SOCCER&FUTSAL

(プレ)ゴールデンエイジにおけるサッカーの指導概念

 サッカーの基礎技術を高めるためにもフットサルを行うことは、非常に効果があると言われています。
 
フットサルは、狭い場所でボールの競り合いが数多くあり、そこには素早い判断力が一番に要求されます。ドリブルも含め、あらゆる局面でスピーディーなプレーが要求されるので、神経系の発達が著しい時期から行うことを進めます。
 まず第一に、子ども達のゲームにおいては、その中で最大限スキルの向上が図られなくてはなりません。スキル獲得のためには、1つ1つの技術が繰り返し再現されること、すなわち、ボールに触れる回数の多いことが条件となります。そう考えると、22人に1つのボールをシェアするゲーム形式で行うよりも、もっと少人数で1つのボールをシェアした方がスキルの向上に有利になるのは当然のことです。

 
ドイツの運動学者マイネルは、特定スポーツの技能の習得を適切な時期に始めることを「時期を得た専門化」と呼び、それは9〜12歳頃であると述べています。それはその年代がスポーツの技術を習得するのに最も適した時期であり、他のどの年代にも見られない「即座の習得」の可能な時期とされているからです。即座の習得とは、新しい運動を何度か見ただけで、すぐにその運動をおおざっぱながらこなしてしまう能力のことです。サッカーの世界でもその時期を「ゴールデンエイジ」と呼び、非常に大切にしています。そのゴールデンエイジをより有効に過ごすためにも、それ以前の年代(5〜8歳)「プレゴールデンエイジ」が重要な鍵を握っています。
 
また、子どもの活動欲求も高くなってきますが、「もっとやりたい」というところで終わることが、次の練習への大きな動機付けとなるはずです。「サッカーが好きで好きでたまらない。もっともっとうまくなりたい」という気持ちでゴールデンエイジに入っていけたなら、その子どもにとってサッカーの上達にこれほど有利なことはなく、この年代の指導としては大成功とされています。
 小学校3〜4年生頃からは、目的への指向性が次第に明確になり、無駄な動きもなくなってきます。そうなってくると、いよいよゴールデンエイジへと突入です。
 サッカーの世界でもヨーロッパの国々では、8・9歳〜12・13歳の頃は、一生のうちに二度と現れないスキル獲得の「ゴールデンエイジ(黄金期)」と言われ、この時期にサッカーに必要なあらゆる技術を身につけると良いとされています。この時期の子どもの驚くべき技術習得の能力は、竹馬や一輪車など、我々が今から覚えようと思うとぞっとするようなことでも、いとも簡単にこなしてしまうことで理解いただけると思います。
 しかしながら、多くの子ども達にとって、この運動系の発達に大切な歳月は殆ど活用されないまま過ぎ去ってしまうことも多く、ここで逃したものは、後で再び取り戻すのは非常に難しいのです。「(プレ)ゴールデンエイジを大切に」というのは、長期的視野でのサッカー選手を育てていくうえで、大きなポイントの一つであると思います。

 
また、この年代のトレーニングを考えた場合、筋力や持久力等の体力トレーニングをサッカーの練習と切り離して行う必要は全くありません。技術練習やサッカーのゲーム等の範囲で充分なのです。特に、スモールサイドゲームを活用することでスキルを上達させながら持久力も向上させることができるのです。もし、サッカーと切り離した形でトレーニングすべき体力的課題があるとしたら、それはスピード系の要請でしょう。スピードといっても、上り坂ダッシュのような筋力的付加を伴う形ではなく、「アジリティ系(瞬発力)」すなわち細かいステップや反転或いは反応の速さなどどいった神経系の発達(神経筋協応)を促すものであるべきです。筋力的負荷がかかればそれだけ動作の速度は低下し、神経系に対する刺激は低下してしまうからです。
 「成長期にある子ども達を指導する指導者に望まれることは、その子どもが完成期において、如何に大きく成長するかを第一の目的とすることであり、目先の勝負に目を奪われて将来の大きな成長を阻害してはならない」という、「長期一貫強化計画」のためのプロジェクトにあるように、先ずは、サッカーの楽しさを覚え、サッカーに必要な基礎技術を習得させるためにも「フットサル」が重要だと考えます。

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