デジモン剣道勝負! コテモンの刃が迫る!!
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脚本:米村正二 演出:角銅博之 作画監督:小松こずえ |
★あらすじ
かつてタイキに敗れて以来、ひたすら強さを求めていた剣道少年・剣崎武蔵。
そんな彼の前にデジクォーツとコテモンが現れます。武蔵はコテモンの強さに感服し、稽古をつけてもらうことに。
助っ人として都大会に参加していたチーム・クロスハートは、武蔵のリベンジ宣言を受ける形となりました。
ところが、やがて各校剣道部の強豪たちが次々と辻斬りに遭うという事件が発生します。
不審に思ったタギルたちが調べてみると、犯人は武蔵でした。が、犯行は彼の独断でありコテモンの与り知らぬこと。
よってデジモンハントの必要も生じなかったのですが、タギルやタイキは武蔵の剣に黒いものを感じていました。
そして都大会決勝、タギルと武蔵の大将戦において異変が発生。試合中の二人がデジクォーツに引き込まれます。
武蔵の剣に黒いものを与えていたのは、戸張レンのパートナーであるドラクモンでした。
ドラクモンの強化には人の強い欲望が必要であり、そのために武蔵の強さを求める心へ付け込んだのです。
さらにレンはドラクモンを超進化させてヤシャモンとし、コテモンをハントしようとします。
義憤をつのらせたコテモンは、自らガムドラモンとのデジクロスを志願。
その炎の剣術を得たガムドラモン・クロスアップの力は、ヤシャモンとレンを退けるほどのものでした。
かくして正気に戻った武蔵は改めての大将戦を正々堂々と勝ち抜き、新たな志を抱いて全国大会へと羽搏いてゆきます。
敗れはしたものの、真っ直ぐに全力で戦ったタギルの表情もまた晴れやかなものでした。
★全体印象
60話です。脚本は57話も担当していた米村氏。今期に入ってからは2度目の登板となります。
作画の小松氏は42話以来の作監担当。それほど顔は出さないのですが腕は確かで、脚本と演出にも恵まれてました。
しかし、それはこれまでの話。
今回については脚本も演出も良いとはお世辞にも言えない状態で、作画を活かせてるとは言いがたいです。
特に米やんのホンはいつにも増して雑で、しばらくぶりにまた頭を抱えることとなりました。
例えばタイトルに反してコテモンが善意のデジモンであり、武蔵の想いに惹かれてやってきただけという設定ですが
ミスリードを狙ったものだとしたらあまりうまくいってない気がします。次回予告までしか役に立っていない。
それに忘れてはいけないことですが、デジタルワールドではデジクォーツへの失踪自体が問題となっているはずで
本人が望んでやってることとはいえ、ほっといていいのかという疑問がどうしても生じます。
ましてタギルたちは武蔵の辻斬りを見てるはずなのに、そこらへんまで保留しといていいのかと思わされてしまう。
責任の取らせようがないといっても、夢を砕かれた犠牲者がいるかもしれないというのに。
決着を試合でつけようという形に拘ったあまり、いろんなものが置き去りにされていないでしょうか。
その試合にしてもツッコミ所が満載で、どうしていいのかわからないほど。
まず仮にも都大会に出ようという部が、そのためのメンバーを素人に募るという時点からおかしい。
一時的なもんじゃなくずーっと参加してるなんて、もはや助っ人じゃないです。どんだけ人材不足なんですか。
まあ、実はものすごい弱小剣道部でタギルはともかく、タイキやユウが生半可な部員より強いのかもしれませんが
(忘れてはいけませんが二人は異世界とはいえ、一応モノホンの戦場を駆け抜けた場数ホルダーです)、
それでもその素人の中でたぶん一番弱いタギルをよりによって決勝の、それも大将に据えるというのはどうなんでしょう。
事が事だからって、一応大事な試合なんですよ? 他の部員の意志はいったいどうなってるんだ。
タギルと武蔵の試合についても言いたいことがあります。
剣道というのは、やみくもに竹刀を振り回したところで勝てるもんではありません。
上級者なら、力まかせの単純な剣なぞ簡単に見切れるはずです。出鱈目で勝てるなら苦労はないでしょう。
それなのに仮にも全国を目指せるってレベルの選手を一瞬でも押し込める場面があるというのは「はぁ?」としか。
そりゃあもちろん、タギルだって運動神経は優れているはずですから動きが悪いとまでは言いませんけど……
要約すると「剣道なめんな」の一語につきます。
挫折したとはいえ昔僅かでも剣道をやっていた身に、この手のアラは自分でも存外と神経に障るものでした。
救いだったのはタギルが公式戦ではぜんぜん勝ってないことです。反則負けも多いみたいですし。
これで武蔵にガチで勝ってたらどうしてくれようと思ってましたけど、そこまで酷いことにはなってません。
酷いといえばレンの扱いもけっこうなもんでしたが、それは後で語ることにします。
★各キャラ&みどころ
・タギル
上で書いたように公式戦では負け通しなんですが、そのわりに剣が真っ直ぐだとかパターンが読めないとか
妙に持ち上げられてる描写が多く、何だかすごくモヤモヤとした気持ちになります。
私の目には、単に竹刀の振り方もわかってないだけにしか見えんのですが……剣道ってそんな底の浅いもんじゃないでしょう。
その他の描写もなんかこう微妙なものが大多数で、単なるバカとして以外に描く気があんのかと言いたくなります。
心なしかマミやユウの言葉のナイフも辛辣なものが多く、キャラの向こうで脚本が彼をどう見てるかまで感じられてくる。
一番すごいのは、これでもキリハよりマシという事実ですが。
あと仮にも超進化体であるアレスタードラモンの真剣を竹刀で受けんでください。軽く死ねます。
アレスタードラモンが思いっきり手加減してたとしても危ないですよ、あの特訓。
・ガムドラモン→アレスタードラモン
一応タギル回だったわりには大して目立ってなかったお方。
デジクロスの都合とはいえヤシャモンに瞬殺されて進化解除を起こす場面があったり、割とろくなもんじゃないです。
クロスアップしたらしたで逆にえらいことになるし、バトル描写の雑さは相変わらずだなぁ、米やん。
3話もそうですが、見てて燃えませんもの。ましてクロスウォーズではもはやハズレである角銅演出ですし、色々とキツい。
ところで、彼が理性を失ってなかったのって何故なんでしょう。
別に深い理由がなくても何とかなりますが、いくら何でもラストシーンのアレが理由とは思いたくないです。
・クロスアップ・ガムドラモン
コテモンとデジクロスを遂げた姿。防具を身につけて竹刀を携えた姿となり、コテモンの剣術を使えるようになります。
必殺のファイヤーメンがさらにパワーアップしており、ヤシャモンをぶっ飛ばす威力を発揮しました。
この回についてだけ見ると「超進化っていったい……」と素朴な疑問が湧いてきます。
・タイキ
武蔵の挑戦を華麗にスルーし、もっぱらタギルに解決役を振ってました。
事がタギルに絡むとこういう面が出るんですが、今回については一体どこらへんを見て任せようと思ったのか気になります。
いくら何でもタギルに夢見過ぎじゃないかと思いかけて、そーいえばキリハにもそういう接し方してたなと思い出しました。
基本、他人の考え方そのものにまで普段から干渉するタイプじゃないですからね。やらかしたら止めるけど。
後半は試合の手前もあり、タギルに顛末を譲って戦闘に参加すらしていません。
シャウトモンも出番らしい出番といえるものは前半の掛け合い程度となっています。
・ユウ
三人の中では最も剣の心得があるだけあり、順当に勝ちを重ねていた模様。ファンの声援が黄色いです。ここにも黄色が。
それもあってか、タイキがタギルに武蔵の相手を振ったことにあからさまな不満を表明してました。
事がデジモン絡みなら三人のうち誰かが武蔵とやり合う必要があるのは当然としても、それなら自分だろうと言わんばかり。
まあ不満をぶっつけられるのは悪いことじゃないですが、今回についてはイヤミの色が強い発言もあります。
せっかくダメモンも復活したしもうひと暴れといきたいところでしたが、そんなわけで今回はお休み。
4話、5話と前後編の形で目立っていたので、これ自体は仕方ありません。我慢してもらいましょう。
・マミ
今日も今日とてユウ親衛隊です。
他のネームドモブとも明らかに扱いが違いますが、こうもタギルDisり隊の活動まで盛んだとそろそろ視線が温度を下げますね。
彼女を見てると、なんだか次第に元宮ジュンを思い出してきてしまいます。似た匂いを感じる。
このまんま掘り下げられずに「で、結局なんのために出てきたの?」な形で終わらなければいいんですが。
・剣崎武蔵
かつて素人のタイキに剣道で敗れ、それ以来ライバル視していた安直な名前の少年。…どっかで聞いたような設定です。
よほど悔しかったのか、コテモンが興味を抱くほどの一念で特訓を重ねていました。
人外の剣術と呼ぶべきものも教わり、その腕にますます磨きをかけたようです。
で、実力を試さんと辻斬り行為を繰り返してたわけですが、堂々と戦った方がいいよと言われただけで事実上お咎めなし。
もちろん便乗したレンとドラクモンの影響を受けてああなっていたのはわかるんですが、釈然としないものがあります。
これを含め、今回は非常に引っ掛かりの多いスッキリしない流れが多いですね。いいのか。本当にアレでいいのか。
一応フォローを入れれば、タギルに押されていたのはつまりあの時点での彼の剣が邪剣だったからなのでしょう。
本来のものを取り戻した公式戦では、あっさりと勝利を収めていた節があります。そういう示唆ですかね。
タギルが妙に晴れやかだったのは、あんまり綺麗に負けすぎて悔しがるどころじゃなかったというのもありそう。
まあ、それが本来の実力差というものでしょう。
ちなみに中の人は大浦冬華氏。「バトルスピリッツ」でこの間まで主役の馬神ダンを演じていた方です。
可愛らしい演技も得意なんですが、ダンやレン・エルシ・ジュエリアみたいな役にやはり個性を感じますね。
・コテモン
武蔵の強くなりたいという念に誘われ、その師を買って出たデジモン。まさかの老年キャラです。
自らデジクォーツに現れ、しかも暴走していないところから見かけによらぬ強い精神力が窺えますね。
シャウトモンとはどうも知己みたいなんですが、そこらへんは全然掘り下げられてません。
つうか放っておいていいんでしょうか。無断渡航みたいなものなのでは。まあ最終的には保護しましたけども……
剣の実力は一級品。ガムドラモンとデジクロスすれば、ヤシャモンを制するほどの剣技を発揮できます。
声と落ち着いた性格から考えて、あの姿のまんま剣を極め続けて幾星霜という個体なのでしょう。
24話でスターソードに斬られた個体とはたぶん別です。
中の人は納屋六朗氏。声が若いと言われてた方ですが、久々に聞いたらさすがに老いが垣間見えてしまいました。
兄の納屋悟朗氏がもう声を出すのも大変そうなのを思うと、それでも遥かに保ってると思いますが。
・レン
武蔵に目をつけ、その強い欲望をドラクモンに食わせて利用していました。
4話といい、ハントや手持ちデジモンの強化のためには手段を選ばないようです。地味ですが一番悪辣なことをやってる。
彼の場合は悪というより「無関心」というのがキーワードなのでしょうけど。そういう顔をしてる。
しかし結局はあれだけ手間をかけておきながら敗北という結果に終わり、捨て台詞を残して撤退というオチ。
そのうえ相手は超進化もしてないという有様です。もう既に何をやっても挽回できない気がしてきました。
このままじゃ本当にロケット団になってしまう。いや、ロケット団は知る限りコメディリリーフの役割がありますが、
仮にもライバルポジションでこれだから問題なんですよね。どう巻き返すのかな。
・ドラクモン→ヤシャモン
武蔵を利用してパワーアップし、超進化を果たして襲いかかってきました。
あれって初進化だったんでしょうか。それとも、もう進化できるようになってたんでしょうか。どっちなんだろう。
まあ勢いがあったのは最初だけで、びっくりするほどあっけなく負けるんですが。
といっても、ヤシャモン自体がもともとアスタモンやチョ・ハッカイモンに比べても格下なのです。
なんせ出自がひとりだけアーマー体ですからね。へたすっと成長期に一泡吹かされかねないレベル。
だから、デジクロスしたガムドラモンに敗れるのはひょっとしたらそんなに無理のない話…なのか?
ごめんなさい、やっぱり無理がある気がしてきました。何でこんな時だけ設定に近い描写なんですか。しかも天然で。
・コジロー
武蔵に辻斬りされた強豪選手のひとり。こちらも非常に安直な名前です。
なんか強そうなオーラと一回打ち込みを凌いだ場面で「おっ」と思ったら一瞬で負けてズッコケました。
その上放置されて忘れ去られるという無体な扱いです。誰か助けてやれよ。
…あの後どうなったんでしょうね、彼。剣道を続ける気になってればいいんですが。
・ゼンジロウ
武蔵に髪型とキャラ設定を一部パクられた江東区最強の男。
剣道絡みのエピソードだというのに、名前も出ませんでした。今度こそ完全にリストラされたようです。嗚呼……
別にこの先出ないという保証はないし、出ないでほしいなんて全く思ってないので巡り合わせが悪かったと思いたい。
といっても、世話女房のアカリが応援に来てない時点で……ねぇ?
…ちくしょう……ハーマン! ちくしょう!
★名(迷)セリフ
今回は特にありません。
★次回予告
ギャグ回とバディものでは定番の喧嘩回を両方やろうという雰囲気。…どっちかに絞ってくれませんか。
演出とホン次第で化けそうですが、どっちかがダメなら厳しそう。