ギルモンに戻って!グラウモン騒動

 脚本:浦沢義雄 演出:佐々木憲世 作画監督:清山滋崇
9話です。


■タカトとグラウモン

「…怖い!」

すっかり理性を失ったグラウモン。その姿に、恐怖するタカト。この構図は、少なくともこれまでの『テレビシリーズ』では見られなかったものです。(例外はスカルグレイモン)
もっともタカトの涙で、あっさり元に戻るのですが。気持ちがつながっている?

さてグラウモンですが、図体がでっかくなっただけで、理性を取りもどすとギルモンとなんら変わりません。これもテイマーズならでは。
02までだと本質はいっしょでも、口ぶりが大人っぽくなったり声のトーンが下がったりと、進化するたびに細かく変わっていましたから。


■インプモン
どこからかぎつけたのか、グラウモンをからかいにきたインプモン。の割に
腰が引けぎみで、子悪党テイストをバリバリかもし出しております。
いやがらせにたまりかねて、いきなりエキゾーストフレイムを吐くシーンは印象的。グラウモンにとってはただの威嚇にすぎないのですが、成長期とは大ちがいの威力です。


■加藤さん
すでにわんわんがトレードマークと化しているこの方。
予告から、デジモンとファーストコンタクトするのかと思ったんですが、全然違うシーンでのわんわんだったようです。
天然っぷりが誇張ぎみなのは、脚本が浦沢さんだからでしょう。


■李くん
こっちはこっちで、もはやタカトの筆頭相談役。まるでそれが任務であるかのように、おっとり笑いながら協力しています。いい味かも…。

なんか今回は『いいよいいよ』しか言ってなかったような印象。


■テリアモン

「ゆるしてあげてよ」

李くん直属の密偵として
活躍。今回はしぐさもいちいちかわいらしくて、思わずにっこりです。
しげみに耳をひっかけて困っているシーンは、なかでも出色といえるでしょう。あとは、グラウモンを見つけてびっくりしている時の顔ですね
グラウモンにフォローを入れたり、優しい一面も見せてくれました。

こんなにかわいいのに、いずれ量産型ガンキャノン森林仕様みたいになるのですね…。
そりゃ李くんもいやがるわな。


■グラウモン迷彩仕様
わずか1分ちょっとの出番でした。
それにしてもあのペンキ、水性?


■留姫とレナモン
今回は顔見せ。でもこの回を最初に見た人は、悪印象を持ってしまうかも…。
そういえばギルモンはおもに鼻をきかせてデジモンを見つけますが、レナモンは眼をきかせて敵を見つけるようです。同時に敵のデータを読み、留姫のデバイスへ送っているようす。


■虹とギルモン
虹に見とれているうちに、自然とギルモンに戻ってしまいましたね。原因はまあ、いろいろ考えられるのですが、今回はこれで終わってしまい、ほんとうに成長期に戻すだけで、一週ついやしてしまいました。前代未聞のことです(^^;;


■総括
今回は浦沢義雄さんによる脚本なのですが、あれだけクセが強い人なのに、よく押さえたなぁという印象です。逆に言えば、この人の味が出し切れていません。他にシリーズ構成も持っているし、今後の出番は減りそうな感じです。

タカトというキャラの難しさも、今回浮き彫りになりました。ちょっと気弱な部分はたしかにあるけど女々しくはないはずだし、理不尽への反発心も持っていて、でもそれを、普段から出しているわけじゃないはず。誇張されている性格がないのです。
この9話はというと、やや気弱さが前に出てしまった感じ。まだつかみきれていないんでしょうか。
2話を見たかぎりじゃ、泣いているところを見られたがらない子でもあると思うんですが…。

作画は1話と同じ清山さん担当なので、ほとんど問題ありませんでした。


■予告
なにやら妖しげな雰囲気。留姫とアイスデビモンの組み合わせは奇妙なエロチシズムです。
このへんのムードばかりが強調されて、留姫とレナモン、という根底のテーマがちゃんと描かれるかどうか、これは必見というべきでしょう。