火山デジモン、大爆発!

 脚本:米村正二 演出:土田豊 作画監督:直井正博
★あらすじ

 第三の舞台、マグマゾーンにやってきたタイキたち。
 温泉を見つけて長旅の疲れを癒していると、いきなりバグラ軍のデスメラモン小隊に襲われます。
 窮地を救ったのはドルルモンでした。礼を述べた上で再度仲間入りを持ちかけるタイキですが、取り付く島もありません。

 バグラ軍は現地のデジモンたちを捕らえ、捕虜としてコードクラウンの捜索をさせていました。
 見かねたクロスハートは開放に動くのですが、その前にまたしてもデスメラモン小隊が立ちはだかります。
 クロスローダーを奪われそうになったところで、再びドルルモンが現れました。
 キュートモンの目的である両親が、この地にいるという情報を聞きつけて来たのです。

 すぐさまX3へのデジクロスが果たされるのですが、デスメラモンはしぶとく反撃し、状況は膠着状態へ。
 その時、ドルルモンのドリルが敵の態勢を崩しました。スリービクトライズが決まり、デスメラモンはK.O。
 しかし休む間もなく、エリアの総大将であるエンシェントボルケーモンが現れて…
 
 
 
 
★全体印象

 7話です。
 演出にセイバーズで活躍した土田豊氏が登場。作画監督はこれまた久し振りの直井正博氏です。
 どちらも腕ききなので、前回につづいてキレのあるアクションとテンポのいい場面運びを楽しむことができます。

 脚本には、デジモン初担当となる米村正二氏が登場。氏は前番組である「怪談レストラン」のシリーズ構成であり、
 他にも「無人惑星サヴァイヴ」などで腕をふるっています。プリキュアにも今年初参加を果たしました。
 また「モンスターファーム」や「ポケットモンスター」と、モンスターものの経験も豊富です。
 最近の仕事で有名なのは「仮面ライダーディケイド」後半にて務めた會川昇氏の代打でしょうか。
 このため「ライダーの人」というイメージを持っておられる向きも多いと思います。

 …とまあ色々やってる方なんですが、個人的な印象は「微妙な話をえんえんと書く人」でして……
 ダメというほどじゃないけど「これは!」というものも見たことがない、低空飛行安定型というイメージなのです。
 最初に名前を見た「サヴァイヴ」についても、今思えばそんなに際立ったところはなかったかも。

 そんな氏の特色といえるのはギャグ一歩手前の説明口調と、微妙なラインの外し具合。
 中でもタイキの外しっぷりが少々目立ちます。来たばっかりの情勢もわからない場所でフツーに風呂に入ってる場面で
 まず「え?」となり、マグマゾーンの現状を放置できないと開放を考えるのはいいとして、やることが全くの無策だったり
 困っている人を放っておけない面のみが走って冷静な面がだいぶ抜け落ちていることがわかります。

 他にもドルルモンがやっぱりなんかちょっと違ったり、デスメラモンが無駄に有能だったりいろいろあるんですがそれは後で。
 半分ぐらいを優秀な演出陣と作画陣に救われている恰好のお話です。
 
 
 
 
★アイキャッチ

 前回から、本来「アイキャッチA」だった部分が復活しました。
 と思ったら今回は「アイキャッチB」。製作上の都合かスタッフの気分で変わるようです。
 
 
 
 
★各キャラ&みどころ

・タイキ

 上に書いたとおり、今回はかなりおバカでした。
 本来の彼であれば、温泉に入る前にまず「ちょっと待てよ、ここがどんな場所かわからないし…」と言いそうなんですが。
 その上で、宥められたりねだられたりして態度を軟化させるのがありそうなパターンです。
 それが一瞬あとにはアレですから驚かされました。まあ、コンテ段階で削った可能性はありますけどね。

 もっと問題なのは後半でして、それなりに数がいそうなバグラ軍相手に取った作戦がなんと単なる突入戦。
 しかも相手にX2をも圧倒したデスメラモンがいると知った上での行動です。これはちょっと擁護できない気がする。
 じゃあどんな手ならいいんだという話もありましょうが、せめて陽動ぐらいはやれよと思ってしまう。
 直接攻撃を食らったりクロスローダーを吹っ飛ばされたり、今回はハッキリ言ってまるでいいところがありません。
 というより、させてもらっていない。

 それもこれも、ドルルモン回だからなんですが……もうちょっと、どうにかならんかったものでしょうか。
 彼をダメに描いたからといって、ドルルモンの株が上がるわけではないんですから。
 
 
・アカリ

 軽いサービスショットを見せてくれましたが、極論ただそれだけ。
 せっかくキュートモンとより接近できるチャンスだったのに、いまいち印象に残る絡みかたをさせてもらえてません。
 ベタでも母性本能を見せてくれんもんでしょうか。それとも、今後に取ってあるのかなぁ。
 
 
・ゼンジロウ

 スターソードを出したと思ったら何もしないまんま吹っ飛ばされるあたりに、すごく脚本の人らしさを感じました。
 岸尾氏のアドリブで主張はしてますが、彼も今回はいいところなしです。
 
 
・シャウトモン

 彼もこれといって特筆すべきところはありません。
 強いて言えばドルルモンに対抗意識を燃やすくだりですかね……でも、せめてそこは負けず嫌いって言おうよ。
 
 
・クロスハートの仲間たち

 チビカメモンがいきなり完全空気です。
 そのかわりバリスタモンが普段よりほんのちょっと喋っており、そこが今回の特徴。
 また、ジジモンの温泉好きが明かされていたりもします。別に意外な設定ではありませんけど。
 
 
・ドルルモン

 今回の主役。
 もともと単体でX2に匹敵する力は持ってるのですが、それどころじゃない大活躍を見せていました。
 というかX2を軽くあしらったデスメラモンがドリルバスター1発で撤退するなど、やりすぎ感があります。
 いかに不意打ちとはいえ…

 後半も出るなり事態を引っくり返すわ、合体中にもかかわらずドリル飛ばすわ、やりたい放題。
 後者はまあいいんですけど、一話に二度もタイキを助けるのはプッシュが過ぎるんじゃないかと思わされます。
 一回目はともかく、二回目は単に助けられるほうが間抜けという印象を持たされかねません。
 前半はバトルの最後の駄目押し程度にして、二度目で助けに来る程度で充分でしょう。前回も助けに来てますし。

 性格もちょっと刺が長過ぎるというか、バランスを欠いた印象。
 最初に受けた印象はもうちょっと自然体だったんですが、なんか過剰に二枚目を気取ってます。セリフで。
 六話のラストに出たセリフがハッキリした拒否だったのがいかんかったのでしょうか…?

 予告で元バグラ軍という過去が明かされるのですが、今からこの状態だと少々描写に不安が残ります。
 
 
・キュートモン

 今回の主役その2。
 漫画版と同じく、両親を捜して旅をしていることが明かされました。両親はムーミンパパ及びママ風。

 彼?もなんか微妙に違うというか、これまで見せていたものといまいち噛み合わない印象を受けます。
 最初からああいうキャラならいいんですが、私が持っていたイメージは「意外に不逞不逞しい」ですし…
 このへんも次回以降で解消されるなら、過去回ということで内面が表に出てただけと言えるのですけど。
 どうせなら、アカリに母の影を見るとかベタだけどわかりやすい徴候があればよかったかもしれません。
 それが、何かとクロスハートを気にかける動機にもつながるわけですし。

 そういえば、対象のダメージを癒せるという超お役立ちスキルを持っていることが判明しました。
 クロスハートでなくても、彼?とドルルモンは喉から手が出るほど欲しい人材でしょう。
 あれ? でも、漫画版ではケガして泣いていたような……自分のキズは治せないのでしょうか。
 
 
・シャウトモンX2

 デスメラモン相手に前半で登場。メラモンは薙ぎ倒したものの、デスメラモンには手も足も出ませんでした。
 どちらかと言えば、デスメラモンの強さのほうに理不尽さを感じる場面です。こいつ、単なる隊長なのに……
 
 
・シャウトモンX3

 後半でデスメラモンと相対した姿。が、なぜか押されており「おいおい、大丈夫か?」となります。
 ドルルモンのドリルを使ったなかば変則的戦法によって勝利するものの、ボルケーモン戦が心配ですね。
 何かどっちもデフレを起こしそうで…
 
 
・ベアモン

 働けなくなった(おそらくは作業中の負傷)ということで、バグラ軍にスマキにされて道端に放置されてた一般デジモン。
 キュートモンに似たデジモンが現場にいたとドルルモン組に知らせたことが、参戦のキッカケとなりました。
 前に同種が出たのはフロンティアの映画ですが、そのときと違ってやたらイケメン声です。案外年配なのかも。

 この他ゴツモンやプレイリモン、パンプモン、コテモンなどが強制労働に駆り出されていました。
 ゴツモンはともかく、他のメンツはあんまり火山地帯っぽくありません。現地調達じゃないのもいるのかな?
 
 
・メラモン

 マグマゾーンの一般兵士的存在。
 モブを除外しても、フロンティア以外全てのシリーズに出演している中堅どころのデジモンです。
 とはいえ、その扱いは02あたりと同様あまり良いものではないようですが…
 いちおう数の多さと狭い場所を活かし、クロスハートを苦しめる場面はありますがそれもドルルモン登場までです。

 捕虜に対しては横暴なところを見せてますが、予告を見るかぎり嫌々やっている可能性もありそうですね。
 あるいは、叛乱を企てている一派がいるとか?
 
 
・ブルーメラモン

 メラモンたちのまとめ役。デスメラモンの副官的ポジションです。部下との相違は一目瞭然。
 コードクラウン捜索の監督も兼ねてますが穏健派で、捕虜に対しての扱いも甘め。バグラ軍にあっては珍しく人格者のようですね。
 ドルルモンとは互いに面識があるようなので、かつては戦友だったのかもしれません。鍵を握っていそうな人物です。

 でも、あんな考えを持っている者が何故バグラ軍にいるんでしょうか。成り行きか、考えあってのことか……
 美味しいポジションゆえか、声も三浦祥朗氏による専用枠です。
 
 
・デスメラモン

 メラモンたちの総元締め。
 圧倒的な強さを誇り、X2では赤子扱いされるほどですが何故かドルルモンには弱いようです。
 小ボスでありながらX3までも使わせた実績もあり、続くエンシェントボルケーモン戦へのハードルを引き上げてました。

 また戦術面でも無駄に有能であり、何故かクロスハートの行動を完全に読んで行動しています。説明は一切無し。
 まあボスがああいうヤツなので、本当に有能なのかもしれませんが……微妙に苦労性っぽい一面もありますものね。

 なおX3には破れたものの消滅した描写が無いので、生きている可能性があります。どんだけ丈夫やねん。
 
 
・エンシェントボルケーモン

 マグマゾーン方面の司令官。どういうわけか歌舞伎口調です。ショーグン・ミフネを思い出すなあ。梁田氏だし。
 頭に血がのぼりやすく、すぐに大噴火を起こして暴れ回る迷惑な方ですが、クールダウンすると猫撫で声。
 そのギャップが面白いキャラではありますが……今までのボスより寿命は短そうな。

 このデジモンは言わずと知れた過去の十闘士であり、フロンティアOPのシルエットを除けばアニメ初登場。
 それが悪役というのも因果な話ですが、風貌が風貌なので思ったより違和感はありません。
 ちなみにロスエボもなにげにエンシェント体推しなので、アピールとしては一致していることになります。

 ところでクールダウン役としてユキダルモンがいるんですが、こんな所に棲んでて溶けたりしないんでしょうか。
 
 
・ゴブリモン

 回想シーンに登場。一人旅をしていたキュートモンに絡んでドルルモンに瞬殺される悪漢の役どころでした。
 いかにもというポジションです。正直、これ以上の扱いを受けているメディアを見たことがありません。
 でも、こういうデジモンも必要なんですよね。
 
 
・キリハとネネ

 今回は完全にお休み。
 そのおかげで、キュートモンが桑島氏の掛け持ちであるとハッキリしました。
 バリスタモンが草尾氏であることは、よく見ると5話で明記されていますね。なんだ、みんな毎回出てるのか。
 
 
 
★迷セリフ
 
 
「そしたら、サビスタモンだな」(ゼンジロウ)

 錆びると言って温泉入りを拒否したバリスタモンに。
 軽口の対象が対象なので、なんとなく仲よさげになりつつあるよ、というアピールなのでしょうが…
 あと「アカリさんのエッチー!」「なんだからぁ!」は絶対アドリブだと思う。
 
 
「興味ないね」(ドルルモン)

 完全に一致(FF7的な意味で)。
 
 
「言っただろ、オレは風だ。風はただ吹き抜けるのみ」(ドルルモン)

 言ってません。確か。




★次回予告

 早くもエンシェントボルケーモンとの対決。
 しかし、タクティモンも予想以上に早く次の一手を打ってきそうです。直接対決は意外に早くやってくるのかな?