明かされた過去!ダスクモンの秘密
脚本:富田祐弘 演出:中村哲治 作画監督:伊藤智子
32話です。やっと輝一がもとに戻りましたが…。
●全体印象
伊藤作画の繊細な表情が大活躍してました。こういう葛藤系エピソードでは、伊藤さんの絵だととても映えると思います。
が、お話的にはいまひとつ盛り上がりを感じませんでした。
考えられる原因は以下があります。
・輝二が輝一の存在を知らなかったこと。
・↑が原因で輝一の浮上が遅れ、感情移入の積み重ねが足りなかったこと。
・ダスクモン自体はケルビモンの操り人形でしかなく、輝一の意志がほとんど感じられなかったこと。
・にもかかわらず、今回になっていきなり過去を語りだしたこと。
・なぜ異世界のケルビモンやオファニモンがふたりの事情を知っているのか、説得力がないこと。
・いちばんの問題として、現実世界とのつながりが途轍もなく薄いこと。
今回のお話で、つくづくフロンティアの子供たちは不利だと感じました。
デジモンたちとのかかわりで自然に出せた、それぞれの美点や欠点をひとりで演じなければならず、しかも『デジモンになる』という設定のために現実世界へお話を持ち込むこともほとんどできない。結果、親御さんたちとのつながりが弱くならざるを得なくなってます。そのうえ追い打ちをかけるように、家族を恋しがる描写もきわめて少なかったですし。
作風を変えた、と言えばそれまでです。でも、望んで来たとはいえ、家から遠くはなれるのですから、普通は家族に会いたいと思ったり、来たことをくやんだり、思いを馳せたりするはず。現実世界の存在は、それで補完できるはずです。
ここが足りないまま家庭の事情を持ち出されても、視聴側は戸惑いを感じるのではないでしょうか。
というわけで、輝二にも輝一にもあまり感情移入ができませんでした。残念……。
拓也のセリフはいいと思いました。しかし、実は彼、輝二に内面をちゃんと見せたことがなかったような気がするんです。
今回のようなセリフを、以前の回で
輝二に対して
もっと披露していてくれたらぐっと活きたと思うだけに、惜しい回です。うー。
7話だけだとちょっと弱い。
さて、次回からは敵がケルビモンしかいなくなる&薔薇の明星戦になるので、間をもたすために強い雑魚がわらわら出てくるかもしれません。
こりゃあ本気で4クール目からの敵はオリンポス十二神になるかも…。伏線はまったくないんですが。
●各キャラ
・
拓也
輝二の助っ人。ゾーンデリーターから
タックルだけで
彼を救出しました。すげえ。
いったい何メートル飛んだんだ(^_^;)
・
輝二
やっと輝一の存在を認識しました。が、間もなく攻撃へ転じたので
なんだかわからないけどとりあえずスピリット強奪
というノリ。
というか、彼のほうのショックもけっこうなものなのでは? 父にずっとだまされていたのだし。
・
輝一
こないだまで殺る気まんまんだったのが、オファニモン紋章閃のせいか当初は気力-30でした。
孤高なるBladerの姿で輝二への呪詛…つーか過去の解説を続けるシーンは萎え萎え。なぜにセリフだけで語らせますか……。
回を追うごとにヘタレの操り人形になっていくありさまは涙なくしては語れません。来週は見せ場が?
・
泉
他の二人とともに、いったん別れたトレイルモンと合流。現場に向かってます。特に目立った言動はなし。
・
友樹
忘れた帽子を取りに戻るシーンがかわいらしかったですね。今回はそんだけ。
・
純平
今回もわりとリーダーでした。ひさしぶりに泉ちゃんラブも披露してます。
・
パタモン
拓也と輝二の
語り合い&回想シーンの間じゅうベルグモンをくい止め続けるというすごい偉業
をやってのけてます。
差し引きでも3分くらいあったぞ…(笑)。
えんえんと語るふたりは、
あと3分という状況で友情を確かめあい1分ほどを無駄に使う
ハリウッド映画の登場人物たちみたい。
・
ボコモン&ネーモン
いよいよ野次担当へ…。もっと使ってあげてください。かわいそうになってきました。
・
ケルビモン
この間はベルグモンに逆らわれたと思しき場面があったんですが、どうやらアレはただの暴走だったみたいです。
次回からはやっとみずからが出てくるようですね。果たして彼の真意は?
●今回の名(迷)セリフ
『まだわからないのか。オレは輝一だ!』(輝一@ダスクモン)
いや、わかんねえっスよ。
『そうか…おまえにも兄弟がいたんだな。よかったな』
『家族だろ! 兄弟だろ! お前が救ってやらなくて、誰が救ってやるんだ!
兄弟ってのはな…そんな半端な気持ちでやれるもんじゃないんだ!』(拓也)
素直に、とてもいいセリフだと思います。思うんですが…。
『あいつ…あの時の! あいつが…!?』(拓也その2)
22話のときの彼は別にあれが初めてではなく、どうやら輝二をストーカー中だったようです。今回とあわせるとまぢでそう見えます。
それにしても、拓也もよく憶えていたなあ。
●予告
ケルビモンがいよいよ出陣。同時に、レーベモンが登場のようです。映像から考えて次回は彼のひとり舞台になりそうですね。
さあて、どう戦い抜くかな?