俺が大だ!コカトリモン襲来
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脚本:山口亮太 演出:伊藤尚住 作画監督:浅沼昭弘 |
★ストーリー要点
大とアグモンの出逢いと拳で語る友情。異分子デジモンを排除しようとする特別組織・DATSからの逃走劇。
暴れ出てくるコカトリモン。傷つくアグモンに、怒りを燃やす大。
そして謎の老人から渡されたデジヴァイスicとデジソウルチャージにより、ついにジオグレイモンが出現!
★全体印象
デジモンシリーズ復活の狼煙、第1話です。
タイトルコールは大役の保志総一朗さんですが、回によって変わったりするのでしょうか?
放送形式はフロンティアまでと違い、アバンパート採用&本編中途CMが無し。つまりはガッシュ第3期と同じ構成です。
何はともあれインパクト勝負という、非常にわかりやすい一話ですね。
あまりの展開に初見こそあっけに取られましたが、落ち着いて再見してみればまずまずの掴みといったところ。
力任せではあるものの、お話をDATSの簡単な説明と大の人物像、そしてアグモンとの出逢いに重点を置いて作っているため、ある程度掴めるようになっています。話運びの手法が前シリーズまでとまるっきり違うので相当戸惑いますが……これは呪いみたいなものですかね。
まだ大の家族どころかトーマさえ出てきていないので、これから色々あるでしょう。2話以後に期待です。
未確認をざっとたしかめたところだと、総作画監督は浅沼昭弘さんです。テイマーズから参加している人ですが腕は確か。山室直儀氏や上野ケン氏の名前は見当たりませんが、ガッシュ最終話は作画にかなり力が入っていたため、その関係でまだ合流してないのかもしれません。演出ではSDの伊藤尚住氏が新顔ということになりますが、それ以外の顔触れが気になるところ。今村隆寛さん来てくれないかなあ…。
伊藤氏自身のウデはどうかといえば、貝澤氏みたいにそれと分かりやすい癖はないものの、とくに問題はなさそう。
音楽は奥慶一さん。どれみとナージャの人ってことは知っていたのでもう少し調べてみましたが、昔から手広くやってますね。ウイングマンの劇伴なんかも担当していたようなので、亡くなった有澤さんにも負けないベテランということになるのかな。人選としては妥当かもしれない。
……が、有澤さんへの贔屓目抜きにしても耳に残りづらいのは…まだ私がこの方の音楽に慣れていないからなのでしょうか?
でも、ナージャとか通しで見ていたんだけどなあ……。
あとの問題は脚本ですが……大和屋氏やガッシュから参加している隅沢氏がそのまんま流れてきそうな気もします。
前川氏や吉村氏は戻ってくるでしょうか? そのへんは期待せずに待つとします。
そういえば、最初のころの予告とずいぶん映像がちがってましたね。
大が上からうりゃーって殴り下ろしてるカットがあったと思うんですが、八島作画っぽいこの部分は本編にありませんでした。
デジソウルの光も予告ではただの炎だったし、あの段階ではまだ未完成だったみたいですね。
★OP・ED
OPはまだ憶えきれていませんが、サビの部分が妙に癖になります。予告を連続で見たせいかなあ?
映像ではつぎつぎと出てくる進化体の影がテイマーズを、サビの疾走がデジアドを思い起こさせる作り。過去の良いところを抽出した風ですが、逆にこのOP独自の味というか、これという場面はなかったかもしれません。難しいものです。
ジオグレイモンの完全体はまんまメタルグレイモンに見えますが、究極体はウォーグレイモンと言うにゃ少しばかり華奢。トゲトゲの装飾が目を引きますが、ウォーグレイモンとオメガモン(またはデュークモン)の間ぐらいの姿になるのかも。
ガオモン系はゴツいです。見たところ完全体以後は2足オンリーみたいですが丸太みたいな腕を見るに、格闘専門になりそうな。ララモン系は究極体がどう見てもロゼモンですね。あるいは本当にロゼモン持ってくる可能性があります。完全体はリリモンじゃないように見えますが。
EDはセンちゃんが面影をまるで感じさせぬ歌声。どうやらファンにも定評の歌唱力は健在みたいですね。
大とアグモンしか出ていないという、映像的にも初の試みです。
★各キャラ&みどころ
・大
行動原理が恐ろしくシンプルで、悩みなどとは無縁に見えます。大輔あたりとすごく仲よくなるか、犬猿の仲になりそう。
命令されるのは大嫌いみたいですが、逆に頭下げて頼まれたらイヤとは言えない性格かな? 妹には甘いタイプです。態度はどうあれ。
このように、たいへん読みやすい主役で良く言えば掴みばっちり、悪く言えば類型的。
そうはいっても、キャラが固まらないよりはいっそ類型的な方が遥かにマシなんですが。
で、声は皆さんご存知の通り保志総一朗さん。思ったとおり、スクライドのカズマが一番近いといえる性格でした。
カズマはもっとずっと過激だったのですが、庇護対象に徹底的に弱いあたりは共通していそう。
・アグモン
ネクストのような超ナマイキ系かと思われましたが、どっちかと言えば従来寄りでした。
大への接し方は舎弟のそれですが、同時にもっと無心な、小動物っぽいところもあわせ持ってます。
声を担当する松野太紀さんは、大と同じく主人公格初の男性声優。
ひっくり返った演技は最初こそ違和感がありましたが短い間にだいぶこなれて耳も慣れ、いい感じになってきました。
ジオグレイモンになると一転して無闇にかっこよくなります。
・ 淑乃
ちゃっかり者という設定でしたが、こうして見るとむしろ数少ない常識派のひとりと言ったほうが合っています。
大の行動に頭を抱えること、3回。大がいまだ未登場のトーマと確実に起こすであろう衝突を思うにつけ、彼女の苦労が予想されてなりません。次回ではサンフラウモンが登場するみたいですが、ダウン奪われてる映像が初登場という、もしかしていろんな意味で不幸属性…?
好物はコーヒーゼリーのようです。
声は新垣結衣さん。アイドル女優ですが、レギュラー参加の運びとなりました。
演技に関してはさいわい、可もなく不可もなく。このレベルなら大して気になりません。……前例を思えばね。
・ララモン
ぱっと見なにも考えてないように見えますが、淑乃とのやり取りや素早いフォローから見てなかなかの曲者です。
アグモンもそうですが意外なほど大きく、頭などはまるまる一抱え分ありそう。
ゆかなさんの演技は時々毒気抜かれそうにふにょーんとしてて良いのですが、サンフラウモンのときはどうなるのかな?
・薩摩長官
異常に広い肩幅はクダモンの居場所確保のためだったのでしょうか?
サングラスや大への説明だけ見てるとひたすら胡散臭いんですが、コカトリモン戦後のセリフからすると、単に熱心すぎるだけとも思えます。
組織内の立場はまん中ぐらいだと思うのですが、上層部とか出てきたりするのかな?
ところで彼、アニメ登場のテイマーではぶっちぎりの最年長だったりします(02最終話は例外として除く)。
こういうところからも、今回のシリーズがそれまでと違うのだということがわかりますね。
声の担当は楠大典氏。奇行をかましてくれそうで面白げな人なので、注目したいと思います。
・クダモン
薩摩の首へつねに巻き付いているパートナー。クール系ですが相方より口数が多い印象です。意外にイヤミ?
でも実力はたぶん相当のものでしょう。彼が動くときは山場と思ってよいですね。
あ、「彼」ってことはとりあえずオスという設定なのか。
声を担当する葛城七穂さんは宝塚在籍経験もある方のようです。何かピッタリだな。
いちばん有名な役のひとつは「どれみ」の関先生ということになりますか。
・DATSのみなさん
正式名称はDigital Accident Tactics Squad……つまり、デジタルワールドがかかわる事件へ戦術的に対処する部隊、ということになります。
逃げたデジモンにコードネームつけてるあたりはもろにヒュプノスなんですが、最大のちがいは善意のデジモンたちが協力することで成り立っているという点でしょう。規格外の個体や(コカトリモンのような)暴れデジモンを排除することはありますが、上記の特色もあってデジモンそのものを敵視しているわけじゃありません。上層部があるかどうか自体がまだわかりませんが、あの基地の面々はデジモンたちとも結構うまくやっているように見えますね。
「仮面ライダーカブト」のZECTに近いかと思っていましたが大変な勘違いで、「ウルトラマンコスモス」のEYESが近かったようです。
オペレーターやってた婦警さん二人やポーンチェスモン2体のほかに、お茶くみとして妙な亀みたいなデジモンの姿が確認されています。
何かポケモンを思い起こさせてしまうデザインラインなんですが、パートナーはいないのか、それとも今後に得るのか…気になりますね。
OPにいるのでメインにかかわるのは間違いないんですが。
トーマの姿は見えずでした。転勤してきたりとか?
・謎の老人
太公望を気取っていますが、やはりただ者ではないようですね。
3秒で予測できる素性は元開発部の脱退組ですが、ではそもそも何故、脱退する事になったのでしょう?
何かしらの秘密というか、ドラマがありそうです。
・コカトリモン
突然あらわれてハンバーガーショップを襲撃した成熟期。テレビへの登場はたしか01以来ですから、ずいぶん久しぶりです。
必殺技はペトラファイヤーですが、特に技名を叫んだり情報が出てきたりはしません。今回からはデジモン紹介のシーンが無いようです。
ただし炎が命中した木が石化して崩れる映像は確認できるので、効力はちゃんとある様子。
その一方、尾羽根を光らせるという怪獣的演出から繰り出される全開バージョンではどうやら石化効果が消失しているみたいですね。あるいはペトラファイヤーと別に、純粋な破壊効果にのみ特化したブレスを持っているのかも。だとすれば、この個体も規格外ということになりますか。
身長は5〜10メートルといったところ。01のときは船のなかを走り回れるくらいのものでせいぜい2メートルですから、まったく違います。
さらに言えば、言葉をあやつることもありませんでした。淑乃のセリフから類推するに、人語をあやつる個体はあまり多くないのかも。
このあたりの解釈も、一からやり直されているってところでしょう。
なお、倒された時点でデジタマになり淑乃が回収していました。
たぶん、何らかの手段を使ってデジタルワールドに送還というか放流するのでしょう。
・ 物語の舞台
横浜みたいですね。ランドマークタワーにベイブリッジが見えるし、大たちがいたのはマリンタワー。
まあ、デジモンが暴れ回るには最適の町のひとつでしょう。
★名(迷)セリフ
「どこのどいつか知らねぇが、俺のシマを荒らす奴ぁ許せねえ! 日本一の喧嘩番長、大門大さまがな!!」(大門大)
のっけからこれ。どう見ても人間じゃないんだからちょっとは不審に思えよ(^^;)
でもこんな彼だからこそ、先入観なしにアグモンとぶつかり合えたのでしょうけれど。
「殴るかぁ、フツー?」( 黒崎美樹)
山口氏がサイトで言っていたのはこういう意味だったわけですね。
ちゃんと頭切り替えないと本質を見失いそうです。
「最悪なんですけど〜!」 (淑乃)
大を振り回しているようでいて、その実振り回されているようにしか見えない彼女。
教えてくれ五飛……彼女はあと何回、このセリフを言わなければならない? ゼロは何も答えてくれない…。
「調和だかなんだか知らねぇが、あいつがこっちの世界に飛び出した理由を! あんたら、考えたことがあるのかよ!?
あいつは憧れていたんだよ…この世界に。見た事もないような連中がうごめく、この世界に…!
とにかく、オレはあいつを売り渡すつもりはない!
ただしあいつが暴れたりしたら、その時はオレが責任をとる。それでいいだろ!?」 (大)
大のセリフでは今回、一番長くて一番いいセリフです。
根拠もなにもめちゃめちゃですが、あっさりとアグモンの本質を見抜いて他意なしに擁護するこの姿勢は、注目に値するところ。
アグモンにとっては自分で言っていたとおり、はじめて自分の価値を認めてくれた存在で……だからこそ、パートナーになれたんでしょう。
「ハッキリしてるのは、こいつのせいで…オレの子分が濡れ衣を着せられたってことだけだ! 行くぞ、アグモン!」(大)
こんな理由でいきなり五倍以上の体格の相手を殴りにいくような男はさすがに漫画でもあんまり見た事がありません。
デジソウルの影響だろうとはいえ、実際に殴り倒すのだからもっと凄い。
「デジモンと心を通わせるだけでなく、進化までさせるとは…! あの少年、ぜひわがチームに欲しい!」(薩摩長官)
このセリフとか見るとむしろ熱血漢に見えます、長官。クダモンがなんだか呆れてるように見える。
★次回予告
フライモンとは、これまた久しぶりです。未登場の個体もまだまだいるはずなので、次は何が出てくるのか楽しみですね。
サンフラウモンには元から進化できたのでしょうか、それともこの回で獲得するんでしょうか?