戦い方をしてました。
 が、その実は拓也のひとり舞台です。
 撤退を指示したのも拓也なら、ふとした瞬間を見逃さず合体技をひらめいたのも、みんなを落ち着かせたのも、敵の弱点を見つけたのも
 みんな拓也の手柄です。
 他の3人はというと、なんの策も見いだせず恐慌しているばかり。戦闘でも拓也の指示で動いていたにすぎません。

 フロンティアは進化段階の区分があいまいな代わり?に、これまでのシリーズよりも「力の格差」が描かれる傾向にあります。
 1クール目でギガスモンにまったく歯が立たない話が何話もつづいたのがその証拠。
 23話で自然の利用、今回で合体技と、ヒューマン体でもいいところを見せていますが、これが今後も続く保証はどこにもありません。
 まして、知恵で立ち向かうという展開がデジモンシリーズじゃ難しいというのは、すでに証明ずみ。光子郎くらいのもんでしょうか。

 ただ、今回のお話は純平たち3人が「融合進化できない物理的・心理的ハンデ」を乗り越えるエピソードと取ることもできるので、ストーリー上での差は
 それほど感じられなくなる……という可能性もじゅうぶん考えられます。3人セットになるかもしれませんが。

 セットといえば、実はもうひとつ懸念が。
 それは、ハイブリッド超越体の存在。カードでの進化条件はかなり特殊なものになっているようです。
 もしもこのカード通りなら、超越体は他のスピリットか仲間の力を使って進化する可能性が出てきます。

 これがなにを意味するのか。
 合体といえば聞こえはいいですが、悪くすると純平らが単なる進化のための電池に成り下がるかもしれないということです。
 群像劇が押し出され続けてきたのに、これは非常にまずい状況。
 これまでの展開を見たかぎりでは、必ずしもそうなるとは言えません。でも今週で、前シリーズまでの常識が通じないことを思い知らされてます。
 ただでさえ他のキャラを食いそうな輝一が登場まぎわなのですから、彼ら3人にはなんとか負けないようがんばってほしいのですが…。

 杞憂に終わってくれることを願ってやみません。



●各キャラ

拓也
 たった一人で、リーダーと参謀のふたつをこなすようになってしまいました。輝二がいたらどうなったでしょう。
 みんなの混乱をシッポの一打で鎮めるあたりは、獣っぽくていい感じでしたな。今後はアルダモンでほぼ標準か?

輝二
 今回も微妙に放置ぎみ。ベオウルフモンのまんまシタシタ走ってるばかりです。


 めずらしく恐慌してました。
 そういえば回想シーンで思い出しましたが、一緒に連れてきたハニービーモンはどこに行ったのでしょう。もう別れたのでしょうか。
 「目を閉じろ」と言われても全然閉じたように見えないのはご愛嬌。

友樹
 チャックモン時のスノーボードでちょこまかする細かい動きが見どころ。
 ブリッツモンとの合体技では、ただ雷撃の上に乗ってるだけでなにもしてないように見えるんですが(^_^;)

純平
 まっさきに逃げようと言い出すあたり、あいかわらず損な役回りをさせられてます。
 ボルグモンの状態で必死に主張する姿はちょっと可愛らしい。

セフィロトモン
 詩的な側面はすっかり失い、ヤケクソな悪役に成り下がって最後のひと華。
 とはいえ、心理を責めてくるやり口は健在です。中にいたデジモンたちも同じ傾向ですもんね。
 タイトル通り、変幻自在の陣形でスネークキューブみたいでしたが、弱点をあっさり見抜かれたうえ、見切っているはずの必殺技で消滅。
 そもそも虎の子であるセラフィモンのデータを失った時点で、負けは確定していました。
 結局のところ、分不相応な野望にふさわしい消え方ということなんでしょうね。
 まあ、もっと長生きしていたとしてもケルビモンに返り討ちにあうくらいが関の山だったでしょう。

ボコモン&ネーモン
 父母上さまとそのおまけに進化しました。

腹巻きパタモン
 なんだ、しゃべれるじゃないですか。



●今回の名(迷)セリフ

『ちちははうえさま〜』(パタモン)
 これだけならともかく、どうして口癖まで似ますか?


『これがオレのほんとうの目的だったのだ!』(セフィロトモン)
 すんません、強がりにしか聞こえません。


『なんであたしたちがこんな目に遭わなきゃいけないの!』(泉@フェアリモン)
 むう、今さらそんなことを言われても…。


『おれたちの成長まではコピーできなかったようだな!』(拓也@アルダモン)
 成長というか、ヒョウタンからコマというか……。



●予告
 ついに、ケルビモンの虎の子・怪鳥ベルグモンが登場です。思ってたよりずっと巨大。
 そして、獣型だというのに融合体を上回りかねない力。これではメルキューレが馬鹿みたいです。
 ベオウルフモンが必死でよけていたのは、必殺技ゾーンデリーターでしょうか? 亜空の瘴気?