飛翔!闇の闘士ベルグモン
脚本:成田良美 演出:貝澤幸男 作画監督:浅沼昭弘
いよいよ30話代に突入。
●全体印象
やけに演出がいいと思ったら、思った通り
貝澤チーフ担当でした。
絵も「デュークモン対ベルゼブモン」の浅沼さん。なにしろこの人の作画は質も動きも安定してたかいので、相乗効果で濃いめの戦闘シーンが続出するお話に仕上がっています。メインを占めるベオウルフモンとダスクモンの戦いが両方とも人型のうえ、剣戟が主となるので絵にもなりやすいんでしょう。
そして、輝一としてのダスクモンも回想シーンに再登場。陰がありながらも、輝二よりは険のすくない物腰といった感じです。内にためこみやすい性質なんでしょうか、孤独感にさいなまれたところをケルビモンに利用されたようす。
が、あの描写だけだと、肉体は大けがを負って入院しており、魂だけデジタルワールドに来ていると捉えることもできてしまいますね。
真実はいかに?
ところでああして見ると、ほかの裏十闘士らもケルビモンがスカウトしたか、スピリットをベースに直接デジモンとして仕立て上げたと考えることができそうですね。となると、裏十闘士は名のとおり、誰一人として本来の姿・性格じゃないのかもしれません。
ダスクモンとほか4名の差は、自由意志の存在。グロットモンら四闘士らはあの通り勝手にやっていたし、メルキューレは下克上もねらっていました。が、ダスクモンにはそうした意志があまり感じられません。彼はケルビモンが直接あやつる手駒であり、端末でもあったからです。その代わりほかの闘士を圧倒してあまりあるだけの力があたえられており、万が一四闘士に造反されたとしても、たった一人で殲滅できるというわけですね。
この場合、ケルビモンにとっては痛くもかゆくもない事態でしょう。スピリットさえあれば、代わりの闘士をいくらでも生み出せるのです。
だからオファニモンは拓也たちを集め、彼らにスピリットを回収させることでケルビモン軍の力を削ってもらおうとしたのかもしれません。
……あれ? でもラーナモンが見つけた水のビーストスピリットは
最初からイカだった
ような………あれれ?
…それにしても、最初以外の初進化がつねに拓也へ先んじ、活躍回ではむやみに力のはいった演出が入る輝二。拓也も主役らしいところは出しているのですが彼にくらべるとどうしても一歩劣ります。このままで行くと、ケルビモンの闇をふりはらう役さえ輝二に回ってきそう。
…でも拓也や輝一はまだいいとして、純平らが完全に
蚊帳の外
になるんですよね。「テイマーズ」のヒロカズたちは
最初から脇だとわかっていた
から良かったのですが、彼らはメインキャラだし…どうにかならんもんでしょうか。
●各キャラ
・
拓也
ばっちり敵の意図を見抜いてましたが、ケルビモンとの対面も輝二に先んじられてます。
しかし融合進化のときに派手な見せ場があったので、そのへんで埋め合わせをしてる感じ。
・
輝二
ベオウルフモンの姿だと剣がめっちゃ持ちにくいと思うんですがどうでしょう。
しかし彼が輝一を知らないと言うのはちょっとマイナスポイントかも。事ここにいたっても、彼にとっては「謎」であって「因縁」じゃないのです。
もちろん何かの縁は感じてるはずですけど、この場合
「兄弟だから」というより「人間だから」戦いをためらうという話
になり、じゃあ人間じゃない敵闘士は倒してよかったのかという根本的なほうへ問題が行ってしまいかねない。
おたがいに面識があるならば、ベタながら理解しやすいお話になるんですが。
・
輝一
ようやく背景が明かされはじめました。と同時にキャラソンがばんばん流れるあたり絶好調で上滑ってます。
多少の想像はつきましたが、彼についてはまだ何とも言えませんね。
・
泉
気のせいか、フェアリモンの姿がだいぶ板についてきたような…。
・
友樹
特に今回はなにもなし。
・
純平
同じく特になにもなし。
進化シーンが泉&友樹とセット
なのがなんか泣かせるんですが。
・
ベルグモン
ケルビモンの手にすら負えないほど、強大な闇の力を持っています。これではセフィロトモンの立場がない(^_^;)
羽根の先でガリガリと陣を描き、暗黒球へ敵をのみ込むゾーンデリーターの描写が秀逸。まさに亜空の瘴気といったところ。
たぶんアレにやられたら、究極体さえ粉みじんにされてしまうでしょう。ひえええ。
・
ボコモン&ネーモン
思った通り
パタモンに食われはじめています。パタモンは道しるべ役になれるからなあ。
●今回の名(迷)セリフ
『…運命。お前は光、俺は闇。決して交わることはない』(ダスクモン)
さっそく電波を受信しています。
『闇は光に勝てない!』(輝二@ベオウルフモン)
ですが今のところ、ダブルスピリットでヒューマンと互角です。ダスクモンずるい。
『光の闘士ベオウルフモン…お前は少々目障りだ』(ケルビモン)
秘蔵っ子ダスクモンを揺るがすであろう存在ですからね。差し引いても、輝二の待遇のよさがうかがえますが。
『お前はおれのなんなんだ!』(輝二)
あんた、あの子のなんなのさ。
港のヨーコヨコハマヨコスカ。
●予告
ベルグモン追撃の前にひと休み。ていうか、蚊帳の外になっちゃったっぽい純平らの独断行動?
なんとなく単品としてはおもしろいお話になりそうな予感…。