最終兵器始動!がんばれキュートモン
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脚本:米村正二 演出:貝澤幸男 作画監督:仲條久美 |
★あらすじ
マタドゥルモンに叩き落とされ、地下にやってきたクロスハート。
そこで両親の気配を察知したキュートモンをレアモンの群れが襲います。あわやというところで救出されますが、
逃走時のトラブルで一同がバラバラになってしまいました。
やがてネネとゼンジロウの目撃により、レアモンは全てスイーツゾーンの住民が変化した姿だと判明。
彼らからデータを吸い取り、ついに最終兵器・ブレイクドラモンが始動しました。
なんとか合流したクロスハートがX5で立ち向うのですが、敵は大ダメージを受けても再生してしまいます。
しかもその底面にはキュートモンの両親が…ふたりの持つ癒しの力を再生に利用していたのです。
攻撃できないまま、一方的に攻め立てられるX5。危機を救ったのはキュートモンでした。
その力がX5のダメージを回復させている間に、タイキとスパーダモンが両親を救出。
こうなれば遠慮は要りません。敵はマタドゥルモンもろとも打ち砕かれます。
かくして両親との再会を果たしたキュートモン。
けれども彼はその両親と別れ、クロスハートの一員として平和のために旅を続ける道を選ぶのでした。
★全体印象
28話です。脚本は前回に続いて米村氏。作監は14話以来となる仲條氏です。
前話と打って変わり、テイマーズの貝澤氏らしい少々ホラーチックな演出が印象に残る回。
しかしその分、勢いで見せていた前回とくらべ小さな穴が目立つ仕上がりです。
致命的なものはないんですが、かといってそこそこ以上から盛り上がりもしないというか…どっか淡々としてます。
ブレイクドラモンが再生能力のせいでむしろショボかったり、両親救出の間マタドゥルモンが何もしなかったり
それってどうなの? という大きめの穴もちらほら。また唐突にコードクラウン出すし。これで三度目ですよ。
雰囲気をうまいこと変えてきたのはいいんですが……うーん。
4月からは時間帯が移り、コスチュームなども変わって新展開を迎えるというクロスウォーズ。
日曜の朝6時半といえば「ガイキング」「あさたろう」の位置です。結局ここに出戻りという形になったか。
時期をはかるため、30話以降はまたしばらくお休みになる可能性が高そうですね。
「ガイキング」のときもそうだったので確率の高い話です。Vジャンにも15日の放送予定が入ってないし。
そこからは現実世界も巻き込んだ話になってゆきそうなんですが、果たしてどうなるか……
★各キャラ&みどころ
・タイキ
存在感は維持してますが、特に印象的なセリフや行動は示していません。
冷静な判断力を発揮はしていてもそこ止まりで、プラスαで心に刻まれることをしていない気がします。
これだけ目立ってながらこれだけ淡々とした流れというのは別の意味ですごい。
・アカリ&ゼンジロウ
アカリは前回目立ったのもあって完全空気。
一方、ゼンジロウの方はちょっと目立ってます。みんなの下敷きになってリアル負傷したり酷い目に遭う反面、
ネネのお尻に敷かれたり腰にしがみつくというなかなか羨ましい場面も。
・ネネ
レアモンを容赦なく倒そうとしたり、トワイライトにいた頃の考えがまだ抜け切ってない模様。
クロスハートを外から俯瞰するようなセリフを吐いたり、状況しだいで異端ぶりが発揮されるようです。
弟のネタが消化されるまでは、しばらくこの状態が続くのかもしれません。
・クロスハートの仲間たち
キュートモンが大活躍。それをきっかけに潜在能力が発揮されたのか、離れていてもダメージ回復可能になりました。
が、いきなり光ったり飛行したりと唐突すぎてちょっと置いてゆかれます。毎回出るわけじゃない気がするし。
両親とテレパシーで会話できるのもたいがい唐突ですが、ここいらまではまだ許容範囲。
あのキズを治す力がトリガーになってる節もありますし。
その他のメンバーも状況に従って行動しているだけで、駄目ではないけどあまり面白みはありません。
かと思えば離散させるためだけにモニタモンを出したり(そして失敗させたまんま挽回はなし。ギャグですが)、
キュートモンの両親をピンチにするためだけにシュレッダーを残してスパロウモンに無理矢理突破させたり、
シナリオの都合のみを優先した不自然な過程も目立ちます。なんでこう後半になるとアレになるんでしょう。
スパーダモンは役目が終わったとばかりにほとんど空気。両親救出に貢献はしましたが、そこまでです。
しかも結局仲間にさえならないゲスト出演でした。まあ、これはある程度予想してましたが……
せっかく剣を投げるぐらいなのだし、救出はゼンジロウに振ってX5Sを見たかった気もします。
でも、スターソード抜きで4以上のナンバリングアルファベットは無理なのかもしれませんね。
ベルゼブモンはまたサボっています。
合体しなくても使いようはあるキャラなのに、不自然なぐらい出ませんね。
両親救出を妨害するマタドゥルモンを食い止めるとか、それだけでもいいぐらいなのに。
・キュートモンの両親
出たのはいいんですが抽象的な描写が多く、これ!というセリフも無い印象の弱いふたりです。まさかの展開。
スイーツゾーンに移送された理由も明らかになったんですが、特に引っ張るほどのものでもなかった気がします。
ひとつ功績があるとすれば、キュートモンをオスだと断言してくれたことぐらいでしょうか。
そうか、あれでオスなのか……
・デジクロス
今回はちょっとパターンが違い、ネネとタイキが両腕をクロスさせるようにして宣言します。
ネネの仲間化をより一層印象づけるショットですが、一瞬バロム1を思い出すなんて言ったら年がバレそうだ。
・バグラ軍のみなさん
前回でアカリの味と考え方に理解を示したマタドゥルモンですが、今回で同情の余地を失います。
さすがに、あそこまでやってしまっては倒されるしかないでしょう。単に新しい刺激が欲しかっただけってことかな。
それでも彼を糾弾するシャウトモンX5のセリフがやや滑ってた気がするのは、何か納得がいかないせいでしょうか。
究極の破壊兵器だというブレイクドラモン。
しかし無限再生の敵というのは実は諸刃の剣で、ただ倒せないだけというパターンに陥りがち。
今回はそこへ見事に嵌っていた口で、あの能力がなきゃX5に秒殺されていただろお前というショボさでした。
X5が弱体化してないのはいいんですが、この場合はむしろ敵が弱すぎると感じてしまいます。
しかもなぜか自分で突撃して倒されたマタドゥルモンの後は、いつ死んだのかわからないぐらいに空気化。
両親は胴体部底面に囚われていましたが、これも何ら妨害もなくあっさり救出されています。
そこが肝なんですからもうワンクッションぐらい置けないもんでしょうか。
レアモンは住民がデータを吸い取られ、成れの果てとして姿が変わってしまったという設定。
他者を襲うのはもとの姿に戻りたいがゆえのことでしょうが、住民を攫ったのがマタドゥルモンの命令なのか、
彼らの意志なのかは不明瞭なままです。普通に考えれば操る方法があるのでしょうけど。
ブレイクドラモンを倒せば元に戻るのは一種のお約束なので、悲惨な話にしないならこれは仕方ありません。
次はタクティモンの本気を見られそうですね。
どういう状況でキリハと組むのかはわかりませんが、かなり大規模に攻めてきそうです。
★名(迷)セリフ
「オレなりの覚悟なら、持ってるさ…!」(ゼンジロウ)
それは戦わない覚悟…でしょうか。
何もわからないまま戦ってしまって、本当に後悔しないのかどうか。それを知るための覚悟というべきですかね。
実際、結果的には彼の判断が正しかったことになります。タイキでも同じようなことを言ったかもしれません。
普段リアクションとアドリブばかりが目立つゼンジロウですが、こういう面を忘れてはいけませんね。
「ボクは…男の子……男の子だキューーー!」(キュートモン)
気魄の一言。表情もおそらく今までの中で最も凛々しいものです。
でもこの土壇場で「男の子じゃない」なんて言い出したらどうしようかと一瞬いらん心配をしたのは秘密。
「さすがね、チーム・クロスハート……
どんな逆境でも、決して諦めない仲間…ゾクゾクするような覚悟を、チームのみんなが持ってる…!」(ネネ)
再確認のようなセリフ。
ある種彼女自身が自分で自分に何かを提起しているような内容で、ちょっと面白いです。
前回ハッキリと名乗ってはいるものの、彼女は自分にその一員たる覚悟がまだ足りていないと感じたのかもしれません。
そりゃまあ、1時間前まで敵だった者のためにデジクロス無しで大軍と戦うようなこともしなきゃならんのです。
職場の雰囲気はいいけど、バグラ軍やキリハ軍とくらべても仕事はキツいでしょう。楽な道を選ばないのですから。
★次回予告
なにやら一大決戦に発展しそうな雰囲気。時間移動前の最後の盛り上がりってやつでしょうか。
気になるのは30話の表記ですが……ここからどうやって「あの場所」に繋がるのでしょう。
そして今後の展開が吉と出るか、それとも凶と出るか……
それにしても、あの大量のコードクラウンはいったい?