デ・リーパーに襲われた街 テイマーの決意
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脚本:まさきひろ 演出:角銅博之 作画監督:信実節子 |
42話です。いよいよ終盤にむかって動き出しました。
■疎開?
デジモンやそれ関連の異変が頻発しているためでしょうか、新宿周辺の人々は地方へ疎開したような感じですかね。
まあ考えてみれば、ヴィカラーラモンの大暴れでめちゃくちゃになってしまったわけですし、また同じようなことが起きうるわけですから。その公算が少しでもひくい地方へ一般人を避難させるのは、政府として当然の措置でしょう。
そんな中、鎮宇さんは室長へ積極的に協力しています。仲間たちもいっしょ。
もちろん都庁があのざまですから、あれは緊急の本部でしょうけど…。
このふたりのかかわりも、変わったものです。
■リョウとその父親
リョウってば、えらい量の取材を受けてましたね。まあ、伝説のテイマーとまでいわれる彼ですから、それなりに知名度があるのでしょうね。本人はまるで無頓着みたいですけど。
父親の涙に言葉を失うかれには、初めて内面にかかえる心情をかいま見た気がします。
■モノドラモン
無口かと思ったらそんな、声まで変わっ……てませんでした。
ていうかサイバードラモンの人でいきなりその脳天気な演技はかなりダメージを残します。
完全体→成長期という、いままでの逆パターンだけに落差が……。
■加藤さん?
『イタクナーイ、イタクナーイ…………』
……うわ、こわっ。
あ、あのままマウントポジションで弟の首を絞めるのではないかと ハラハラ。
いや、本気でそう思いましたよ……。
そして、一体どこへ行ったのでしょう?
■デーヴァとその正義
『趙先生の言った通りだった。デーヴァには、デーヴァの正義があった……』
趙先生との会話にて、ジェンが言っていました。つまりは、そういうことなのでしょう。
あらためて物語を反すうしてみると、タカトたちテイマーズは、テイマーたる『誇り』と、『ふりかかる火の粉をはらう』ために戦っており、デジタルワールドに行ったのも、友だちのクルモンを助けるためでした。探求心もあるでしょう。
デーヴァはデーヴァで、人間に飼われるような自分たちの『末路』を認められずに、誇りをかけて勝負をいどんできたと考えることができます。インプモンを見下していたことからもわかるでしょう。
そこにあるのは単純に陰陽、悪と正義にて割り切れない、イデオロギーの違いにも似たものでした。
デ・リーパーの登場で争いは終息しましたが、それはあくまで緊急のこと。とくに、スーツェーモンの考えが完全に変わったわけではありません。いえ、まだ人間には根深い不信を残しているはずです。
対応をあやまれば、すぐさま紅蓮の炎で灼きつくされてしまうでしょう。
結局テイマーズの世界観では、人類とデジモンが相容れることなどないのかもしれません。
ギルモンを正視できない青年を見て、そう思いました。
まあ、個人レベルではべつですけどね。
■牧野家
『…言わなかったよ。あたし……行っていいって、言わなかったよ……!』
いつのまにか、留姫と母親は歩み寄っていました。そのうえで、もう一度離れました。
ハートブレイクからラブハートへ。あれはもう完全に『やられた』と思いましたね。うまくコメントできないくらい。
声だけで泣き顔を見せなかった留姫ママの描写も秀逸でした。想像なら容易にできますけどね。
■李家
『子供を危ない目に遭わせて、平気な親なんているわけないじゃない! いたら…おかしいわよ……』
愛情ゆたかなお母さんです。ジェンが大人びているのは、このお母さんのおかげもあるでしょう。
そして、お母さんはジェンが鎮宇さんに似て頑固なこと、でもその鎮宇さんは信念を持っていて、いざという時には絶対に手を貸してくれる義を大事にする人で、そんなかれが好きだから結婚して、お腹を痛めてジェンや小春やそのきょうだいたちを産んで。
大好きな鎮宇さんの血が流れ、ひいては自分の分身ともいえるジェンのことも、お母さんは愛しています。
そして、だからこそ止めることができなかったのでしょうね。脈々とながれるその生き方が、全部好きだから。
母親としての本能が背を向けさせてしまいましたが、そのくらいはしかたがないと思います。
それにしても、上のセリフを見れば見るほど、皮肉に聞こえます。寒い時代だ。
■デジモンテイマーズ集結
『そうだね、ぼくらはテイマーズだもんね!』
…………ヒロカズとケンタは?(笑)
■シャツとトンネルと照れ隠し
『……えっ、言ってよかったの?』
タカトも留姫も顔を赤くしてましたが、あれはまあ、子供らしい照れでしょうね。深い意味はなさそうです。
ジェン、ぼーっと見てるだけだし。
でも留姫は子供としちゃあ美人なほうですから、タカトみたいな子は話をしただけでも照れちゃうのでしょうね。
考えてみれば、デジモン抜きでふたりきりになったこと自体、なかったんじゃないでしょうか。
ジェンはよく留姫と行動してましたが、テリアやレナモンのどちらかが張っついていたと思うし……。
プライベートではどうだったのかな?
…いや、まあ、いいか(^_^;)
■インプモン
『……!』
絵が飾ってありましたねー。あの子たち、インプモンがいなくなっちゃって、やっぱりさびしかったんでしょうか。
とりあえずこれで、チャツラモンの言葉や見せた映像がウソ八百だということがわかりました。
さて、次回はアイやマコちゃんと、どんな会話をかわすのでしょう。
■デ・リーパー?
ここへきて、具体的に形をとりはじめました。あの物言わぬ赤血球でどう保たすのやら、と思っていましたが、どうやらちゃんと実体化しているようです。これでアクションがやりやすくなったかな?
なんだか『ガオガイガー』の機界31原種に似た不気味さを感じましたよ。
■総括
戦闘シーンのないほうが面白いってどうよ? ってぐらい満足度のたかい一編でした(^_^;)
テイマーズの子供たちは本当に、親とのかかわりをしっかり持ってくれています。彼らにしかできないことはあるけれど、彼らの間だけで終わるような話にはなっていない。
だからといって親のほうから何かを過剰に押しつけているわけでもないし、子供たちのほうも、過剰に反抗しているわけじゃないですから(前半約一名例外あり)。
こういうところが大好きなんですよ、テイマーズって。
■次回予告
ついに! ブラストモードが登場です。緑の瞳は、真の誇りのあかし。
孤高の魔王の力は、ただ自分の存在を覚えていてくれた小さな命と、その想いがつなぎとめた、みずからのプライドのために!