シノビゾーン、お笑い忍者バトル！

★あらすじ

　モニタモンの長老に会うタイキたち。
　シノビゾーンも今やバグラ軍の攻撃を受けており、囚われの姫とコードクラウンの交換を迫られていました。
　まずはコードクラウンを手に入れて救出作戦の一環にしようと、守り人であるカラテンモンの所へ向かうことに。
　途中の崖でゼンジロウを救ったエテモンたちを加え、いよいよ目的地へ辿りつきます。

　コードクラウンを手に入れる条件。それは、カラテモンモンを笑わせることでした。
　さっそく挑戦するクロスハートでしたが、呆れられるばかりでとても笑わせるどころではありません。
　事態を切り開いたのは意外にも、アカリとネネのコンビでした。二人は道中を経て打ち解けつつあったのです。

　カラテンモンに託されたコードクラウンを、いきなりエテモンが強奪しました。バグラ軍の手先だったのです。
　しかし奇妙な新デジクロスを交えてのすみやかな反撃が叩き込まれ、事なきを得ました。
　騙されやすいタイキたちを放っておけない、と語るネネ。アカリを通し、徐々に心を開きはじめているようです。

　さて、次なる目的は姫の救出。いかにして為すべきか……？



★全体印象

　23話です。
　脚本はちょっと久し振りの吉田氏。「けいおん!!」に続き「バクマン。」でもシリーズ構成を務めているので、
　物理的になかなか書く暇がないのかもしれません。それでも書いてるのは東映が呼んだのか、本人の希望か。
　作画・演出は細田氏と直井氏のまさひろコンビ。今期の作画安定度は本当に高いなぁ。

　お話のほうは箸休めとも言うべき内容。ギャグ篇というよりは、ほのぼの篇というべきでしょうか。
　新デジクロスがバンバン登場しましたが、そのうち再現が可能そうなものはシャウトモン＋スパロウモンのみの一発ギャグ。
　X2以上になることもなく、派手なバトルも当然ありません。箸休めだけに、アクション的には食い足りない回でしょう。

　とはいえ今後に繋がる要素もちゃんとあり、アカリとネネの親睦度アップは大きなポイントといえます。
　次はゼンジロウが目立つみたいなので、シノビゾーン篇はこの二人の補完も兼ねた道中になりそうですね。
　このところは見てるだけというのが多かったので、悪くないタイミングです。

　シノビゾーン篇全般でみても、ブラストモンが大将という以上あまり深刻にはなりそうにありません。
　とか言ってると１話で引っくり返されるのがクロスウォーズですが。もういい加減慣れました。

　


★OP

　映像が一部変更。X4BやX5が加わり、初っ端は各形態が乱舞します。
　これまでの旅で加わった仲間たちが顔を出しているのも見どころ。入ったばかりのワイズモンもいます。
　時期的にみてもそろそろ後半というところですが、仲間やデジクロスが増えたりしたらまた変わるでしょうね。
　合体にしても、さすがにX5で終わりとは思えませんし。




★CM

　「デジモンストーリー　超クロスウォーズ」のCMがオンエアしていました。ほぼ過去パターンの踏襲です。
　とりあえず2本まとめて買うのは確定というところ。なんだかんだで、もうあと一ヶ月半しかないのかぁ……
　DSとしてはこれが最後になるかもしれませんが、クロスウォーズの次があるならまだDSで出るでしょうね。

　個人的にはぜひ3DSで遊びたいもんです。ポリゴンは数が出ないから2Dで。




★各キャラ＆みどころ


・タイキ

　相変わらず無駄にクールというかドライですが、今回は実のところそんなに目立っていません。
　コードクラウンを手に入れたのもアカリとネネですし、戦闘担当以外の役割はあんまりこなしていませんでした。
　たぶん次回もそうなるでしょう。シリーズが進んでくれば、そういう回もあるというものです。

　しかしルーチェモンの時といい、敵と見なしたときの判断は速いですね。ジェネラルを地でゆく決断力。
　エテモンだって仮にもゼンジロウを助けてくれたというのに、まったく容赦がありませんでした。
　ま、それも偶然に便乗しての計略だとわかった以上手心を加える余地はないのかもしれませんけれど。

　「心から」誰かのために行動しない者に、クロスハートたる資格はないってことですね。なかなか厳しい。


・アカリ

　ネネと並んでほぼメイン回と言ってよい扱い。
　すっかり忘れてましたが彼女にも弟がいるので、一種のシンパシーでしょうが……それは理由の全てではなく。
　タイキを例にみるまでもなく、放っておいたらどこまでも行ってしまう人に反応しやすいのでしょう。
　当のタイキに指摘されたとおり、彼女には彼女の「ほっとけない」があるのです。

　ネネとの繋がりはアカリというキャラにとって、一つの大きなポイントとなってゆくでしょう。
　今後、天野姉弟が話に絡んでくることは確実。そのとき、タイキやシャウトモンたちとも違う視点で心を配れるのは
　恐らくアカリしかいません。単純に絡む人物が増えるというだけでも、描かれやすくなるというものです。

　ぶっちゃけ、タイキが「きみを放っておけない、ともに戦おう！」をガツーンとぶつけてくる剛ならば
　アカリはいろいろと気遣う柔という感じですね。なんだかんだで夫婦だわ、この二人。


・ゼンジロウ

　そんな繋がりが特に強調されずともなぜか目立ってしまう男がここに一人。
　ややぎこちなかった序盤から岸尾氏がノリを組み立て、そこへスタッフが肉付けをしていったような印象です。
　たぶん、メインキャラでは中の人の力にもっとも左右された人物のひとりでしょう。
　未遂に終わったブラストモンの物マネは完全に楽屋ネタですね。ちょっと見てみたかったけど。

　とかくギャグキャラ扱いされがちな彼ですけど、いざという時はかなり頼もしい男なのもメンバー皆が知っています。
　次回は得意のギャグを交えながら、11話以来ともいえる大役をこなしてくれそうです。頑張れ。


・クロスハートの仲間たち

　とにかく、山のように一発デジクロスが登場した回です。

　ジェットスパロウから始まりジジシャウトモン、シャウキュートモン、シャニタモン、ドンシャウトモン、
　ポーンシャウトモン、バリバステモンと一部を除いてお笑い以外には役に立たないものばかり。
　ジェットスパロウ自体も無理矢理です。それで終わらせずにエテモンの闖入へ繋げるあたりは脚本の王道ですが。
　…つうか、クロスローダー待機組に了解は取ったのでしょうか。バステモンの感想が訊きたい。

　敵がそれほど強くないのもあって、スターソードがだいぶ久々に登場した回でもあります。
　ゼンジロウが使ってたのはずいぶん前なので、本当にひさしぶり。あ、でも来週また使うんでしたっけ。

　キャラ的には横並びという感じで、突出して目立ってるデジモンはいません。
　というより今回は完全にデジクロスが主体ですから、個体があまり目立たないのも当然ですね。
　そんな中、全力でお笑いバトルから逃走して逆に笑いを取ったドルルモンが印象的でした。君ならできたかも。
　笑わせるというより笑われる方かもしれませんが……

　そしてベルゼブモンは本当にどこへ行ったんだ。クロスローダーの中にはいないわけでしょう？


・ネネ

　いつのまにか起きていた人。
　クロスハート、ひいてはアカリの情に絆されて次第に柔らかい表情が増えてきました。
　今回はそのための回だったといってもいいぐらい、感情の方向性が変わっています。前向きになったというのかな。
　これまでと違って「味方」がいるというのも大きいでしょう。

　明確に利他的な行動を取ったといえる、初めてのエピソードでもありました。
　これにより当初のミステリアス性は九割がた薄れましたが、立ち位置は確定しつつあるといえます。
　グレイモンらと互いに納得の上で共闘しているキリハとも違い、彼女には弟を救う以外の目的がありませんでした。
　ここからはクロスハートと共にユウ救出へ邁進するとともに、より大きな目的へ視野を広げてゆくのかもしれません。

　それも、ダークナイトモンの動きひとつなのでしょうけど……
　ユウが大人しく救出を待っているようなポジションの人物かどうかもわかりませんし。不安要素はまだ多いですね。


・スパロウモン

　ネネのクロスローダーから出てきたり、シャウトモンと単独デジクロスしたりと行ったり来たりの人。
　タイキたちがネネの味方なら自分もタイキたちの味方、というシンプルな考えで行動していそうです。
　たぶん今でもネネが一番というのは変わらないはず。戻っていたのがネネのクロスローダーだったのはいい証拠です。
　つまりネネの行動しだいでは、また別行動を取る可能性もあるわけだ。彼の存在はX5に直結するので悩ましい問題ですね。

　とはいえ、スパロウモンがネネについていきたいと言ったらタイキは止めないでしょう。
　上にも書きましたが、誰かのために行動するのがクロスハートです。少なくとも、スパロウモンには資格と権利がある。


・モニタモンたち

　幸い、ネネの味方はクロスハートやスパロウモンだけではありません。
　彼らもネネを慕い、立ち位置が変わっても彼女のために戦う忠義者たちです。何を考えてるかよくわからなかったのは、
　単にあんまり何も考えてなかったからというだけだったようですね。ひどい表現ですがたぶんそんな感じだ。
　まあ、この和み系な方々が狡猾で利己的だったら意外性はあるんですけど……意外性で終わりだからなぁ。

　さて、実はエリートだというネネ付き連中の三体。
　ゾーンをも越える情報共有能力を買われ、隠密として外部へ輩出されるそうで、ネネの場合もそうだったのかもしれません。
　そのおかげで城には非エリートしか残ってなかったというオチがつきますけど。そりゃ落とされるわ。

　でも、彼らの能力はバグラ軍にとっても有益なはず。制圧して配下に加える予定もあるのでしょうか……
　大将がブラストモンなので、単に何も考えてないだけなのかもしれませんけど。何か考えてたら驚くところです。


・モニタモン長老

　見るからに人がよさそうな長老です。
　むしろお人好しすぎてホイホイ同輩を外部へ放出した結果、ものの見事に空洞化を招いたのではとさえ感じました。
　まあ、モニタモンというかシノビゾーンにとってはそれが当たり前だったのかもしれませんけど。
　役割としては解説役に終始しています。


・モニタモン語

　これまでもコミカルな喋りで楽しませてくれたモニタモンたちですが、彼ら独特の言い回しも登場しました。
　「もに」というのはおそらく「非常に、たいへん、実に」という意味なのでしょう。
　いや、それしか出てこないんですけどね。

　しかしモニタ城といい、このデタラメな立地がたまりませんな。
　なぜかDVDデッキもあるようですし。一体どうやって時代劇のソースを入手したのでしょう。
　どう考えてもまともな手段とは思えませんが。金払え。


・カラテンモン

　コードクラウンの守り人。サンドゾーンに大勢いた者たちとは同種族ということになります。
　今にして思えば、なんでカラテンモンがサンドゾーンにいたんだろう……

　そして今回の設定、なにか思い出すと思ったらスタンシアラの王様でした。
　あっちはちゃんと考えがあってお触れを出していたのですが、こちらは特に深い理由などなさそうです。
　単純にそれが一番取られにくいと考えたのでしょうか？
　でも、強奪しようとする者が素直にそんな条件を守るとも思えないのですが……
　エテモンたちが様子を見たのだって、敵わないか苦労が増えるだけと判断したにすぎないからでしょうし。

　また彼は、ちょっとズレた笑いのツボの持ち主でもあります。南斗鳳凰拳のサウザーみたいだ。
　笑いのツボといえば、記憶に新しいところでは「ゴセイジャー」26話が思い出されます。
　しかも登場怪人は天狗。どういう偶然だ。

　ところで一番のオチは、中の人が界王様だったことだと思います。え、これで笑うの？　も含めて。


・バグラ軍のみなさん

　城を抑える時代劇好きなムシャモンを筆頭に直属のシュリモン、なぜか忍者だったエテモンとなかなか人材豊富です。
　しかし強さそのものはさほどでもないようで、エテモン軍団などはX2以上になるまでもなく全滅していました。
　こんなほのぼの回でもしっかり倒されるとは、いささか気の毒になってきます。

　でもシュリモンはいいとして、なんでザンバモンじゃないんでしょう。
　それに、あの構成でなぜ上にいるのがブラストモンで、タクティモンではないのでしょうか。
　まあ、あのノリは真面目なタクティモンにフィットするものではありませんけど。

　ちなみにシュリモンについては、手裏剣を放ったあとの手で物を持つという大変レアな場面があります。
　しかも持ったのはDVDビデオ。なんだこのシュールな絵面は。



★名(迷)セリフ


「わたしは…人の命を盾にするのが許せないだけ……」(ネネ)

　助けた地元モニタモンらにお礼を言われての答え。
　弟の命のため選択肢を奪われ、やりたくもないことに手を染める羽目にもなったネネにとっては他人事じゃないでしょうね。
　タイキではなくキリハを選んだ時期があったのも、損得を抜きに動くクロスハートに不安を感じたからかもしれません。
　後半にそれを連想させるセリフもあります。


「このガケ、ケガするぅ〜」(ゼンジロウ)

　このダジャレというかアドリブはもういつものことですが、その後の無闇にフレンドリーな態度で多少イラッときます。
　直後のネネを守る場面でギリギリ相殺できるライン。描写バランスの大切さが身に染みますね。
　さらにその直後にはネネに肘鉄食らったあげく死にかけるので、もう許してやれとなります。

　それにしても、１話のころからは考えられないぐらいタイキと打ち解けてますね。そろそろ付き合いも長くなってきたからなぁ。


「なんだ、アカリもオレと一緒じゃん。『ほっとけない』。」
「でも、アカリにならネネもきっと心を開くと思うぜ」(タイキ)

　今回の彼から選ぶのなら、このへんのセリフでしょうね。
　アカリは一緒にしないでと言ってましたが、確かに似て非なる考え方です。アカリのそれは、タイキのように
　誰かのために無茶をしがちな人を気にかける「ほっとけないがほっとけない」な側面もありますから。

　で、タイキはそれをなんとなく理解しているのでしょう。
　だから、ある意味でアカリなら自分以上にネネのことを解ってやれると感じたのかもしれませんね。
　それを抜きにしても、人をおだてるのが本当に上手い子ですし。


「すまん、オレには無理だ……！」(ドルルモン)

　直後にドリルで全力逃走。妙に手慣れた雰囲気で退避するキュートモンがちょっと可笑しいです。
　でも上に書いたとおり、彼なら笑われるというか笑わせられたかもしれません。
　しかしそれはドルルモンにとり、何か大事な物を失うことになる事態なのでしょう。きっと。


「ネネで、いいわよ」(ネネ)
「うん、ありがとう！　ネネ！」(アカリ)

　というわけで、だいぶ意気投合してきました。なんだかんだで「よかったね」と言いたくなる場面です。
　ときに、あのコントはどっちが書いたものなんでしょう。タイキの言葉が正しければアカリですが、
　アカリはネネのことを褒めていたので実はネネだったりするのかもしれません。
　いや、一見クールなキャラが実はお笑いの鉄人というのは割と王道な設定なので、それもありかなと……



★次回予告

　周知のとおり、次はゼンジロウ回。
　このところすっかりギャグメーカーでしたが、久々にスターソード捌きも見られそうです。
　タイキ側はX5を出せないことになるので、逆に残りメンバー活躍のチャンス。ナイトモンはとりあえず確定として、
　他にもいろいろと期待できそうです。18話もそうですが分散回にけっこう燃えるタチなんですよね。

　姫様の顔がいっさい出てこないのが気になります。それとも、ひょっとしてあのハイビジョンがそうなの？