DATSチーム全滅!? 激突メルクリモン
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脚本:稲荷明比古 演出:深澤敏則 作画監督:出口としお |
★あらすじ
謎の老人・湯島の案内で、無限氷壁に突入する大たち。
途中イクトの襲撃やゴツモンの介入により分散するが、湯島の呼びかけによってメルクリモンとの話しあいが実現する。
大に助けられたイクトの心は、次第に揺れはじめる。
湯島とメルクリモンの主張は平行線をたどるばかりであった。
デジモンたちをそのデータごと消滅させたという、人間たちの所業…それは、湯島のまったくあずかり知らぬところだったのだ。
否定しようとする湯島へ遂に怒りを爆発させたメルクリモンは、ここで彼らを消し去ろうと攻撃を仕掛けてくる。
そこへ遅れて大とアグモンが到着するのだが、メルクリモンはやはり強い。
大の提案で同時攻撃を仕掛け、ダメージを与えるも、逆に本気を出したメルクリモンの一撃が……。
絶体絶命の窮地を救ったのは、湯島だった。カメモンを呼び出して進化させ、隙を作り大たちをデジタルゲートへ逃がす。
湯島に託されたイクトと、気絶したままの彼を追いかけてきたファルコモンもいっしょだ。
無限氷壁の戦いはかくて、DATSの敗北に終わる。そのうえ、新たな謎が…。
★全体印象
18話です。早いもんで、そろそろ20話が見えてきました。
とりあえず、デジタルワールド篇はこれで一段落…かな?
2クール目終わりまで引っ張るかと思ったのですが、わりにすぐ帰ってきてしまいました。
展開が早いというべきか、ただ単にいままでのシリーズと全く展開が違うのを先入観で勘違いしていただけなのか。
いずれにしても、これでメルクリモンが戦うべき相手ではないということがハッキリしました。
各レギュラーの成長エピソードも一段落していたため、今回はイクト(および、メルクリモン)の描写が多め。
そしてむしろ、キャラ描写より背後関係の謎がクローズアップされています。ある意味、ストーリー的にはいちばんドキドキさせられる時期。
いったい何が起こったのか、あれこれ類推できて楽しみが増すというものです。
でも本当、どんなことが過去にあったのでしょうね? それがわかれば、影に蟠るものも見えてくるのでしょうが…。
完全体そろい踏みでもメルクリモンに届かないのは、予告でわかっていたことでした。
さすがにメルクリモンはそこらの究極体じゃないし、むしろこれで負けていたら面目丸つぶれです。
あの場にもし一体でも究極体クラスがいたなら話は別でしょうが、まだまだ時期尚早。
こうなると、シャイングレイモンの登場がいつになるかが重要になってきます。
映画がどうも最終形態の先行お披露目っぽく見えるので、意外に早いのかもしれません。
でもまあ、11月くらいかな?
で、メルクリモン戦第2ラウンドがここで終息ということは、2クールめラストに向けてもう一発盛り上げてくる可能性が大です。
果たしてその相手はメルクリモンか、それとも……。
作画的にはほとんど見るべきところがありません。動きや演出の間そのものは悪くないんですが、カバーできるほどではなく。
まあ、次回はかなりイケてるっぽいのであきらめましょう。
★各キャラ&みどころ
・大
イクトと何度目かの対決ですが、事情を知っても手加減はしないあたりにらしさを感じます。
行動規範が男であるかどうかなので、イクトを助けたのも男としての心構えに則ったもの。
でも、なまじ相手のためにやったと言われるよりは説得力があります。ファルコモンを助け、信じて行かせたのも同じ理由ですね。
また、結果として負けはしたものの、メルクリモンの顔面に拳を入れることには成功。
さらに、3人の求心力として着実に存在を大きくしている事実をアピールしました。父の手がかりをメルクリモンが握っているかもしれないという
収穫もあったので、13話とちがい、得るもののなかった対決とは必ずしも言えないでしょう。
勝ちたかったろうと思うので、来週は悔しがってるかもしれませんが。
・ アグモン→ライズグレイモン
ライズグレイモンになってからは初の苦戦→敗北です。
メルクリモンの圧倒的なパワーとスピードの前に、めずらしく弱気を起こしてるシーンもありました。
自分も強くなってるはずなのにまだ届かないのだから、気弱にもなるでしょうけど。
そういえば初めてライジングデストロイを披露してましたが、拡散じゃなくて収束ビームなんでしょうか、アレ。
拡散が本来の使い方なのを、収束させてるのかもしれませんが。
・淑乃
今回はだいぶ出番が少なく、存在感もさほどアピールできてません。
前話活躍した反動が大きかったのと、そこから休みなしに節目エピソードを迎えたのとでダブルパンチを食らってます。
まあ、ここは堪えましょう。
・ララモン→ライラモン
せっかく完全体になりましたが、いいところを見せられませんでした。
でも今回は相手が悪いし、他のメンバーも同じようにボコられているので彼女たちだけがワリを食ったことにはなりません。
これでまたしばらくボス戦はないと思うので、その間に活躍できるでしょう。
ライラシャワーは思ったより弾数が出てませんでした。
・トーマ
だんだん大に影響を受けてきている側面を出していました。
淑乃は驚いてましたが、彼女も10話でクダモンに指摘されていたりします。
・ガオモン→マッハガオガモン
出番は少ないんですがアグモンにツッコミを入れたり、弱々しく「マスター…」と言ったり意外にしゃべっています。
メタルファントモンを一撃のもとに砕いたウイニングナックルを片手で受け止めるあたりに、メルクリモンの強さが浮き彫りとなります。
・湯島のおっちゃん
いろいろ知っているくせになかなか話さないという、典型的謎のジジイ。
しかし、メルクリモンは彼でさえ知らない情報を握っていたようです。なので、もったいつけて出てきたわりにはあんまり役に立ててません。
というより、彼が出てきた理由の半分は大たちを逃がすためでしょう。残り半分は、謎を煽る役割。
とはいえおっちゃんの事だし、交渉が決裂に終わる可能性も当然、想定に入れていたでしょう。そうなった場合、大たちではまだ勝てないということも。
わざわざ危険を冒してデジタルワールドに来たということは、大たちを最優先で逃がそうという狙いが最初からあったのでしょう。
最初から無限氷壁にいたのも、脱出したあとすぐに隊長が救助に来られたのも、いろんな可能性を織り込み済みで行動していた結果。
大たちはおっちゃんの世話になりっぱなしですね。いつかは乗り越えるお話もあるのかな。
それにしても、探検隊のシルエットにおっちゃんらしき影があったのは見間違いじゃなかったようです。
いろいろ語ってくれそうだったのですが、残念ながらDW残留。死ぬとは思えないので人質のような形になるのかな?
今後しばらくは、彼の救出が目標になるってことでしょうか。
・カメモン
突然しゃべりだしました。しかも進化するとDJになります。カッパとDJが関連づけられることが多いのは何故なのでしょう?
「ディージェーィシュゥタァー!」のかけ声が普通にイケメン声でかえって笑えます。
しゃべれなかったのではなく、シナリオ上しゃべらせるわけにはいかなかったってことですね。
「陰陽対戦記」に出てきた秋水のナマズボウを思い出したのは秘密。
そういえば、あっちも相方との付き合いが古いという設定でした。
・イクト
大にハッキリ、あまりにもハッキリ「同じ人間」と言われて揺れてます。
メルクリモンには可愛がられていたようですが、やはりどこかで「皆と違う」という感覚は抱きつづけていたのでしょう。
ああも人間に拘るのは、デジモンの間で育ちながらデジモンではない自分への近親憎悪的な面があったのかもしれません。
メルクリモンは、できることなら今度のことをきっかけとして、イクトにそのしがらみを振り払ってもらいたかったのでしょうね。
デジモンになりきれぬ人間ではなく、デジモンとして人間を見られるようになってほしいと。そんな親心だった気がします。
が、問題はそれだけじゃおさまらないわけで…
・ファルコモン
前回は黙ってましたが、今回でやっとイクトを説得しはじめました。彼は今後も、イクトと大たちの橋渡しをしてくれそうです。
躊躇いながらもアグモンを背後から襲おうとしてましたが、怪我もあって断念。
そういえば、持ち味のスピードが復活してました。回によってバラつきがあります。
・ゴツモン
もとからイクトのことは疎んじてましたが、ここへ来て悪役度が増してきました。
メルクリモンへの忠誠度は確かに高いのですが、それ以上にイクトを、ひいては人間すべてを必要以上に敵視する姿勢が
より強く打ち出されるようになってきています。表情ややり口も、どんどん悪党じみてきました。
でも悪党というより、頑迷といったほうがいいかなあ…。善かれと思ったことが過ぎて、結果的に悪意になってしまうような。
メルクリモンがイクトに抱く複雑な親心ってものも、どうやらまったく理解していないようですし。
こういったキャラこそしぶとく生き残ってくれたほうが、最後にわかりあえると嬉しいものなんですが……ちょっと厳しいかな。
次回でさっそく退場しそうな勢いですし。
・メルクリモン
やはり強いです。第1ラウンドよりは勝負になりましたが、本気を出されるとまだまだ届きません。
なぜか必殺技サウザンドフィストより、名無しの腕ビームのほうがはるかに強力なイメージがありますが…。
でもイクトの父親がわりという点や壁のような圧倒的な強さからみて、何か死亡フラグが立ったような…。
敵のままというのは例外をのぞけばまずないとして、特攻ルートかかませ犬ルートが待っていそうな予感も。
・謎
デジタルワールドで過去になにがあったのか、ちょっと整理してみました。
・調査隊の目的は侵略じゃない
・メルクリモンはそれをよく知っている=調査隊はメルクリモンの世話になったことがある?
・その時点での関係はおそらく良好で、調査隊は城のゲートを使って帰還した?
・調査隊メンバーはメルクリモンの心境の変化を知らない
・つまり、ユキダルモン死亡にかかわる重大な事件は調査隊が帰った後に起こった件ということに?
・流れ者の岬で何かが研究されていて、そこで事件が起こった?
・デジタルワールドと人間界の壁を崩しているのはメルクリモンではない(彼が自分で人間共の仕業だと糾弾している)
・メルクリモンがわざわざ話題に出した「あの男」と、直後に話題に出た大門英博士の名
・大門博士は現在、デジタルワールド内で行方不明
………ということは、やはり……?
…それにしても、あの回想シーンに出ていた不気味なクリーチャーはなんなのでしょう。
視聴中に思わず「なんだ……これは?」と呻いたほどのものです。
どことなくデ・リーパーを思い起こさせるフォルムなのは、私の思い過ごしなのでしょうか…。
デジモンを欠片さえ残さず、消滅させるなんて…
そんなことができるのは、デ・リーパーかそれに類するものだとしか思えないのですが…
うーん?
★名(迷)セリフ
「メルクリモン! おれ、デジモンだよな!?」(イクト)
こんなセリフは、もともと心に違和感を持っていなければ出てこないもの。
デジモンたちの間で人間が生きていけないとまでは思いませんが、それでいて人間を敵とする思想はいささか本人に酷ではあります。
メルクリモンとしては迷いを振り払ってほしかったのでしょうが、彼さえも神ならぬ身。ままならないものです。
「イクト…!? やはり、あの子は野口の!」(湯島のおっちゃん)
野口としか聞こえないんですが…ふむ。調査隊の誰かが連れてきた赤ん坊かなにかだったのでしょうか?
でも、だとしたら調査隊のことを知っているメルクリモンがイクトを見つけたとき、人間界へアクションを起こさないはずがありません。
少なくとも、例の事件が起こる前であれば。
でもイクトはユキダルモンのことを覚えていたので、5歳か6歳のころまではユキダルモンも健在だったはず。時期が合いません。
なにか事情があって、デジタルワールドに残していかざるを得なくなったのでしょうか?
うむむ、謎は深まるばかりです。
「イクトは我が息子も同然。人間は親子の絆を教えてくれた…」(メルクリモン)
教えてくれたってことは、親子の営みが実際に彼の目の前であったということになるのかもしれません。
ひょっとして、イクトは探検隊の誰かと誰かの間に生まれた子供で…それがメルクリモンの宮殿で誕生したとか?
でも何か事情があって、両親と離れ離れになったのか、両親が身罷ったのか…うーん、何があったんでしょう。
「どんなときでも、力づくで可能性を作り出す! それが男だっ!」(大)
女です!(源しずか)
冗談はさておき、合体攻撃によって一矢は報いました。この矢が次はどこへ向くことになるのか…
秋へ向けて、お話の行方が気になるところです。
★次回予告
作画回復。そのせいかゴツモンがなんか怖いです。
文明の利器に振り回されそうなイクトに「ザ・グリーンアイズ」を思い出してみたり。淘汰完了。