デジモンテイマーズ 冒険者たちの戦い
|
脚本:小林靖子 監督:今沢哲男 助監督:地岡公俊、中島豊 作画監督:山室直儀 |
忘れないうちに映画インプレッションといきましょう。
どれみとキン肉マン2世はまあ、日記にでも書くとして。
■お話概要
冒頭、メフィスモンを追い詰めるオメガモン。押されたメフィスモンは次元の壁を破って逃げます。
そのころタカトは沖縄行き準備。ギルモンも連れてゆくので不自然なくらいでっかいスーツケース。なぜかクルモンと、それに李くんもいっしょです。李くん、便乗で観光に来たようですね。後で合流すると約束し、一度解散。
空港でカイと再会。かなりの間会ってなかったせいかぎこちないタカトに比し、あくまで気さくなカイ。同時に沖縄の若き実業家にして後半のキーパーソン(?)、 玉城も登場します。
留姫&レナモンをおそうプテラノモンやブルーメラモン。戦いのさなか、オメガモンの声に呼ばれることに。
物語的には後半になりますが、李くんとテリアもオメガモンに連れられ、合流します。
大自然を満喫するタカトたちの前に、ティロモンに追われてもう一人のキーパーソン・美波が登場。助けて介抱するも、つづけて襲ってくるデジモンたち。パソコンからリアライズするシーサモン。彼はいま流行りのデジタルペット・Vペットのオリジナルであり、分身をだまらせるワクチンでした。
なにより重要なのは、彼がいかなる理屈か、海で死んだ美波の飼い犬・メイの『データ』を受け継いでいること。そのあたりがクライマックスを迎えるのは正しく、物語終盤になります。
美波が連れ去られたのは、玉城のラボでした。抜け道を見つけていたカイの手引きもあり、首尾よく潜入。すでにデジモンたちの巣窟ですが、なぜかミサイルもあったり。かいくぐって美波を救出するのですが、ここで玉 城が正体を現します。彼こそメフィスモンだったのです。Vペットを利用して世界中に破壊ウィルスをばらまき、人間社会を破滅させようという魂胆!
ワクチンであるシーサモン(ラブラモンに退化)を押さえ、勝利を確信するメフィスモンですが、そこへオメガモンの力で李くんと留姫が合流、さらにグラウモンの奇策で、みずからの世界のオブジェに押しつぶされる羽目に。しかしその際美波がまきこまれ、かばったラブラモンは瀕死の重傷を負ってしまいます。思わず叫ぶ美波。
『メーーーーーーーーイ!』
その名前こそ、ラブラモンに隠されたワクチンを発動させるパスワード。愛犬の生まれ変わりともいえるラブラモンへやっと心をひらいた美波でしたが、それが最初で最後になりました。
ワクチンプログラムのおかげで消滅するVペットたち、しかしまだ終わりではありません。究極体に進化したメフィスモンがガルフモンとなって襲いかかってきたのです。巨大さに圧倒されかけますが、そこはデジモンテイマーズ、そう簡単にはまいりません。完全体に進化して驚異の3体同時攻撃・トリニティバーストを発動! 一撃でガルフモンを倒しました。
静かになった沖縄の海へ、タカトたちは海を抜け、還ってゆきます。
トリニティバーストは、ブースター11にてカードにもなるとか。
■登場デジモン
というわけで、
今回はとにかく登場デジモンが多いです。この調子で、一年のうちにアーマー体を全部出すつもりでしょうか?
ちょっと整理してみましょう。太線がアーマー体です。
・対レナモン・キュウビモン戦
プテラノモン、ブルーメラモン
・対ガルゴモン戦
エビドラモン
・美波襲撃部隊
ティロモン、アノマロカリモン、ハンギョモン、マンタレイモン
・テイマーズ迎撃部隊
デプスモン、バロモン、ポンチョモン、アーケロモン、ピピスモン
・オメガモン襲撃→瞬殺(確認できたもののみ)
メタルティラノモン
・病院襲撃
コクワモン
・ウルトラマンコスモス
オメガモン
・暗黒大将軍
メフィスモン→ガルフモン
・美波のパートナー?
シーサモン→ラブラモン(退化)
※重複は除いてます。
…いやはや、ホントに多い。
■オメガモン
上記のとおり、今回の彼はほとんどウルトラマンでした。無敵だし、自分のことを『私』といっていたし。
でもこれ、一見デジアドつながりに見えますが、そうでない解釈もできますね。最近は彼、ネットワーク守護をつかさどるデジモンでも最強をほこる騎士団『ロイヤルナイツ』の一員、という設定が(カードのみながら)あるので、そういう観点で見ることもできるわけです。アポカリモンのいた空間も、なんか全然違うっぽいですしね。
そういえばギルモンの究極体デュークモン、彼もロイヤルナイツの一員だそうです。
■テリアモン
李くんにかわってシャワーシーン披露! そして耳をバスローブがわりに!
このシーンで大爆笑しかけてあやうくこらえたのは、私だけ?
■レナモン
単独でのバトルが多かったですね。斧をぶんまわす姿がステキ。あれはボルトモンの斧?
あとはカレンダーを確認する留姫の姿に、思わずくすっと笑ってしまうシーンかな。
『ふふ…はははは』
■カイ
この映画の一押しキャラ。自然体な、いい子です。おとなしめなタカトとは対照的ですが、気が合うらしく、観客としてもこのふたりのやりとりは安心して見られました。
テイマーとしての顔を見せるタカトに感銘して手助けするあたりも、漢ですね。
『タカトがテイマーなら、おれはウミンチュさ』
彼もテイマーにならないものかなあ。
もっとも、それでも彼のスタンスはウミンチュでしょうけど。
■おじい
カイとならぶナイスゲストの一人。デジモンをあっさり受け入れたり、美波へそれとなく気遣ったり、いい味です。
活躍が前半のみなのが惜しまれるところですが、さすがに老齢ですから、こんなものでしょう。
『しゃべる犬がいたって、ちっとも不思議じゃないさ』
■美波
『あたしのせいなのッ!』
三石琴乃さん、ひさびさの少女役! まだまだ衰えてはいません。高音域はなつかしささえ感じますね。
正直シーサモンとメイのくだりは描写と演出が不足ぎみに感じたのですが、それでもじわっときたのは、たぶん三石さんの技量 のおかげでしょう。もちろんラブラモン役の津久井教生さんも忘れちゃだめです。
美波の全体的に見ての印象は……あんまりないですね。ごめんなさい。
■メフィスモン
ただの悪役で、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。残念。
■留姫と李くん
脇役であり援軍でした。完全体の出番もまばら。これはファンにとって微妙なところです。
■総括
正直なところ、
『…やばくないか、これ?』
が第一印象でした。上に書いたようにいいところもあったのですが、トータルで見るとそこそこで終わってしまってます。デジモンがたくさん出て派手にバトルするので、劇場版としてのアピールは大きいと思うのですが、これも相当羅列っぽいし。あれでは戦闘獣軍団です。
…いえ、それほど悪い出来ではないと思います。思うんですが、あまりにも普通すぎて…。子供向けアニメといういい意味ではない枠に、完全におさまってしまったような印象が大部分をしめてしまいました。動きはいいのですが、遺憾ながらこちらを黙らせるほどのこだわりは感じられなかったですし。
それに何かこう、世界観といいますか空気もちょっと違うし。以前のデジアドの映画と、ではなく、テイマーズ本編と。
…本当はこのへん黙っときたかったんですが、それでも吐いてしまうあたり、相当不満があったようです。だからといって、怒りさえ感じるほどじゃないんですが、そのほうがかえってタチが悪いかも…。
でもホント、いいところもあったしいいキャラもいたので、話題に出されてもだいじょうぶなんですけどね。
難しいなあ…。
子供さんの感想をぜひ聞いてみたいものです…。