京都に行ってきたこと(第2回)。

 

  第2日

 飲んだせいか明け方に目が覚める…ねむい。

 二度寝して起きて、8時40分に宿を出ました。どうも旅行に行くと朝の支度が遅いタイプなのです。朝湯に入ったり、ヒゲをそったり、トイレに出たり入ったり…。

 バス停近くのエクセルシオールカフェで朝ごはん、というかパンを食べて移動。バスに乗って一日乗車券を買い、はるばる乗って東福寺さん。もしかして乗るバスを間違えたかもしれない。京都のバスはむつかしい!行く途中で東寺の大きな塔がすぐそこにみえました。
 バスを降りると正面は病院です。東福寺さんはどこにあるのだ!っと地図を眺めるも、縮尺が大雑把でわからない。ええぃこっちだろう!っと歩き出して気がついたんですけど目の前に大きく「東福寺」と書いてあった。間抜けすぎる。歩いていくとすぐ塔頭のひとつの退耕庵さんが見えてきます。ここはあとで見ることにしてとりあえず東福寺さんを目指しました。曲がっていくと最初に見えてくるのが臥雲橋。はるか下を川が流れていて、高いところに橋があるのです。ステキっす。
 

 ここから東福寺の紅葉の名所の通天橋が良く見えるのです。ほんとこれは紅葉の時期はたまりますまい。ものすごく混むらしいですけど。あおいもみじもきれいです。


 境内に入っていくと正面に本堂が見えます。けっこう大きくてわくわくですけども、右手に見える三門に圧倒されました。ええわぁ…。なんだか三門好きかも。その前に、脇に禅堂と、東司があります。東司、は、まあつまり、はばかりですな。その変わった造りに、なんだろうと近寄っていったらおべんじょでした。もちろん今は使われていない…、と思う。

 もちろん中をのぞいてみる。

 上のような穴がずらっと並んでいます。なんだか意外に質素なつくり。それにしても、便所というと日常生活に密着しているぶん、どうでもいいところ、なように思うのですけれども、室町時代のトイレがだいじに今公開されているのは不思議な気持ちがします。まあ、生活に密着しているぶん逆に、貴重な資料なのでしょうね。

↓なぜそこに小銭を放るのか。

 中に案内の絵やなんか書いてあるので、もしかしたら特別公開の時などは観光客を中に入れることがあるのかもしれない。ジックリ見てみたいような、そうでもないような、複雑な気持ち。

三門です。

400円払って通天橋にはいってみる。

 真ん中あたりにちょっとしたでっぱりがあって、先ほどの臥雲橋が良く見えるようになっています。暑いー、っとずっと持っていた扇子を臥雲橋の上のみしらぬ人に振ってあげようかと思ったりしたわけですが、もしかして「あれはこの扇を射てみよという謎であろう」 などと解釈する那須与一みたいな人がいると剣呑なのでやめておきました(そんな人はいません!)。

 ずっとわたっていくと奥には静かな庭とお堂がありました。この写真だとちょっとわかりませんけども、階段をあがった先に見えてくる庭とこのお堂は天国のやうでした。きらきらひかる小さなとんぼも飛んでいたよ。

 さらにこんどは方丈へ。枯山水の庭園は野生的なのとおだやかなのと対照的で趣き深い。見ていてなかなか飽きません。ひとつづつの石がそれぞれ、そしてまた、かたまりになって何かを語りかけてくるようなココロモチがいたします。

上の2枚ともが同じ庭にあって、さらにこれがごく一部と言う…。感動的です。

他にもいくつかの庭があるのです。

ここがよくガイド本などに出てくるようです。だいぶイメージが違う。

 みどころたくさんのお寺でした。帰ろうとすると、禅堂の中で声がする。なんであろう……っと、ふたたび戻って禅堂を見ると、さっきは閉まっていた前の扉が開いている。ちょっと中をのぞくと中学生だか高校生だか、なかで大勢座禅をしていました。室町時代の建物が現役なんですなあ。

 11時半頃に東福寺さんを出て、目の前の東福寺さんの塔頭のひとつ、芬陀院さんへ。

…なんであろう…。

 入っていくと、たれもいない…。小声で「ごめんくださーい…」 っと声をかけてみる。へんじがない。普通の家かっ!って雰囲気で入りにくい。

 よく見ると受付らしきところに「誰もいない場合はこの箱のなかに拝観料をいれておあがりください」 みたいなことが書いてあって、小銭が入っています。んー。

 拝観料300円…小銭がないなあ。千円置いて、すでに置いてある小銭から釣りを取るというのもなんだかちょとなあ…あっ。300円あった。では、ここに置きますよ、っと、ひとりで勝手にやりとりをして中に入りました。だれもいないよ。

 

 よくとれていない。右側の石組みは「亀」で、夜中に動くので真ん中に石を乗せた(たぶん真ん中の立ってるヤツがそう?)ってきいた気がします。あの石をどけると動くらしい。おとろしい。

 途中でおうちの人(?)が帰ってきましたが、お客さんはワタシだけで静か…鳥が鳴いたり、ちょうちょが白砂にとまったり…。

 奥には小さなかわいらしい庭もありました。

 帰りに、退耕庵によりましたが、中は見せていませんでした。公開していないのかお休みなのかわかりません(予約制だったらしい)。門を入ってすぐのところに小野小町への恋文が入っていたと言うお地蔵さんがありました。大きなお地蔵さん。どれだけもててんねん!っと問うと小町さん答えていわく「ほんのしょうしょうでございます」

 ……さてそろそろお昼…どうしよう…。

 ちょっぴり教養がないと理解できない小噺をやってしまったので(←そうきますか?)おなかがすいた。

 結局昨年ちょっと寄った祗園の某お店に行くことにしました。たぶん川柳川柳さんと同じくらいのお歳のご亭主がやっているお店。昨年とちと味が変わった気もするけど気のせいかなあ。ななんと客はワタシひとり。食べてる目の前でご亭主が夜の仕込みをしています。こう、目の前で料理をしているのを見るの好きでねえ。途中で電話がかかってきて「夜でお部屋を用意するとなるとどうしてもおひとり一万円からですなあ…」みたいなお話をしていました。なるほろな。

 さてバスで移動して…。早速道を間違える。三年坂になんとか到着。だらだら下って、八坂の塔へ。公開してるのかわからなかったのですが、行ってみたらやってました。入ってみた。

 まんなかの扉から入れます。入るとすぐ礎石がみえる。ちょっと建物の中の写真撮るのははばかられたので…。中心に外側を向いて背中合わせに4体の仏様がおられるです。壁には仏様の絵が書いてあります。よくみると、上の写真の、入りぐちをはいって、すぐ左の壁に二箇所、江州人なんとか…っと、筆で所と人の名前が書いてある。ひょっとして、落書き?ちょっと気になります。こういうの面白い。

 2階までは見られて、上るための急な階段があります。ものすごく怖い。下から階段を上って「こらぁけっこうな高さまで登ったんじゃないの?」 っと下を見ようとしたとたんに横の梁にアタマをごつん。あほすぎる。「いったぁ〜」っと言いつつ二階へ。

 2階から、塔の中心の柱をずっと上に見上げられるように、床に鏡が置いてあります。その鏡を見ると心柱が上に伸びて行ってるのが見えるわけです。覗き込むと、上を見ているのに下を覗き込んでいるような感覚になって、落ちていくようでとっても怖い。

 階段の下りは上りの比でなく恐ろしかったです。昔の人は着物でここを昇り降りしたんだろうか。外へ出て、すぐ横の茶店で甘酒を飲む。表に椅子があって気持ちいいんだけど外を通る人が覗き込んでいくは、蚊が時々寄ってくるは…。

 さて、次の目的地は高台寺さんです。地図を見ながらだらだら坂を下っていきます。っと、書いただけでゴゾンジのかたはピンとくるでしょうけれども、道を間違えています。地図をみているにもかかわらず、まったく違った方向に歩いていってしまっているワタシでした。あとで冷静に考えてみるとまったくあほのような間違いっぷりでした。で、なんだかお寺さんがあるやん。ここが高台寺さんですな?っと入っていくと、高台寺さんにあらず。建仁寺さんでした。うわぁ…。そろそろ疲れ始めたところにこの間違い…。建仁寺さん拝観に切り替えようかと思ったのですが、なんとかがんばってふたたび来た道を引き返し、高台寺さん…坂…坂だ。そらぁ東山の斜面に建っているのですから、坂ですけど、だいぶにこたえました。

 今気づきましたが疲れのせいか高台寺さんの写真がやけに少ない…。

 傘亭と時雨亭。傘亭は池のほとりだか中だかわかんないけど座敷の中まで舟で乗り込めるようになっていたのだそう。説明の人がいて話してくれるのです。時雨亭は2階建てで、昔は大阪まで見渡せるくらい木が低くて、太閤はんが大阪城の落城をここで見て嘆いた、というような説明を聞いた気がするのですが後で考えると年が合わないのでたぶん私の聞き違いでしょう(調べたら落城を見たと言われているのは北政所だったそうな)。

 

 このお寺の霊屋の下には北政所が土葬されているそうです。なんだか墓所でなくああいう場所に弔ってあるというのは奇妙な気持ちがしました。

 階段が多くて、おまけにこの日は暑くてたいへんこたえました。美術館の券が共通拝観券みたいにあったのですが、ちょっと入り口の奥がすごいことになっていそうだったのでパス。ここで坂を下ってしまったら、次の拝観先までまた坂を上がらないければいけない気がして、高台寺さんの前の道をふらふらと北へ向かって、汗を拭きふき歩いていきました。これは珍しく正解だった。

 円山公園から知恩院さんの前を今回は素通り。この三門を特別公開することがあるらしい。見てみたい。この三門も昔の人の落書きがあるそうな。興味深い。知恩院さんは今改修中で見られるところが限られているので、いつかまた見たいです。今地図を見て初めて気がついたのですけど、八坂神社、円山公園、知恩院とくっついているんですねー。行ってみたあとで地図を見るのも面白いな。

 次に行ったのは知恩院さんのおとなりの青蓮院さん。門の脇にわくわくするようなクスノキがあります。庭は縁側からちょっと離れているけれど池があってまったりする気持ちの庭。なぜか水があると心やすらぐものですな。

 

 ↓かたすみにあった庭「西方浄土」 なんだかかわいらしい。

 好文亭というお茶室はしばらく前に火事で焼けたそうで、新しい建物。案内に従ってわき道に入ってきた人たちは見るものないや…っとすぐ引き返していきます。私もすぐ引き返したのですけど、もとの順路に帰るすぐ手前に気になる石が。コレ。

 

 高さ30センチほどのちいさな石です。なんだかね、チャウチャウ犬に、見えませんか?あるいは、こぐまちゃんとか。
 この写真を撮った時間は夕方の4時ごろで、ちょっと暗くなってきているし、木々の中だし、薄暗くて写真を撮るのに苦労しました。何枚も撮った中の一枚がコレです。そういう時間の光加減で犬に見えたのかもしれませんが、他の通りかった拝観客は「このおっさん、何を熱心に撮ってるんだろう」 と思ったことでしょう。ここを見て、青蓮院さんをお尋ねになる機会があるかたがいらっしゃいましたら、見てみてくださいな。そのうちに「犬石」とか名物になるかも?ならないね。

 鐘楼があって、鐘をつくことができました。打楽器叩きとしては(間違ってる)叩いておかねばなるまいと、浄財をハコに入れて、さて、と、鐘楼にあがると、後ろを歩いていた外人さんと目が合ってしまった。しょーがないので思わずにたぁ。と笑ったらあちらもにたぁ…。あわせてよたぁ…。

 鐘をついて余韻を楽しんでいると、その外人さんが続いて鐘をつこうと近づいてきました。手にデジカメを持っているのでちょっと反射的に「写真とりまひょか?」 っと、言葉ではなくて手ぶりで。外人さんが撞木を引くタイミングでシャッターを押したのですが、フラッシュが光る手間でちょっとタイミングがずれてしまった。画面には撞木のヒモ(なんていうんだろ?)を握ってぼーっと立っている外人さんの姿が…なんかマヌケです。うわぁ…。ちょっとタイミングが…っっと恐縮しつつカメラを返したのですけど、まあ外人さんうれしそうだったのでよしとするか。

 青蓮院さんを出て歩き出すとすぐとなりに「あおくすの庭」 という公園がありました。なんだか夏草がぼーぼー生えていて魅力的なのでちょっとだけ寄って、表通りへ。正面に平安神宮さんの大きな鳥居がみえます!もうお寺さんの拝観時間は終わっている時間帯ですが、もう一箇所、と、バスに乗って(ちなみに二日目から四日目は一日乗車券を買ってバスに乗りまくりました)、南禅寺・永観堂道で降り、道に迷いつつ、南禅寺の前を抜けて(結局ここでもマヌケな遠回りをしてた)、こちらへ。

 

 琵琶湖疏水記念館わきの噴水です。夕日を浴びてきれいに光っていました。で、みたかったのはここ。

 

インクラインという傾斜鉄道の跡地。歩けます。が、ものすごく歩きにくい。桜の季節は美しいそうです。今は草だらけでした。

 

 ひとり記念写真。すごい絵だねどうも。

 

 蹴上の交差点をわたった先にあるふるい発電所の建物。全景を撮れる場所は残念ながらちょっとないんじゃないかしらん。この写真の右側にあるはしご、なんであんなところにたてかけてあるのだろう。この写真だけではわかりませんが、ものすごい場所にあって、現物を見るとクラクラします。私には上がれません。上がる前にきゅって言って死にます。機会があったら現物を見てみてください。っていうか、たまたま何かでこのときかかっていただけだろうか。
 ちょっと思い出して書いているだけでどきどきしてきた。

 青蓮院さんあたりからデジカメの容量不足になって、いらない写真を消しながら撮っていました。宿にチェックインして、フロントで家電のお店の場所をきくと「近くには無いです。四条河原町に行く途中のフジイダイマルさんの奥が電気店街になってますけど夜八時になると軒並みバーっと、閉まります!」と親切に教わって、SDカードを買いに。そのあと四条烏丸の串あげの店「串八」 に行ったのですが、時間的なものかすでに40分待ちとのこと。すぐ近くのビルで祇園祭のお囃子の練習なのかしきりに大きな音がしていました。バスで四条河原町に移動して、やっぱしネットで調べておいた串あげの店「はいからや」さんへ。焼き鳥もやっていて店の中はケムリがもくもくしているのです。暑い日で汗をかきまくり。汗臭くなっているので夜洗濯しようと思っていて、どうせ洗濯するんだから煙臭くなってもいいやっ、と入りました。うずらばっかり食べてビールを飲んで、いいあんばいで店を出ました。そんなに煙臭くはならなかったと思う。
 まだ時間が少し早いなーっと歩いていると、先斗町で、おととし見知らぬおっさんと盛り上がった小さな店を見つけました。前回は食事も込みで飲んだから高くついたけど、ふらっと入って少し飲むなら良いであろう、たしか田酒も置いてあったし…。っと、入るとおかみさん、というかママが覚えていてくれて、おはなしをしつつお酒とちょっとお豆腐などつつきながらって感じで。隣にいた年配の方と何のきっかけだかクラシックやら落語の話でたいへんもりあがりました。こういう使い方ならいい感じの店であるな。おばんざいの店、ってなってるけど明らかに何かが違う気がする。

 今日は適量を、すこし過ごした程度でした。順調。宿に帰ってホテルのコインランドリーで洗濯をしました。一時間ちょっとかかるのですけど、部屋で待っている間ものすごい睡魔に襲われて困った。

 二日目の歩数 25641歩

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