ドルルモン、風に駆ける!

 脚本:米村正二 演出:角銅博之 作画監督:大西陽一

★あらすじ

 タクティモンの圧倒的強さに敗れ、囚われてしまったタイキとドルルモン。
 クロスローダーも奪われてしまい、処刑のときが刻一刻と迫ります。圧倒的不利の中、救出を試みようとするシャウトモンたち。
 そこへ突然キリハが現れ、タクティモンと戦いはじめました。混乱に乗じて逃げ出すタイキとドルルモン。

 その手引きをしたのは、敵側のはずのブルーメラモンでした。ドルルモンに命を救われた過去があり、借りを返そうというのです。
 彼のおかげでクロスローダーは取り返すのですが、瀕死のデスメラモンが不意打ちを仕掛けてきました。
 タイキとドルルモンをかばい、ブルーメラモンは命を落とします。奮起したクロスハートは、エンシェントボルケーモンと激突。
 新たなデジクロスとデジメモリの力もあって、今度こそマグマゾーンの大将を倒すのでした。

 一方、タクティモンと五分の戦いを繰り広げるキリハ。ついにグレイモンまでもが現れるのですが、勝負はお預け。
 タクティモンもゾーンから撤退し、ひとまず平和が戻ることになります。
 あとのことを現地のデジモンたちにまかせ、タイキたちは次のゾーンを目指すのでした。その手には、コードクラウンが!



★全体印象

 9話です。題名に反し、別にこれといってドルルモンが走りまくったりはしません(強いて言えば回想か?)。
 
 脚本は引き続き米村氏。どうやら三話構成、1ゾーン1ライターが完全に確定したようですね。
 最後までこれでいくのかどうかはともかく、試み自体はわりに面白いものといえるかもしれません。話の個性も出やすいし。
 作画には「怪談レストラン」でも作監を担当した大西陽一氏が登場。なんだか妖怪番組シフトです。

 今回はドルルモンの過去が明かされる話なんですが、なんか全体的に淡白でした。
 もっと言えばマグマゾーン篇自体が「そこまで悪くはないけど、コレといってどうと言われても」です。
 ある意味、米村氏の特色がまんま出たお話だった気がしてなりません。しかも今回は演出がイマイチだったし。

 タクティモンの扱いがかなりぞんざいだったのも原因でしょうか。
 やった事がドルルモンの過去ばらしだけで、その後ろくにクロスハートと絡んでいません。
 キリハとの前哨戦も隔離扱いで尺まで短いですし、その上なぜか撤退したことになっている行方不明ぶり。
 最後は爽やかに締めてましたが、もし彼が撤退してなかったらどうなってたでしょう。

 ぞんざいといえば、コードクラウンやデジメモリの思い出したみたいな顕われ方もかなりのものです。
 あのへんの扱いはなんというか、悪い意味で平成ライダーを思い出してしまう流れ。
 特にコードクラウンの脈絡のなさは凄いものがありました。本当にええのか、あんなんで。

 あれらに比べれば、ドルルキャノンの扱いはまだマシな方です。
 もしこれでAボルケーモン倒しちゃったらどうしようと相当ドキドキしましたが、さすがにX3へ代わりましたからね。
 もっとも、前より強くなってるはずのAボルケーモンをX4ですらない状態で倒すというアレなことになってますが……
 
 
 
 
★サブタイトル

 ドルルモンの横顔一枚絵。今までともなんかちょっと違う感じですね。
 背景には炎が揺れてます。
 
 
 
 
★各キャラ&みどころ

・タイキ

 その追い込まれ方はヤバいだろ、という第一印象。
 タクティモンがノンビリと公開処刑を選んでくれたからよかったようなものの、そうでなきゃ一巻の終わりです。
 というか、どうせキリハが来るのなら処刑の場面で尺を使うより多少なりとも会話させたほうがよかったような。

 おかげで単にキリハの尻馬に乗っかったみたいに見えて、どうもスッキリしません。
 マグマゾーン篇の彼は総じて、あんまりいいところを出させてもらってないと思います。
 
 
・アカリ

 今回も存在感皆無。仮にもヒロインの片割れだというのに、これは割と由々しき事態です。
 キュートモン絡みの話がいつになるかによっては、まだまだ辛苦の日々が続きそう。
 
 
・ゼンジロウ

 こっちも存在感皆無。まあ、ドルルモンがメインの流れですから仕方ないといえば言えるんですが……
 
 
・シャウトモン

 タイキに比べるとドルルモンとの絡みが少ないので、この3部作で稼ぐべきだったのでしょうが…
 結果はごらんの通り。多少は認めてるっぽいセリフが出ただけでもめっけもんというべきでしょうか。
 ちょっと久しぶりに単体技を出すシーンもあります。
 
 
・クロスハートの仲間たち

 時々でいいから、チビカメモンとジジモンのことを誰か思い出してあげてください…
 というぐらい、この二人は出番がありませんでした。7話前半からこっち、ずっと待機状態でしたね。
 そんな中、バリスタモンが少ない出番でセリフを稼いでいます。もしかして米村氏のお気に入り?
 
 
・ドルルモン

 バグラ軍時代は肩当てとサングラスをつけていたようですね。誰の趣味なんだろう。
 ブルーメラモンの前に現れたときは、すでに裏切り行為を働いた後ということでいいのでしょうか?

 そんでもって結局、どういう動機でバグラ軍に入ったのかよくわからないままでした。
 乱れたデジタルワールドを統一するという理想と、バグラ軍の実態とのギャップに嫌気が差したというのが王道ですが……
 コードクラウン持ちの誰かを逃した、というのも気にかかるファクターです。誰だろう。
 キュートモンの両親……ではないのでしょうけど、そんな気もするなあ。

 仲間などいらない、と言っていたのは一連の出来事のせいなのでしょうか。
 アレとあの考え方がどう繋がるのかよくわかりません。裏切られるより裏切るのが怖いとでもいうのかな。
 でもあの回想だと、本当の意味で裏切ったのはどっちかというとタクティモンの方だったような……
 それを見限ったからといって、悩む必要なんてないでしょうに。まあ、性格もあるんでしょうが。

 当初は本当にタクティモンへ敬意を払っていたというのならわかるんですが、そんな示唆もないし…
 さて、どうしたもんでしょうか。足りない部分がそのうち補完されればいいんですけど。
 
 
・キュートモン

 一度は疑ったことをドルルモンに詫びていました。説明セリフで。
 結局、ドルルモンが元バグラ軍だと知っていたんでしょうか、知らなかったんでしょうか? なんか曖昧です。
 漫画版では結構ショックを受けてる風だっただけに、リアクションが淡白すぎる気がしてなりません。

 タクティモンもタクティモンで、キュートモンをガン無視してるんだもんなぁ……漫画版では言及してたのに。
 
 
・ドルルキャノン

 シャウトモンとドルルモンのデジクロス形態。見事なまでにFFRです。
 しかし火力はかなりのもので、迫る合体エンシェントボルケーモンにダメージを与えていました。
 それにしても、ドルルモンは何でシャウトモン単体とデジクロスできるって知ってたんでしょう。思いつきで言っただけ?
 でもアレ、シャウトモンは持ってるだけという気がしないでもありません。
 
 
・シャウトモンX3

 エンシェントボルケーモン戦で登場。
 先に出たドルルキャノンがダメージを与えていたからということなのか、ブーメランであっさり勝利を収めています。
 先週の苦戦はいったいなんだったんでしょう。まあ、一度勝った相手に梃子摺ってもナンでしょうが……

 あれだったら、キリハとの共同戦線でタクティモンと戦った方が良かった気がしますね。理由はなんとでもなるし。
 もちろん、共闘はもっと後に取っておこうという意図なのでしょうけれど。
 
 
・マグマゾーンのみなさん

 ラスト手前に登場。
 タイキたちの後を受け継ぎ、バグラ軍の侵入を二度と許さぬよう守りを固めるといいますが大丈夫なんでしょうか。
 戦う意志がないままに制圧されてしまったというのなら、今度は戦うぞということですかね。
 ただコードクラウンをタイキたちが持ち去った以上、バグラ軍にとって戦略的価値はなくなるのでむしろ安全そうです。

 それも、タクティモンが腹いせに総攻撃でもかけてきたら大変なことになってたでしょうけど。
 さいわい御大将はそういう無駄なことはしない主義っぽいので、なんとかなる……かな?
 
 
・ブルーメラモン

 偽のクロスローダーをあえて追求せず、タイキの作戦に加担したのにはやはり理由があった……
 というのはこっちの深読みすぎではないかと思ってしまうくらい、前回のアレがスルーされていて困りました。
 君はアレを偽物と見抜いた上で看過したのか、本物だと思ったのか、どっちなんだ。

 ドルルモンとは戦友というより、上官と部下みたいな関係だったっぽいですね。
 あんな目に遭いながら、結局ずーっとバグラ軍にいたのはドルルモンのように抜ける勇気がなかったからでしょうか。
 それが巡り巡って彼の命を奪うと同時に、ドルルモンの命を救うことになるのですけど。

 仲間になるかとも思ったんですが、別にそんなことはなかったぜ! というオチでした。
 まあ仲間にしたらしたで扱いに困りそうですけど。
 
 
・デスメラモン

 なんとまだ生きていました。
 X3のスリービクトライズを食らって割とすぐにバディブラスターを受け、それでもなお動くという脅威のタフガイです。
 いったいどういう体の構造をしてるんだ。単なる小ボスだというのに。

 しかし、執念もここまで。ロックダマシイ1発で昇天するあたり、もう限界だったものと思われます。
 それでもブルーメラモンを道連れにしたので、この作品の敵キャラとしては頑張ったほうでしょう。
 二人とも炎のデジモンなのに炎で死んでるというのは言っちゃいけないことだと思います。そんなんデジアドの頃からだし。
 
 
・メラモン

 最後の最後まで木っ端役人でした。あげくAボルケーモンに吸収されてしまうという不遇。
 なんか人数もずいぶん減ってたようなので、アレで全滅ではないかと思われます。
 
 
・エンシェントボルケーモン

 なんかピンピンして出てきました。前回のデスメラモン以上に違和感のある状況です。
 そのわりにX3にはあっさりとやられてしまうし……メラモンを取り込んで変異までしたのに、むしろ弱体化してる。
 残念ながら消化試合という感は否めず、描写もずいぶんおざなりになってますね。ホンの人的にはもう用無しだったのかも。
 いわゆるラ・フランスだったのかもしれません。

 あの合体形態、もしかして公式?
 
 
・タクティモン

 剣召喚と一撃でのクロスハートKOで、とりあえず強さをアピールした人。

 しかし漫画版と違い、クロスハート側がデジクロスすらしてないので戦闘力の伝わり方も半分です。
 漫画版ではX3をあっさりKOしたうえ、タイキをその場で即抹殺しようとするなど慎重さもあって割と大物感を出してたんですが、
 こっちではドルルモンを踏んづけてぐりぐりしたり、小物っぽい描写が目立ってしまってます。
 
 後半はキリハとの隔離バトル。
 メイルバードラモン相手には優勢に進めており、このへんはさすがに実力を示してくれていましたが
 グレイモン相手には互角。ただしお互い本気ではないので、最終的にどちらが上かはまだわかりませんね。

 問題はこの後、いつのまにか撤退したことになってる扱いです。
 せめて「ここにはもう戦略的意味がない」とかなんとか言って去るぐらいの描写は入れてくれないと「?」ですよ。
 それとて、たった一人でも切り込んでいけばなんとかなりそうな気がしてしまうし。

 まあ戻ってきてみたらボルケーモン死んでるしクロスハートはいないしで、じゃあ追うか……となったのでしょう。たぶん。
 コードクラウンさえ手に入れば、ゾーンの一つや二つ後でいかようにも料理できるとでも考えたんでしょうね。
 
 
・キリハ

 すっかりお助けマンになってる人。
 というか、登場パターンが6話とまったく同じです。君はどんだけノせられやすいんだ。
 ただタイキとのやり取りが全然無いんで、印象もまるっきり違うんですけどね。

 タイキの立場から見ると、この機にタクティモンを倒しに来たと写るはず。
 ところが実際には次のカードを切らず、さっさと撤退しています。ここいらは割り切ってる感じ……ですが、
 クロスハートが状況を引っくり返すだけの時間は稼いだので自分らもずらかるぜ、という風に見えなくもありません。

 ぶっちゃけ、完全にタイキを助けに来てます。これまでもなんだかんだ言って助けてたのですが今回は別格。
 デジメモリやコードクラウンより、タイキのほうがずっと気になるんですね。つくづく。
 
 
・メイルバードラモン

 初といえる苦戦描写がありました。タクティモン相手では単体だと分が悪いようです。
 それでも結構戦えてたので、やはり相当の力の持ち主というべきでしょう。たいていの敵は彼だけで倒してしまうし。
 なにより移動手段として重宝しますからね。キリハ的にも背中からの眺めは気に入ってそうです。
 
 
・グレイモン

 満を持して登場。メイン格のデジモンとしてはとりあえず最後発登板となります。
 タクティモンの技を食い止め、キリハが撤退する時間を十二分に稼いでいました。劇中の初披露はまさかの尻尾技。
 ただしタイキの夢で炎は出していたので、あれを初とするならこっちは2番目ということになりますけど。

 あと、ちゃんと喋るんですね。勝手に喋らないと思い込んでました。
 キリハのことを気遣うなど、それなりにパートナーらしいところも窺わせてますね。ブレなきゃいいけど……
 
 
・ネネ

 キリハのもとに足繁く通い、タイキの情報を提供する蒼沼さんにとってありがたいお姉さん。
 彼女も登場パターンが6話とほとんど同じで、なんだか行き場の無い気分になります。もうちょっと、こう……
 
 
・ガルルモン

 ドルルモンを助けるべく、デジメモリからタイキが放った伝説のデジモン。
 ガルルモンにドルルモン、というシチュエーションを狙ったのはわかるので前回よりはマシだったか……な?
 これでデジメモリは早くも4つ消費しました。残るはホーリーエンジェモンのみ。

 何話までに最初の5種を使い切れ、というお達しでも出てるんでしょうかね。
 
 
・コードクラウン

 すべてが終わったあと、いきなり地面から出てきました。あまりの唐突さにリアルでポカーン顔へ陥った次第。
 一般デジモンがもう見つけていたんだけど、本当に渡していいのだろうかと悩んで隠していたとか、
 やり方はありそうなもんなんですが……好意的に解釈すれば、それよりドルルモンの描写に集中したということかな。
 好意的に解釈すれば。



★名(迷)セリフ

「仲間を助けるためなら、いつでも裏切ってくれ!」(タイキ)

 とりあえず今回はこちら。深いんだか深くないんだか、一瞬考えてしまうセリフです。

 それが結果的に仲間を助けることになるなら、短期的に不利益に見えることを始めても信じて結果を待つよということなのか、
 オレが仲間を大切に思えないようなヤツだと思ったら、そのときは裏切ってくれてもかまわないと言っているのか。
 いわゆる「言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい自信だ」というところです。

 ドルルモン的には初めて聞く類の勧誘だったようで、態度を軟化させる端緒となっています。



★次回予告
 
 来週が休みなぶん、二話構成となるようです。
 河西智美嬢のコスプレに目眩がしてきますが、キリハとタイキのより距離を詰めての会話やメタルグレイモン登場と
 他のみどころもありそうなので、期待させていただくことにしましょう。

 さて、デッキの設定を変更しておかねば……