決戦! ダークナイトモンVSクロスハート!
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脚本:米村正二 演出:角銅博之 作画監督:八島喜孝 |
★あらすじ
ダークナイトモン&ブルーフレアの猛攻を躱し、一時撤退するクロスハート。
ピノッキモンの土地勘のおかげで難を逃れた彼らに、スパロウモンが助けを求めて接触してきました。
最初にタイキが引っ張り込まれたあの巨塔。そこにネネが幽閉されているというのです。
救出作戦に動くクロスハートの前に、またもブルーフレアが現れます。
キリハもそのデジモンたちも、明らかに正気ではありません。ダークナイトモンに操られているのです。
タイキの一喝で我に返すことには成功するものの、ダークナイトモンに加えリリスモンまでもが現れました。
クロスハートを潰すため、一時的に手を組んだのです。
かくて、ゴミの山を舞台に四陣営まっぷたつに割れての大乱戦となりました。
死闘のあいまを縫い、タイキはスパロウモンと共にネネと対面。説得の末、ついに彼女を助け出します。
満を持してシャウトモンX5も参戦。さらに駆けつけたピノッキモンらに託されたデジメモリや、
ブルーフレアの新たなデジクロスが次々と炸裂。敵軍を潰滅に追いやりました。残るは大将らのみ。
弟の居場所を問いつめるネネでしたが、ダークナイトモンはなおも笑っていました。
ダークネスローダーの力による強制デジクロスで部下を取り込み、強大な力を置き土産に去ってゆきます。
なんとかそれを凌いだタイキたちは、ピノッキモンたちに後をまかせて次のゾーンを目指すのでした。
ネネの弟ユウを助け出すという、またひとつ新しい目的を背負って。
キリハはそんな彼らと再び道を違え、去ってゆくのでした。
リリスモンが早々に退散し、またしても敗北を喫することとなったバグラ軍。
次なる一手を練るタクティモンの前に、巨大な影が……バグラ軍の大将が、遂にその姿を現そうとしていました。
★全体印象
21話です。脚本は前回に続き米村氏。演出と作監はそれぞれ角銅氏に八島氏とお馴染みの顔ぶれです。
今作は今までと違って作監の色が目立ちづらいんですが、異彩を放ってる人がひとりいますね。
今回からデジクロスのバンクに追加カットが入りましたが、どうやらそこも担当してます。誰だろう。
冨田与四一氏……かな? 氏はたしかセイバーズにもちょこちょこ参加してたはず。名前はパワパフZで知ったけど。
何はともあれ、これで今年分の放送は終わりです。次は来年の1月11日。
スタッフの皆様にはお疲れさまですとしか言いようがありません。来年がいよいよ楽しみです。
バトル回ということで、特に後半のアクションはかなりの仕上がり。
ただお話は妙にフラットというか、重要なことが起きてるんだけど盛り上がり切れてない惜しい印象を受けます。
ガーベモンたちがいつのまにかいなくなってたり、ダークナイトモンのパワーアップが締めなのは仕方ないとして
その後意外にあっさり食い止めて速攻でお話のほうも締めにかかったり、流れが変なところも目立ちました。
あと、コードクラウンの出かたが相変わらずぞんざいですね。さすがはマグマゾーンの米村。
ここ最近はいい話を書いてると思ったんですが、さては後半を盛り上げるのが得意じゃないんでしょうか。
しかしながら、ネネの加入とバグラモンの登場はやはり重要な要素といえます。
特に後者は意外と穏やかな表情をしており、白い装束とあいまって大ボスの風格がありますね。
果たして彼とダークナイトモン、どちらがラスボスになるのでしょうか。
ネネはこれからどうするんでしょうね。
戦力としては実質スパロウモンしか連れてきてませんし、モニタモンらが一緒に来てると仮定すれば
案外すぐ離脱して別行動を取る可能性があります。ジェネラルが常に二人なのはなにかと問題そう。
★各キャラ&みどころ
・タイキ
とりあえず、キリハへの一喝とネネへの説得が大きな見せ場です。
それぞれへの対応が硬軟真逆なのは彼らしいというか、キリハにはある意味容赦ないね君。
まあキリハにも問題はあるからしょうがないんですけど。
・アカリ&ゼンジロウ
こういう話だと空気になりがちな二人ですが、前者はネネを気遣ってるっぽい描写があり、
後者はネネ絡みとあってやたらとハイテンションなので、他の米村回よりはマシです。
まあ、ゼンジロウの場合は岸尾氏のアドリブも大きいのでしょうが。
・クロスハートの仲間たち
突出して目立ってるメンバーはいません。その分はスパロウモンに振っています。
X5も登場はしてますが、最後がアレだし……まあ、弱体化はうまいこと回避したと思いますけど。
それにしても、ベルゼブモンはホント何処に行ったんだ。こういう話で出ないというのはちと不自然です。
キリハとネネが出ずっぱりなんで、突っ込む暇がなかったというのが本当のところでしょうけど。
今回はX5推しだったわけですし。
・ピノッキモン他ダストゾーン組
今回も同行はなし。ヘブンゾーンからこっち、なかなか仲間が増えません。
さすがにこれで打ち止めってことはないと思うので、楽しみはまだ残っているはずですが……
ただピノッキモンに関しては土地勘を活かしてクロスハートを救ったり、タイキにデジメモリを渡したりと
バックアップに廻ったなりの活躍を見せています。仲間入りしなかったのは惜しまれますが、
前回のあの展開を踏まえるとこれは仕方ないところでしょう。
ところでガーベモンとメタルマメモンはどこに行ったんでしょうか。
前回ダークナイトモンが攻めてきたとき、ものすごい爆発が起こったので死んだのではとびびったんですが
何かさっぱり言及されてないんですよね。単に散り散りに逃げたということなのかな。
トレイルモンとトイアグモン一匹だけが残ってるのが逆になんか嫌な感じです。
・メタルガルルモン
デジメモリで登場。一斉射撃やどてっ腹ミサイルではなく、コキュートスブレスを披露してくれました。
まともな形でアニメに出るのは10年ぶり。思えば、これもオモチャ主導のデザインなんですよね。
そのわりにモンスターっぽくバランスが取れているのは素晴らしいというべきでしょう。
これはウォーグレイモンにも同じことが言えます。
グレイモンといえば、3月に出る新作デジストでは過去の個体にLの接尾名が付くようですね。
たぶんLegendかLegacyのLでしょう。こちらも楽しみ。
・スパロウモン
恐ろしくナチュラルに接触してきました。
まあダークナイトモンのことは面と向かって態度に出さないだけで敵視しているし、他のメンバーには頼れない。
となると、手を貸してくれそうなのはクロスハートだけだと判断しても別におかしくはありません。
むしろ図々しいぐらいなのは性格でしょう。
しかし彼、どうなるんでしょうね。
ネネ第一ではあってもクロスハートとの親交もあるし、中途半端な状態です。パイプ役とも言うけど。
今回だってタイキを導き、ネネを助け出す移動力になったのは彼ですしね。
問題は今後の処遇です。ネネがこのまま同行するなら問題ありませんが、別行動となったときが気になります。
本人は行きたがるけどネネに止められるパターンになるのか、タイキに背中を押されてネネの護衛になるか……
あるいは、そのあわせ技か。さあどうなる。
・キリハ
前半明らかにボーッとしてました。
いくらタイキの言葉に揺れたとはいえ、ノシノシと歩み寄って拳を入れるまで棒立ちのままなんですから凄い。
これじゃあ、手ゴマとしてはあんまり役に立ちません。それでいいのか、ダークナイトモン。
正気を取り戻した後はさすがに頼もしい活躍を見せてましたが、結局また袂を分かつことになっています。
これはまあ、仕方ありません。彼はいちおう自分に厳しいはずですから、借りを作りっぱなしの相手に
なし崩しで迎合するのは好きじゃないでしょう。もともと考え方だって違うのです。
ある種、自分を鍛え直すためでもあるのでしょうね。
ただ、タイキのことを部下候補ではなくライバルとして接すると宣言する形になったのは大きな前進でした。
序盤から割とそうだったように、共通の敵相手ならそっちを優先してくれそうです。
・ブルーフレアの戦士たち
仲間入りしたと思ったらいきなり操られるという受難に遭ったデッカードラモン。
今回を見て、あらためて彼がキリハの仲間になったのは妥当だと思いました。いろんな意味でほっとけない。
戦力としては三体それぞれが強力なイメージを再強調しており、デジクロスが主体のクロスハートとは好対照です。
スカルグレイモン対メタルグレイモン、スカルサタモン対サイバードラモンはなかなか絵になる構図でした。
一方で、新デジクロス「サイバーランチャー」も披露されています。
マップ兵器的に使える技で、形式的にはドルルキャノンと一緒ですが威力は段違いといったところ。
さらにデッカーグレイモンという切り札もあるっぽいのですが、今回はお預け。より相応しい機会を待ちましょう。
・ネネ
さすがにフォレストゾーンの時ほどの拒絶は見せませんでした。
ダークナイトモンが信用ならないのは知っていたはずですし、逆にタイキが信用できるのも承知済み。
打算的にもこのままでいるより、ダークナイトモンと訣別した方がまだユウを助けられる確率が高いわけですから。
ダークナイトモンが彼女を重要視しなくなったとあれば尚更です。
実際、あそこでタイキの手を取らなかったら塔ごと吹っ飛んでたわけで…運命の分かれ目でした。
ただ、今後もダークナイトモンが撹乱や動きを鈍らせる狙いでユウというカードを切る可能性はあります。
そのとき彼女がどうするのか、気になるところですね。
それにしても、漫画版の奇矯ぶりといろんな意味でギャップが激しいなぁ…
・ダークナイトモン
ダークネスローダーを作りだし、部下を強制デジクロスさせてさらに強大な力を得ました。
もはやジェネラルに頼らずともデジクロスができるということでしょうが、バグラ軍と見た目変わりません。
ただ19話でその規格外の強さは示しているので、さらに強大になったという危機感はあります。
そのダークネスローダーはというと、現状単なる水晶玉。
てっきりクロスローダーと同じ形になってユウあたりにそれを使わせるとばっかり思っていたんですが、
なんかそういうわけじゃないみたいですね。人間なんかいらないよというスタンスだったとは。
まあ、この先ユウが絡んでこないとはとても思えませんけど。
今回の描写をトータルで見ると、ややキレが悪いといったところ。
セリフの切れ味も悪いし、喋ってるシーンでは首の座りが悪くてもやもやします。落ち着け。
・トワイライトの狂徒たち
スカルグレイモンとスカルサタモンをツートップに、ガードロモン軍団で構成されています。
最大の謎は今までどこにいたのかということ……ですが、単に根城であるダストゾーンで待っていたのかもしれません。
スカルグレイモンの迫力はシリーズ最高といっても過言ではなく、メタルグレイモンと死闘を演じてくれました。
最後はクロスハートとブルーフレアのダブル攻撃でほぼ全滅したところを、スカル系二体のみが強制デジクロスされて
ダークナイトモンに他を圧する力を与えました。…アレ、ずっとあのままなのかな。
もしそうだとすればオモチャを売る気がないか、もう販促機関は過ぎたということなのかもしれません。
それにしても、何故ダストゾーンだったんでしょうね。深読みしてしまいます。
ダークナイトモンの本当の目的がもし、ここにいたことと関係しているのだとしたら……
・バグラ軍
いつのまにか名前の決まっていたダメモンと一緒に、リリスモンが登場。
ダークナイトモンと手を組んでの攻勢を仕掛けてきます。ってか、ダークナイトモンの存在は認識されてなかったんだ…
割とすんなり手を組むことにしたのは、クロスハートを押し切れそうなカードがもっと欲しかったからですかね。
実際、タンクモン軍団だけでは心もとないでしょうし……かといって、ムゲンドラモンみたいな強力な手ゴマが
そうそう使えるわけでもありますまい。他のゾーンに出払ってるかもしれないし。
最後にさっさと逃げてしまったのも、現状ではもう手札が残ってなかった証拠でしょう。
タクティモンも、遅々として進まぬ侵略に苛立ちを隠せぬ様子です。
嬉しくもあるとは言ってましたが、トワイライトまでもが表に出て来た今となっては心穏やかではいられますまい。
・バグラモン
玉座に座ったまんま降臨。Vジャンプとタイミングを合わせての初お披露目です。
人間を思わせつつも異形が絡み付いた顔に、巨大な右腕がまず印象的。ラスボスオーラを猛烈に醸し出してます。
実際に戦ってもメチャメチャ強いんでしょうが、でもこの人声優さんが使い回しっぽいんですよね……
それとも、クレジットが隠されてるんでしょうか?
ともあれ、上にも書いたようにバグラ軍の親玉にしてはやたら穏やかな顔が印象的です。それが逆に恐ろしい。
でも皇帝なのに一人称が「余」じゃないんですね。まあ、それだと大魔王バーンになってしまうしなあ。
★名(迷)セリフ
「ボクのために、ネネを自由にしてあげてよ!」(スパロウモン)
信用できる相手だとわかった途端にこれ。やっぱりいい性格してます。
スパロウモン的には自分が動くのはネネのため→クロスハートが手を貸してくれれば助かるのは自分→つまり自分のため
という三段論法ですね。シャウトモンがこれを聞いて怒ってましたが、戦いとなると息はピッタリでした。
「キリハ、恥ずかしくないのか!? お前のデジモンは、お前を信じてついてきたんだぞ!
それなのに、お前は……その大事な仲間を裏切っているんだ!
お前も、お前についてきたデジモンも、ダークナイトモンの部下なんかになるために戦ってきたんじゃない!」(タイキ)
やり取りなど一部省略。セリフはまだ続くんですが、ここから先はほぼキリハのコピペなので除外します。
いつのまにこんな認識になったんだろうと思い出してみましたが、やはり19話が決め手ですね。
強くありたいというキリハの信念を知り、デッカードラモンがそれに同調した事実はやはり無視できません。
バグラ軍とも自分たちとも違う独自の繋がりがあるのだと、ある意味認めたといえます。
そういう意味では、タイキもまたキリハを否定するのではなく、違う考えのライバルとして認識しはじめていたわけか。
もっとも、たとえ考えが違おうと一緒に戦えると考えるあたりは彼らしさですが。
「キリハは、君に"強くなれ"と言った……強さでしか、悲しみは癒せないって。
でもオレはちょっと違う。君が悲しい想いをしてるなら、その悲しみをいっしょに分かち合いたい。
そして、いっしょに悲しい想いを取り除きたい。
だから、君の弟も絶対に助ける! オレを信じてついてきてくれ!」(タイキ)
ネネ説得中。上を踏まえたところで、あらためてキリハとの違いを際立たせるセリフです。
仲間に入りたいというデジモンなら誰でも拒まないことからわかる通り、タイキは一人一人の強さには拘りません。
むしろ一人が一度に出せる力には限界があり、その限界を合わせるところにこそ何かが生まれると信じているわけです。
それは相手が人でも同じで、だからネネにもこんなことを言うのでしょう。
このへん、実績もあってキリハも認めはじめてるんですが、一人一人の強さをまず求める彼にはやはり合いません。
強力な個体による少数精鋭部隊という陣容そのものが、色濃くその考えを反映しています。
★次回予告
なんとアルカディモンが登場。…アルカディモン、だよな? 顔あったけど……
さらにワイズモンの登場によって、デジタルワールドの秘密が語られるようです。これは楽しみだ。
ジジモンがちらっと言いかけてやめた話と、たぶん関係があるんでしょうね。無いかもしれないけど。
ネネが気絶してたのはなぜでしょう。よくよくヒロインポジションに収まる娘だ。