きいたCDについて例によってテキトーに感想を書くところです。

 

スメタナ わが祖国 

デイヴィス指揮 ロンドン交響楽団

 ヒサビサにまじめにCDを聴きました。たいてい本を読みながらとかパソで遊びながらCDを聴くのですけど、そういうことしないで聴きました。

 最初のヴィシェフラドはなかなかいい演奏だと思います。かなりやりたい放題の演奏なのですが、そういうのがうまくハマっているのではないかと。モルダウはすこし主題が間延びしているように感じました。6曲を通して、ところどころで見得を切っているようなところがあるのですが、ちょっとやりすぎな感じが。ただ、それがこの演奏の面白いところかもしれません。もうすこし木管楽器の音色に輝きがあればよいと思いました。響きがややのっぺりした感じがして、この曲の美しさが減じてしまっているように感じました。また、後半楽章になってくると、盛り上がるべきところでいまひとつな感じが。テンポをあおったりしてなかなか盛り上げているのですが、もうちょっとダイタンに鳴らしても良いのではないかなあという物足りなさを感じました。
 とりあえず、この演奏のききどころは、かなり濃厚な表情づけや歌いっぷりだと思います。びみょうにヘンテコ演奏ではないかと。そういう意味では面白い演奏だと思いました。

 

チャイコフスキー 交響曲第6番 

ガッティ指揮 ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団

 この組み合わせの5番がなかなかやりたい放題の面白い演奏だったので、こちらも買ってみた(第5もいつか書くよてい)。これもけっこういろんなことをやっていてユニークな演奏です。第1楽章のテンポなど、けっこう速くて面白い。全体にやや速めのテンポ設定。ワタシは基本的に速いテンポの演奏を好むことが多いので、この演奏、テンポ的にはスキなんだけども、この、「悲愴」という交響曲、あまりに聴きすぎて、いろんなところにチェックポイントがあるので、そこをクリアできてない点が気になりすぎる。特に第1楽章。この楽章は、一応ちゃんとソナタ形式をとっているんだろうけど、でもヘンな楽章だと思う。で、この楽章、間延びしないようにチャイコフスキーはいろんな仕掛けをしている。だけどガッティはそういうところを気にせずにさらっと流してしまう。そんで音楽にどことなく緊張感がなくなってしまっている。例えば、展開部の途中、やや静まってホルンの不安定なリズムの上にヴァイオリンとヴィオラが第1主題を控えめにひいて、そこからだんだん盛り上がっていくところ、ここで、第1主題の呼びかけに低音弦がピツィカートで答えるんだけど、ここの低音弦、ほとんど聞こえない。こういうところをきちんと聞かせないといけんのではないかと思う。まあ、ユニークな演奏のひとつとして、まんざら嫌いな演奏ではないけれど、これを聴くなら他のを聴くなぁ…って感じで、いささか残念なのです…。

 

シューベルト 交響曲第3番 

アーノンクール指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

 最近、アーノンクールにハマっています。特に、コンセルトヘボウ管弦楽団との演奏が私にはしっくりと気に入るケースが多いです。ドヴォルザークの交響曲第8番は、私に「アーノンクールってなんかいいんじゃないの?」と思わせた1枚です。アーノンクールの演奏は、やわらかさと激しさが交替するあたりがステキだと思います。

 この全集は、ワーナークラシックスから出てる、序曲なんかも入った4枚組みです(テルデックから出てる値段が高いほうも同じ録音だと思うのですが、きいてないのでわかりません)。なかなかにユニークで、美しい演奏で、よい全集だと思います。全体の印象は、しっとりした、やや暗い色調をベースに、金管楽器などがときどき派手に刺激音を出すって感じです。ただ、金管が突出する場面より、やわらかい部分のほうが、印象に残ります。んー、というか、全集を通して、どことなく悲しい雰囲気を感じるのは、聴いている私の気持ちがなにか関係あるのでしょうか…?そういいつつ、メリハリはよくきいていて、苦手だった第4番の交響曲など、今回初めて、意外にいい曲かも…?と思いました。

 とりあげるのは今回もえこひいきで第3番です。最初の楽章は、序奏から始まりますが、ここはおちついて美しいです。もう少しきいていたいなあ…って感じ。主部の最初のクラリネットは今風のとぼけた音のほうがいいなあ。金管楽器が叫んだりするけど、この明るい楽章をまた、なんともやわらかい表情で、きかせる。第2楽章は、私の大好きな舞曲風のかわいらしい楽章。私のお気に入りのギュンター・ヴァントの演奏だと、ここはほんとうにかわいらしい音楽が鳴ります。アーノンクールの演奏では、最初の出だしがとても柔らかくておそい。この楽章の最初のあの主題をききながら、何かしんみりした気分になってしまう。表情が変わる場面ではクラリネットがふわりと歌って、とてもよい。第3楽章は冒頭から金管が刺激的なアクセントをつける。これも大好きな中間部のオーボエはかなり素朴なうたいっぷり。最初の装飾音符のうたい方なんかもタップリしている。ここ、何かヨーロッパ風の優雅さを感じる場面だなー、と思っていたのだけれど、この演奏ではあまりそういう感じはしない。終楽章、わりとかるめの表情。

 全体に、今まできいてきたシューベルトとはダイブ違った表情を楽譜から引き出しています。個性的に過ぎるので、初めてシューベルトの交響曲をきく、という方にはオススメできませんが。

 

ベートーヴェン 交響曲第6番 

ファイ指揮 ハイデルベルク交響楽団

 たまにはいいですかね。今回はがっかり系。某塔レコードの店頭の煽り文句に惹かれて購入したCDです。交響曲第4番とのカップリング。第4番も古楽系の速いテンポですし、この第6番も速めのテンポです。C.クライバーの第4には度肝を抜かれましたが、古楽器演奏が当たり前になってきた今、このテンポだけでは驚きません。却ってもう、当たり前で、今更遅い第4なんて聴けるかよ!って感じです(といいつつクレンペラー盤の演奏にはひれ伏しちゃいますケド)。
 最初聞いていて、金管なんかが刺激的に鳴るし、こりゃ面白そうだ。と思ったのですが、いくらきいてもなんだか、面白くならないのです。それで終わってしまった。なぜだろう?と思って、もういちど改めて聴いてみました。やっぱりぴんとこない。どうも、目指しているものが何かわからないのです。刺激的な音はしているのだけども、刺激を感じないし、聞いていて気分的にわくわくしたりしない。どうも、それぞれの楽器が、鳴っているのだけど、ひとつの音楽として聞こえないような…。弦楽器が、みんなでぐわっと弾いても、それが、弦楽器の音であって、オーケストラのサウンドって感じがしない。それとやっぱり、ベートーヴェン風の強弱の交代がはっきりしない。なんだか、オーケストラといういきものの存在を感じないのです。オーケストラはかなり刺激的に鳴っているのにツマラナイという、不思議な演奏。
 古楽器系の演奏は、どれもわりと面白くきくことが多いのですが、こういう演奏は初めてです。そのうちこの演奏もよさがわかることがあるのかな?

 ひょっとしてウルサイ系の演奏がダメな体質になってしまったのではないか!?と、とっても不安になって、エンリケ・バティスのベートーヴェンの交響曲全集を引っ張り出して、第6番のうしろの2楽章をきいてみました……。ぶは。やっぱり面白いものは面白いのだ…。

 

ブラームス 交響曲第3番 

アーノンクール指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

 爆社で買った廉価盤です。以前はアーノンクールだいきらい!というイメージを持っていて、長いこと聴かず嫌いだったのです。たしかかなり前にモーツァルトをきいて、そのウルササにびっくりしたせいだと思います。ただ、最近買ったCDの中にはなかなかよいものがあって、それでまた聴き始めています。とくにモダンオーケストラとやったお仕事の中に私好みのものがあるんじゃないかとふんでいるのです。

 この、ブラームスの交響曲第3番は、意表をついた開始から、ふしぎに耳奪われる感じで、久々に面白いブラームスを聴いたぞ。と思ったので、感想としてはまだうまいことまとまっていないのですけど、書いてみようかと思いました。この第3番は、私はちょっとブラームスの交響曲の中では苦手方面です。なぜか、というと、第1楽章第1主題がうるさいから。で、アーノンクール指揮のこの曲、さぞかしウルサイ開始だろうと思っていると、これがさにあらずなのです。もちろん曲自体がウルサイのですが、それでも控えめに出てきます。あまり極端にウルサイという感じではありません。これは、主題の音をわりあい早く減衰させているせいもあるのでしょうか…。そのあとも、あまりうるさくしないように注意しつつ進んでいる感じです。テンポはやや速めで、なんとなく、素朴なアジワイを感じさせる音楽になっています。この第1楽章は、そのウルサさを除けば、意外と木管楽器が活躍する魅力的な主題もでてきたりする、愛らしい音楽なのですね。そういうところがまた、ひきたって、なかなか面白いのです。第2楽章も速め。ここも木管楽器がソロを吹いたりするほのぼの系楽章ですね。ぼそぼその歌い方なんかに、そういった雰囲気がよくでていて、きいていてうれしくなります。第3楽章も旋律がややとぎれとぎれに歌われて、独特のアジワイがあります。終楽章はやっぱり曲の性格上多少燃え上がりますが、やや控えめで、曲自体が小ぶりに感じる気がします。この楽章は、怒りや悲しみの楽章のように私は感じることが多いですが、この演奏だともっと別の何か(それが何かはよくわからないけれど)を感じます。最後の美しい美しいところは、やっぱりボソボソやっていて面白い。不思議な演奏です。これから、引き続き第4番を聞くのですけど、たのしみです。

 それにしても、これがベルリンフィルの演奏だとは、ちょっと思えない演奏ですわ。

 

ラヴェル ダフニスとクロエ第2組曲 他 

パレー指揮 デトロイト交響楽団

 この間(2005年6月)、オーチャードホールへの途中に、渋谷の塔に久しぶりに行ってきました。ここんとこかなりCDを買ってしまったから、しばらくがまんしよー。と思って、それでもまあのぞくくらいは・・・・・・。と寄ってみたところ、(それにとても暑くて野外をウロウロしていたら確実に死んでしまったであろう)ポール・パレーの録音が何枚か、1000円の国内盤ででていたので、「うひょー」と心の中で呟きつつ買ってしまいました。この盤のほかに、ドビュッシーの作品集(デュトワのを買ったばっかり。これもいいんだよねえ)と、あと、サンサーンスの「オルガン付」とフランクの交響曲のカップリングの3枚。あとの2枚はまだ聴いていませんが、とりあえずラヴェルからきいてみました。

 かなり明晰な感じ。そういう行き方だとマルティノンがいて、私はマルティノンのラヴェルはほんとうにラヴェルの演奏としては理想的だと思っているのですけど、この、パレーの盤もいいですねえ。マルティノンのあのクールな雰囲気とはちがって、知的でいながら熱さ、というより、華やかな色彩を感じさせる演奏だと思います。

 「ボレロ」ではマルティノン同様、かなり速めのテンポをとっています。こういうほうがすっきりしてていい。歌いまわしもかなりきっちりしています。ピッコロが出てくるところがもうぶあいそうで面白い。最後のほうでトランペットがかっきり吹いてある意味カッチョ良い。こういう演奏はあまりきいたことがないかも。この次の「スペイン狂詩曲」は、よくきくのですがそんなにいつもマジメに聴かないのでパス。簡単に書いておくと、他の演奏にある艶っぽさみたいなのはなくてやっぱりはっきり系の演奏だと思う。「亡き王女のためのパヴァーヌ」は思ったよりロマンティックで、明晰一辺倒の演奏ではない。当時にしてはいい録音だとは言っても、1960年代初頭の録音で、ややものたりないけれど、これもいい演奏だと思う。

 「ラ・ヴァルス」も、表情付けがかなりはっきりしているので、この曲にありがちなおそろしく退廃的な雰囲気はいまいちない。ただ、申し分ない色彩感にあふれていて、このやり方でいけば十分な名演だと思う。

 「ダフニス」もかなりはっきりした表情づけ。このCD全体にいえるんだけど、ラヴェルというと、あいまいに色彩が移っていくような演奏が多いわけです。しかしこの演奏ではそれよりもむしろ華やかな色彩感を感じる場面が多いです。そしてわりあいきっちりと楷書風に演奏している。しかしそのきっちり感がたいへんな説得力を持っていて、とりわけこの、「ダフニス」ではそれが強く出ている気がします。「夜明け」の弦の旋律の歌わせ方なんか好きですわー。なんだかよくわからないけど感動してしまいました。最後の「全員の踊り」ではハデハデにもりあがるし。合唱があるバージョンのほうが圧倒的にスキなので合唱が入っていないのが残念。

 

シチェドリン 管弦楽のための協奏曲第1番「いたずらなリメリック」 

プレトニョフ指揮 ロシア国立管弦楽団

 シチェドリン編曲のバレー音楽「カルメン」の余白に入っていた曲。ブラシのスネアドラムと、コントラバスのピツィカートに乗っかってフルートがメロディを吹いて始まる。いかがわしげなジャズのフンイキ。ヘンテコなばかさわぎみたいな感じと、そのアヤシゲな感じが交錯する。トランペットが吹き鳴らすサーカスみたいなノーテンキな旋律は耳に残るなあ。弦楽器が旋律をひいて、前半の点描っぽいフンイキが一段落するけど、ウッドブロックがひとしきりリズムを刻むとあとはもう馬鹿騒ぎ。そのままのテンションで最後までなだれ込む。最初から最後までテンション高めの音楽。面白い。

 かんじんの「カルメン」のほうは、私の持ってるほかの、スピヴァコフとか、ロジェストヴェンスキー盤に比べるとちょっとおとなしめか。

ラフマニノフ 交響的舞曲 

スヴェトラーノフ指揮 ソヴィエト国立交響楽団

 1986年のライヴ。これって確かLPで旧盤も持っていて、めためたに歌う演奏だったように記憶しているのですが、これもそんな感じです。第1楽章はかなり速めのテンポでつっぱしる。ときどきちょっと軽いかなと思うこともあったり、金管が不必要にバリバリいう気もするけど、すっきりしていいです。中間部では非常にねっそりと歌って、スヴェトラーノフの本領発揮。弦でもりあがるところなんかもう、思い入れタップリでものすごい。かなり咳の音が気になりますな。後半も速いテンポ。速過ぎて若干軽く感じるところもあるけれど、緊張感がいい感じです。

 こういう演奏なので、第2楽章が面白い。金管が下品な音を出す冒頭から、あの歪んだワルツへ。どことなく、良くない風邪をひいたときの夢みたいな楽章だといつも思うんだけど、そういう感じがより一層強い。テンポはゆらゆらゆれ、メロディは極端な強弱をつけて歌われる。

 第3楽章、やっぱりかなり速めのテンポ。強めのアクセントでガシガシ演奏しています。「怒りの日」のところでは低音弦がバチバチ言っていてかっちょ良い。中間部はやっぱり濃厚に歌っていてモノスゴイ。ラフマニノフと共同のメロメロ作業ですな。後半はやっぱり速めのテンポでさっそうと。金管うるさいなあ。この人たち、熱くなってんだか冷静なんだかよくわからない。

 この曲って、機能的なオーケストラでガシガシ弾きまくったほうがいい演奏になると思うんですけど、こういうふうに歌いまくる演奏って言うのも説得力ありますね。

チャイコフスキー 「くるみ割り人形」より 

ライナー指揮 シカゴ交響楽団

 えーっと、例の、「リビング・ステレオ」のシリーズは続々とSACD化されて値段が高くなっていますね。あんなに古い録音を改めてSACD化してどうなんだろう?とSACDを聴いたことのないワタクシ(前回のプレーヤー買い替えの時には候補にあがったんだけども)は思うわけでございますが。

 で、SACD化にあたって、従来の普通盤を安売りしていたので買ってみました。ギレリスとのチャイコフスキーのピアノ協奏曲が入っていたのでそちらがめあてです。こちらもいい演奏だったのですが、私はこのくるみ割り人形が、いいではないか!と思いました。バレーの伴奏用、というよりは、かなり純音楽的なアプローチ。ライナーだなーって感じのきっぱりとした足取りで演奏しています。そんで、そういう中でふわぁ。っと旋律をゆらしてみたりする。この曲はどことなく夢のような、あるいはどことなく頽廃的なフンイキを感じる曲ですが、ライナーの演奏だとあまりそういう感じはしない。きりっと美しい、それでいてきらびやか。甘さひかえめすっきり味。って感じで、どうもチャイコフスキーのバレー音楽は甘い甘い、ルノアールのココアみたいなやっちゃ(これなんだっけ)みたいに思っている方におすすめかも?この曲の全く別な姿を見られる、とてもよい演奏だと思います。

プーランク バレエ音楽「めじか」より 

マルケヴィッチ指揮 モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団

 スクリベンダムから出てる3枚組箱です。これって実際海外でもこんなに高いのかしら。ずいぶん粗末なケースに入っているんだけど。

 プーランクの「めじか」は好きな曲で、あまり出ていないであろうCDを、目に付いておさいふに余裕のある範囲で買っています。このCDもわりあい安く手に入れた。昔出ていた「コンサートホールソサエティ」っていうレーベルのものを集めたらしいです。音質はそんなに極端に悪くはないんだけど、曲によって音が大きくなるとバリバリと大胆に音割れがして、若干ききにくい。

 マルケヴィッチの「めじか」、大胆によく鳴らしています。金管楽器など、遠慮ナシに鳴る。不必要に歌いこんだりしない、というよりどちらかというとぶっきらぼうな演奏という感じがします。それでそのぶっきらぼうさがまたヘンな魅力を出しているというか。弦楽器をおしのけて出てくる金管楽器や木管楽器の音もちょっととんがっていてこの傾向に拍車をかけている感じ。出てくる男声合唱もごつごつしていてとにかく全体にごつごつしている。イキな感じの曲なんですけども、ごつごつしています。木管楽器の音のまじり具合とかをきくと、これもフランスのエスプリかしらと思うけれどたぶん違う。

ホルスト 組曲「惑星」 

ハンドリー指揮 ロイヤルフィルハーモニー

 Allegriaレーベルの廉価盤。イギリス指揮者によるイギリス曲。「火星」の最初のピチカートがバラバラ言っていてカッコイイ。ロイヤルフィルハーモニーの威勢のいい金管楽器がブリブリ言っていて非常にきもちいいが、ときに鼓膜を直撃する響きもあって、これはフツカヨイの朝にはとても聞きたくない感じ。テンポをあまりいじらず、あまりロマンティックなほうに流れない感じの演奏。最後の楽章の合唱もかなりくっきりときかせている。そのぶん遅い楽章は叙情を求める人にはものたりないかも。遅い楽章はうたいこまず甘さに走らず、着実にきかせていく感じの演奏になっています。イギリスの中堅どころの指揮者ってこういうスタイルの人が多い気がする。「木星」の中間の歌もおおげさにならず、さっぱりと歌っています。

 どことなく朴訥とした感じの演奏で、レヴァイン盤の洗練された感じのいかにも近代的な「惑星」とは違った味わいです。ただ朴訥としているとはいってもオーストラの力量に不満があったりするわけではないので、どちらかというと金管楽器のキラキラする演奏にはなっているわけで、一種独特の味わいがある演奏でした。これもまた「置く煮物」じゃなかった、「お国もの」ってことでしょうか。

スッペ 軽騎兵序曲 ほか Famous Orchestral WorksU
サヴァリッシュ指揮 バイエルン国立歌劇場管弦楽団

 このCDは知らないけど、これのもう一枚は前から持っていました。たしか高いCDだったんですよねえ。おとなしめロシア曲集だった気が。で、このロシア曲集と、この有名管弦楽作品集がしばらく前に新星堂・山野楽器・タワーレコードの共同で出ました。1300円。おかいどく。ロシア曲集もロシアらしい派手さはなかったのですけど、なんだか落ち着いた雰囲気がそれはそれでよろしかったんじゃないの?と思ったので、タワーレコードの店頭でこのCDを試聴してみました。で、「おおー!」と思って迷わず買ってしまいました。

 入っている曲はエロールのザンパ序曲とか、スッペの「詩人と農夫」とか、そういう感じの曲ばかり。で、サヴァリッシュとバイエルン国立歌劇場管弦楽団はこれをわりとシブく、それでいて力強く、手抜きをせずに仕上げています。うたいまわしもなんというか、ドイツ・オーストリアふうといった感じのうたいまわしで、小品とはいえ、オーケストラが美しい響きをきかせたり、かと思うとずっしりしたフォルテシモをきかせたり、堂々とした演奏です。ああこれも「お国もの」なんだなあ。としみじみ納得したりして。これがバイエルン国立歌劇場管の独特の音色で演奏されているので、なんともまあ楽しくもぜいたくなききもの。って感じです。「天国と地獄」の序曲なんか途中で「私は今これ何をきいているところだったかしらん?」なんて思っちゃったずぇ。
また、シャブリエの「スペイン」などでも、フランス風解釈とはひとあじちがった味わいが出ている。
なんだか単純にきいていてささやかにしあわせなレコードでした。

ビゼー 組曲「アルルの女」
マルティノン指揮 シカゴ交響楽団

 タワレコの千円シリーズ。さすがになかなか面白いものがありますな。といいつつこれしか買ってないけど。

 マルティノンらしい明晰な演奏といっていいでしょう。ただ、全体に力強い響きがしているせいか、ちょっと情感に欠けるというか、繊細な表現に欠けるのではないかしらというきらいも。で、テンポは遅め。ゆったり、というより、どっしり、とした感じです。このあたりマルティノンの意図なのか、シカゴ交響楽団の特性なのかわかりにくいところです。(なにしろあのライナーの後の時代ですからねぇ)どっしりしているのだけれど、「ファランドール」でそれまでの演奏スタイルをぶちこわすようなことをやってしまうのが疑問っていうか、ご愛嬌っていうか。

 この曲の演奏では例えば、デュトワのまるでルノアールの絵のような名演があるのですけど、これはその対極にあるような、まるきりイメージの違った演奏です。こういうのもいい。

 よくCDのジャケットに、録音が古いためにノイズがありますよってな注意書きがありますね。これにはそれはなくて、まあわりと音はいいと思うのですが、やはりマスターテープが古いためでしょうか、所々ノイズが入ったり、ファランドールの前にはテープのデータが転写してしまったと思しき音がきこえます。

シューベルト 交響曲第3番
グッドマン指揮 ハノーヴァー・バンド

 こりはブリリアントクラシックの4枚組のうちの1曲です。千円ちょっとで買えるシューベルトの交響曲全集なんてステキやわ。数年前にたぶん買ったのですけど、ひととおり聴いて、そのまましまっていたのです。で、最近なにか忘れたけどきっかけがあって出してきて聴いたら、これって意外にいいんじゃないの?っと結局全集を聴きとおしてしまった(ながら聴きだけど)のでした。

 第3番は私がもう圧倒的に大好きな曲なのでえこひいきして第3番ですけど、ここではかなり速いテンポで演奏しています。わりあい力の入った演奏で、コントラバスの「がり」とかいう音もきかれます。私が愛聴してやまないヴァント盤は「ほのぼの」って感じですが、この演奏はまったく楽しい演奏です。ティンパニのまあるい感じの、そのくせはっきり聞こえる音色もステキです(巧くはない気が)。

 この全集を聴いて、シューベルトの交響曲にはシューベルトにしかない雰囲気が確かにあるなあ。としみじみと感じました。この第3番なども、他の誰にも書けなかった音楽じゃないかと思います。例を挙げると、第3楽章のメヌエット、中間部で鄙びた感じの舞曲がふわっと現れます。ああいう音楽は誰かが書いていそうで、誰も書いてはいないんじゃないでしょうか。

 ちなみに「未完成交響曲」では、「もっとここが美しく鳴れば」とか、「ここの声部がはっきり出てくれば」とか、頭の中でいろんなことを考えてきいてしまいました。ただ、その望みを叶える演奏っていうのは意外とこの世にはないのかもしれんね。この全集、どこで録音したのか、けっこう残響があります。

ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」
クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団

 ORFEOレーヴェルから何枚かクーベリックのライヴが出ています。何枚か持っているのですが、なかなかどれも味わい深いし、それでいて熱い演奏です。クーベリックは生前はこんなに巨匠扱いはされていなかった気がします。レコード時代に聴いたことがあるのはベートーヴェンの交響曲第3番くらいだったかなあ。これはこの曲が苦手な私にもどこかしら颯爽としてきこえたよい演奏だった記憶があります。(曲が苦手だったので中古屋に売った気がする)

 クーベリックのCDがいろいろ出てきて、聞く機会が出てくると、この人、確かに巨匠扱いされるような人じゃなかったかもしれません。演奏はもったいつけたりすることがなく、直截で力強いので、老成した雰囲気を与えないのでしょう。しかし、何かそういうのとは違う味わいを感じるのですねえ。

 この「新世界より」のCD、新世界交響曲にはうるさい私には、実に不満の多いCDです。何がかというと、この実に緻密に書き込まれた交響曲の細部、例えば魅力的な対旋律とか低音の動きとか、そういうのが聞こえないところが物凄く多い。おまけにライヴ盤なので傷もおおい。不揃いになっているところとかかなりある。

 で、ダメなのかというと、ダメじゃないのです。これ、何かそういう緻密さを超えた魅力を持った演奏です。響きとか、微妙なテンポの移り変わりとか、ものすごいキアイの入り方とか、(第4楽章の最後とか!)すごく訴えかけてくるところの多い演奏です。この前に入っている「弦楽セレナーデ」も自然な魅力があると思う。

 このシリーズでは他にドヴォルザークの交響曲第6番や、バルトークの管弦楽の協奏曲などをききましたが、いずれも録音状態その他には不満を覚えながらも、とても気に入っています。

ショスタコーヴィチ 交響曲第5番
バーンスタイン指揮 ニューヨークフィル

 正規のCDで2種類の録音がある、これは古いほうです。東京文化会館じゃないほう。これもサロネンのペールギュントと同じでソニーの廉価盤です。たしか数百円。

 この演奏は昔きいて、なかなか。と思った記憶がありました。その後東京文化会館のライヴ盤を買いました。音はこちらの新盤の方がいいと思います。ただ、音楽の自然な流れ方と言う点では古いほうの録音に軍配が上がると思います。とても自然に歌っていますし、力強い表現も出来ていると思います。とにかくこの演奏では闊達に歌っていて、若き日のバーンスタインの本領を存分に発揮していると思います。

 この演奏で残念なのは録音のせいだと思うのですが音が貧しいってこと。この曲では特にゆったりした部分にさまざまなソロが現れるのですが、そういうのの音色をゆったりと楽しんだり、弦楽器の表情の細かいうつろいを楽しんだり、そういうことをするにはちょっと音が貧しい。演奏もよく言えばはきはきしているのですが、悪く言うと、まあ最後の問題の部分のテンポも含めてですがやや腰の軽い表現になっていやしまいかという気もちょっとしてしまいます。こう感じるのにも貧しい録音が関係しているように思います。

 ただ、この演奏の特色である自由な歌いまわしは、他の演奏になかなかきくことは出来ないものであって、それだけでもこのCDはよいものだと私は思います。

 カップリングにはショスタコーヴィチの交響曲第9番が入っています。こちらもなかなかいいできばえかと。

グリーグ ペール・ギュントの劇音楽
サロネン指揮 オスロ・フィルハーモニー管弦楽団

 グリーグの、「ペール・ギュント」は、たいてい組曲で演奏されますが、私は抜粋盤のほうが好きで、組曲版のCDはほとんど持っていません。(ひょっとすると1枚もないかも)そうして、その抜粋盤のもっともお気に入りは、ネヴィル・マリナーがアカデミー室内管弦楽団を指揮したものです。これは各楽器の表情が豊かで、響きも美しく、音楽もだれることがなく、理想的な演奏だと思っています。

 今回、このCDは新宿の塔。で買いました。ソニーの廉価盤シリーズでななひゃくいくらで売っていました。最初、序曲を聴いて、マリナー盤の魅力にははるかに及ばないのう。と思いました。なんだかもたもたしているようにきこえたのです。ただ、ききすすめていくうちに、これは案外いいんじゃないの?と思えてきました。

 おそらく全曲を網羅しているのではないでしょうか。マリナーのCDにはない、ソルヴェーグの歌のオーケストラのみの演奏なんかがあって、これがずいぶんと暗く悲しい雰囲気で気に入りました。「山の魔王の宮殿」もなかなか迫力ですし、「朝」のゆったりした演奏もなかなかよい。また、「山の魔王の宮殿」とか、「アラビアの踊り」で歌うオスロ・フィルハーモニック・コーラスの歌もとってもいきいきしていて楽しいものです。全体を通して、ところどころもう少しだけ丁寧にしあげてくれれば・・・・・・。と思った箇所がないではないのですが、全体的にはかなり高い水準の演奏だといっていいと思います。「ペールギュント」を組曲でしかきいたことのないけれど、気に入っているという方は、値段も安いことですし、聴いてみてはいかがでしょうか。

ブルックナー 交響曲第7番
スクロヴァチェフスキ指揮 ザーリュブリュッケン放送交響楽団
コンヴィチュニー指揮 ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団
ダヴァロス指揮 フィルハーモニア管弦楽団
+朝比奈隆指揮 東京都交響楽団
 ヨッフム指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
 ザンデルリンク 南西ドイツ放送交響楽団

 なんで並べとんねんということですけど、これが持っているすべてです。すこし海外の伝統的なオケをきいていみたい。と思っているところに、ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団が来るということなので、おまけにチケットもお手ごろな価格なので(←ダメな日本語だけど便利な書き方ナリ。)きいてみよう。と思ったのです。で、プログラムがメンデルスゾーンの「イタリア」と、ブルックナーの第7番。イタリアはクラシック聞き始めのころに出会ったなじみ深い曲なので、問題ないのですけど、ブルックナー第7番。しらんがな。っていうか少しは知ってるんですけど、予習していかないとヤバいじゃん。ってことで、チケット購入後、少しだけCDを買ってみました。(みんな安いCDですが。)ダヴァロスのはその前から持っていたのかも。

 ダヴァロス盤とスクロヴァ盤は第2楽章でシンバルが鳴ります。スクロヴァのほうが地味ななり方ですね。よくわからない私にはどれもいい演奏に聞こえます。ダヴァロス盤はテンポが比較的すっきりしている印象。第3楽章はとても速いですね。この人のCDはブラームスの第2・第3、フランクとショーソンの交響曲、ワーグナーの管弦楽曲、スメタナのわが祖国などを持っています。ブラームスもフランクもそうですが、渋さというか、深い暗さというか、そういうものがあまりきこえてこない人のように思います。あ、あとシューベルトのハ長調の大交響曲も持ってた。これが一番特徴的な演奏だったんだ。あの、第2楽章の寂寥感とかがないんですね。不思議だー。といいつつ聴いてしまう指揮者なのです。この演奏にもそういうのがあるかも。イギリスブラスの響きも明るい。

 コンヴィチュニー盤はシブい演奏です。ドイツ風などっしりした低音の響き。味わい深い。ダヴァロス盤もそうですが、よくわからないところでテンポが変わる。そういえば手持ちのスコア(音楽の友社版。ノヴァーク版)にも、括弧書きになっているとはいえ、「マジでここでテンポ変えていいの?」ってところにテンポ表示がありますな。いい演奏だと思うんだけど、コンヴィチュニー盤は録音がもう古いせいか、音量をあげるとホルンのフォルテが頭にグリグリ響いてなんかちょっとそれはいやだ。

 ダヴァロス盤、コンヴィチュニー盤のいちばんの弱点は、録音のせいでしょうか、とくに低音の対旋律がよくききとれなかったり、あるいはコンヴィチュニー盤だと低音がずっしり出て来すぎてうっとおしい。第1楽章第2主題とか、やりすぎだろう?と思っちゃう。たぶん実際の演奏ではそうは思わなかったと思う。低音が強調される上に、録音でモヤーっとするので、モヤーっとしたものが湧いてくる感じで。これはかなしい。対位法の知識なんてないに等しい私が言うのもなんだけど、ブルックナーはかなり対位法を駆使しているのですから、この人の曲はなるべくいい録音で聴くのがまず大事かなあと思いますです。

 スクロヴァチェフスキ盤はこの点はクリアしています。この演奏はとにかくゆったりしたテンポ。この曲はある程度の躍動感が求められる部分もあると思うのですが、比較的重厚な雰囲気で説得力のある演奏をして切り抜けている。第1楽章の最初の主題提示もゆっくりで、曲を知らないと主題の全貌をつかむのが大変じゃないかしら。ゆったりした美しい演奏ですな。スクロヴァってもっとギチギチした演奏をする人のようなイメージがあったんだけれどなぜだろう。最近幅を利かせてきた某大学助教授(だっけ?)の評論のせいかも。この演奏はなかなか全体にいいとおもいます。値段も含めて。この人でも、第8・第9も持ってた気がするんだけどどういう演奏だったか記憶にないなあ。もういちどききなおしてみよう。全体にこの演奏はとても好きです。

 ―――このあと、2つほど聴いたのでその感想も。上にくらべて、少しわかってきてから書いたぶん、からい感想になっているかも。

 まずは朝比奈隆/東京都交響楽団によるもの。録音状態に関しては不満のないところです。ただオーケストラの音にもっと豊かさが欲しい。第1楽章第1主題の提示からしてゾゾッとくるものがないのです。そこまで求めては酷か・・・・・・。非常によくテンポが動く。そこに説得力がないかといえばそれはあるんだけれど、逆にそれが音楽の流れを短いものにしてしまってはいないだろうかという気もするのです。第2楽章のテンポの遅さも、実際演奏会できく分にはシアワセな瞬間であったろうと思いますが、すっきりめが好きな私には少し重いように感じました。好みの問題でしょうけれど・・・・・・。あと、弱音の扱いというか、十分に音量を落としきれていないために音楽がメリハリに欠ける部分があるように思います。

 次はヨッフム/ベルリンフィルによるもの。これはなかなかにやはりオーケストラの音が美しい。第1楽章では展開部のテンポが遅くて、ここはもうちょっと速いほうが私は好き。第2楽章のテンポはほどほどにすっきりしていていいですね。第2主題の歌わせ方はさすがヨッフムという感じの堂にいったもの。第3、4楽章もすっきりしたテンポでよいんだけど、4楽章の金管のものすごいところ、テンポを遅くしないほうが好みだなあ。全体にさすがにブルックナーをとくいにしていたヨッフムだけあるなあ。と思う演奏なんだけども、ベルリンフィルの金管がとにかく音がデカイ。うちである程度の音量で聴いていると床が震えます。ちょっとうるさすぎ!と思うこともないではない。

 スケルツォの中間部をほんとうに鄙びた舞曲風に演奏しているのとか、第4楽章の金管のコラールで泣かせる演奏がないかしらん。

 ザンデルリンク盤を追加です。解釈としては朝比奈盤にちょっと似ている。朝比奈盤ほどではないけれど、たっぷりと歌っています。テンポもかなりゆっくりめ。ただ、オーケストラはときどき「ごそ」といった感じの音は出すものの全体には豊かに響いているあたりが決定的に違うところかなぁ。弱音も、深い弱音が出ていてメリハリが利いている。伴奏の表情付けなどもとても細かいです。第2楽章は沈み込んでいくようなおそさ。どっぷりつかって聴く、という感じです。第2主題(?)もゆったり。それこそ腰を据えてきかないと・・・・・・。第3楽章以降もゆったりしたテンポで、通常軽くなりがちな後半2楽章もききごたえがあります。第4楽章の表情のうつりかわりは鳥肌がたちそうな。これもすばらしい演奏です。そういえばこのCD、初めて発売されたときに買ったのです。このCDの初期プレスは不良品の山で、私もそれにあたり、返しに行きました。タワーレコードの店員さんに差し出したところ、「あーこれですかぁ」と確認もされずに返金されたように記憶しています。交換もできなかったほど不良盤が多かったのでしょうねぇ。そのときは確か数百円で売っていました。しばらくして再び店頭に並び始めた時には2千円を超える価格がついていたっけ。どういうことだ!

ボロディン 交響曲第2番
K・クライバー指揮 シュトゥットガルト放送交響楽団

 カルロス・クライバーがこの曲を録音して(?)いると知ったときは驚いたものです。わりとドイツ・オーストリア系の作品しかやらないイメージがあったのにこんなロシアのしかもマイナーな曲を録音していたとは。正規に出ていたのかどうかわかりませんけど。

 でまあ、しばらく前にこれを手に入れていたのですよ。ので最近出た親子盤とは別のです。カップリングにはウイーンフィルとやったモーツァルトの33番の交響曲(モノラル)が入っています。怪しい。

 演奏はクライバーらしくとても速い。第2楽章のテンポはどうしても安全運転になってしまうのでこのクライバー盤のスピードは好感が持てます。こういう速いテンポでやってるのはあとバティス盤くらいだと思う。(マルティノンもやってるかもしれない)第1楽章はちょっとせかせかしすぎかなっとも思いますが、展開部の迫力などとてもいいですね。第3楽章は丁寧にやっているがいきなり冒頭でホルンが吹きなおしているのがご愛嬌。っていうかびっくりしただろうなあ。このあとのホルンとかをきくと、かなり自由な歌を歌っていますね。ここはナマできけたらさぞかしよかったろう。第4楽章もすごいテンポで駆け抜ける。アンサンブルとかあやしいけどしかたないでしょうね。この曲の第4楽章にはこういう爆発するようなエネルギーが絶対に必要だと思う。なんかすごいところでタメを作ったりして面白いなあ。

 文句なしにいい演奏。1970年代の録音なんだけど、たぶん正規のものじゃないために音質がはっきりしなくて、細部が見えにくいのが本当に残念。これは会場にいたら大興奮だっただろうなあ。

ビゼー アルルの女 から
ホグウッド指揮 バーゼル室内管弦楽団

 「ARTE NOVA」レーベルのホグウッド指揮によるちょっと変わった小編成オケ用の作品の一連の録音の新譜。(なんちゅう日本語だ) このほかにR・シュトラウスの「町人貴族」が入っています。

 「町人貴族」のほうは昔だれかの演奏をエアチェックしたものを少しきいていただけで、よくわからないのでパス。そもそも作品番号から調べるまでなんていう曲が一緒に入ってるかわからなかったし。
 「アルルの女」はワタクシの最近のお気に入りの曲のひとつです。ここに収録されているのは有名な組曲ではありません。「アルルの女」は、本来小さな劇場での上演の劇音楽用に作曲された作品で、最初の編成はごく小さいもので、その版で演奏されています。
 小編成ではあるけれど、かなり硬質な演奏。組曲版ではレガート気味に演奏される部分が「ぶつ、ぶつ」と途切れて演奏されたりします。これは刺激的で面白いです。また、小編成ゆえの鄙びた風情が、曲の雰囲気にうまく合っている部分がかなりきかれます。楽器編成も組曲版と当然変わっているし、そういうききくらべも面白いですが、純粋に演奏としてきくにも十分満足のいくデキだと思います。めちゃめちゃ安いCDなので、「アルルの女」を好んで聞く人はぜひどうぞ。この曲、プレートルが抜粋版を録音していますが、あれよりさっぱりしていてききやすいです。(曲数が少ないのもあるけれど)プレートル盤は私はちょっとくどい。という印象を持ちました。

 もともと原曲では「ファランドール」の部分は組曲版よりさっぱりしてはいるのですが、この演奏の乾いたファランドールは、劇の内容を思うと、ちょっとコワイ。

ベートーヴェン 交響曲全集
コンヴィチュニー指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

 ベートーヴェンの交響曲のCDを、なぜだかここのところずいぶん買ってしまって、続けてきいていて、なんだか食傷気味。クレンペラーの指揮した、交響曲第4・第5(バイエルン放送響)は、どちらも悪くないんだけれど、スタジオ録音で持っているならそれでいい。って感じ。スタジオ盤のほうが安定感があるように思う。
 あとは、チェリビダッケの指揮した第7番・第8番のCD。チェリの第7は昔、海賊盤かなんかで持っていて、それはけっこういい演奏だと思ったんだが。今回買ったのはEMIの。これはなんだか、遅さが音楽の豊かさと結びついているかどうかちょっと疑問。ただ、第7の後半楽章とかはソコソコだった。
 コンヴィチュニーのは旅行先で買ってしまった。第9はすでに単品で持っていたが、たぶん同じ音源だろう。レコードから落としたものだろうか。ときどきレコードっぽい雑音が混じる。(といってもそれほどひどい音質ではないが)演奏はもっとロマンティックなものかと思っていたんだけれどそうでもない。奇をてらったりすることのない、中庸で骨太な演奏で、弦に重ねられた金管などが前面に出てくる。ドイツ的音作りってのはこんな感じなのだろうか?単独で聞く分にはかなりレヴェルの高い全集だと思う。続けて聴くと疲れるけれど。
 第5番と第9番のデキがとりわけいいと思った。第7は終楽章のテンポの速さにびっくり。ただまあじっさい、ソコソコとはいえ、聴かせるベートーヴェンの全集を作るというのは、相当のウデマエもなければできるこっちゃないですわな。
 まだ、ペーター・マークの指揮した第7・第8のCDがきかずに置いてあるのだ。マークのベートーヴェンは第5・第6がかなりよかったので期待大だが、そうそうベートーヴェンを続けて聞くのは疲れるのであとまわし。

ヴィヴァルディ 「和声とインヴェンションの試み」から協奏曲集「四季」
フランダース・リコーダー・カルテット

 たてぶえというのはみなさん小学校の授業で必ずと言っていいほど吹いたことがあると思います。私はそれが好きだったかどうだか思い出せないけれど、ゆびづかいをなんとなくおぼえていることからして、好きだったのかもしれません。(メロディオンは鍵盤に「ド」とか書いて演奏したおぼえがある。) 
 でもクラシックにはリコーダーの名演奏家としてミカラ・ペトリとか今では指揮者として有名になってしまった、志茂田カゲキみたいな顔のフランス・ブリュッヘンとかもいて、リコーダーというものはそんなあまいもんじゃないよってことをワタシらにひし、ひしと教えてくれるのでありました。
 いま私の手元には、これは!っていう「四季」のCDがないのです。この曲、なにかほどほどいいものが1枚あれば、深く追求してあれこれCDを買うような曲ではないと思っているのですけんど、この「5本のリコーダー版」というのが面白そうだったし、バークシャーで安かったので買ってみました。なぜにカルテットなのに5本なのかと思ったら持ち替えてるんですね。)
 でまあ、あんまり考えずに買ったんだけれど、きいてびっくり。この曲の難易度ってのはちょっとワタクシにはわからないんだけれど、やれっていわれてもできん!なんだかラフにやってるんだかマジメにやってるんだかわからないような感じでバンバン吹いているのよ。たとえば1曲目の途中に32部音符でいっせいにゴリゴリやるところがあるでしょう。あれをものずごい勢いで吹いてしまっている。そのほかにもこの曲の、独奏ヴァイオリンのパートのパッセージをピロピロ吹くので面白い。なんだかその一方で、「春」の3曲目では強烈な音程のずり下げをやってみせたりするのでなんだか、冗談なんだか本気なんだかわからない。
 わりとリコーダーのさっぱりした音色もきもちよくて、いままで買った「四季」のなかでわりときいたほうのCDに、早くも入ってしまったかも。本当はそういう理由より、「このへんな感じは何なんだろう」と思いながらくりかえしきいてしまった。というほうがほんとうかもしれないけれど。

ムソルグスキー 禿山の一夜
ライナー指揮 シカゴ交響楽団

 ぶっとぶわコレ。いきなりモノスゴイテンポで始まったかと思うと、ライナー/シカゴ交響楽団のあの強烈なブラスがテーマを吹き鳴らす。凄い迫力。まあこういう系列の演奏がこの曲にはあるんだけれど、例えばチェクナボリアンの演奏なんか、何も考えずにブカブカ鳴らしてる感じで、「うるさいっ!」と言ってしまう余裕があるんだけれど、このライナーの演奏にはただ圧倒される。細かいニュアンスはききとれない部分があるとはいえ、すごいテンポで一糸乱れずに激走するさまは、なんだか暴れ馬かなんかが、何物にも邪魔されず突進するような、ものすごい迫力がある。
 ライナーは、ミスター・メトロノームとワルクチを言われるくらい厳格な演奏が特徴だけれど、この演奏は「禿山の一夜」のような小品にまでライナーとシカゴ響が全力を出し切った成果ではないかと思う。ワタシはこの演奏を聴いて、アメリカにおけるクラシック演奏の歴史についてまで思いを馳せてしまった。シカゴ響のあの響きは、ドイツ・オーストリア系のオケのあの重厚な音から来ているんじゃないかとか。思えば、戦後アメリカのオケはヨーロッパの優れた指揮者によってバリバリ鍛えられてきたわけだしなあ。とかそんなこと。ライナーの音が「アメリカ的」なのか?ワタシにはそうは思えないなあ。
 この「禿山の一夜」最後になってまたいちだんとテンポをあおりまくり、その様子はなんだか鬼気迫るものがあります。ゆっくりになって、ソロの楽器があらわれますが、ここはびっくりするほどおちゃめに歌っています。今までがあまりにおそろしかっただけにこれはとても効果的だと思います。しかし...なんという演奏だろう!(ここだけ吉田秀和ふう)

ショスタコーヴィチ 交響曲第5番
マッケラス指揮 ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団

 しばらく前にマッケラスのベートーヴェン交響曲全集を買ってみたのですよ。速い・安い・ウマイの三拍子でなかなか良かったんですねこれが。それでマッケラスのCDをボチボチと買っているのです最近。
 マッケラスはイギリスのオケをおもに振っている感じで、そのしごとぶりはあまり思い入れをこめたりせずにひたすら楽譜に書いてある音を鳴らす。って感じのように思います。で、イギリスのオケの芸風(?)とあいまってナカナカクールなスッキリした音楽をやっているのですけんども、そういった中で、このショスタコーヴィチのCDはもう、すごいです。はなぢとかなんとか言いません。びびった。
 やはり思い入れはあまり感じないです。ただ楽譜をパワフルに鳴らしきっています。たとえばあの第3楽章、ワタシにはバティス盤よりもっとドライに感じます。抑圧とか恐怖とかなんとかういうものは感じない。第4楽章ラストの「強制された歓喜」とか、知らんもんね。って感じ。ひたすらただ華やかに金管が鳴り響く。もりあがってもりあがって、さすがにもう盛りあがらねえだろ。と思っているとさらに盛り上る。第1楽章のマーチとかも、手加減なしでがんがん鳴らすし、第4楽章の主題なんかも金管がブリブリとイギリスブラスの底力思い知れっ!とばかりに鳴らす。もうね、ショスタコのこう、深い意味がどうのこうの、という以前にこれはもう快感です。豪快に鳴らして何が悪い!何も悪くありませんすいませんすいませんどうぞそのまま続けて下さいうっひー。とやや錯乱気味になってしまう。この曲は第1楽章の低音ピアノの「ガガガン!」ってとことか、第2楽章冒頭の低音弦とか、鳴るとキモチヨイところがたくさんあるんだけれど、こういうところがことごとくこれでもかっ!とばかりによく鳴るのです。へぇええ。ぶちのめされました。今この曲のベストを挙げろといえば迷わずこれを挙げます。
 アレグリアとかいうアヤシゲなレーベルから出ていて、この交響曲の前に、「よくそんなテンポでやりますな」と突っ込みたくなるようなスピード違反気味の「祝典序曲」が入っています。

ブルックナー 交響曲第4番
フェドセーエフ指揮 ウイーン交響楽団

 ブルックナーの熱心な聴き手ではないことをまずおことわりしておきます。曲によっては楽章を入れかえられても気がつかない可能性さえある気が。そんでまた、この第4は第1楽章の例のブルックナーリズムがくどい!って気がしてどうも苦手な曲なのです。だいたいフェドセーエフのブルックナーなんて買ってる時点でよほどコアなファンかよほどただ単にヘンなものを聴きたいかのどっちかだとしか思えますまい?(どっちかは明白。)
 でまあ聴いてみると冒頭のホルン。なんかちがうど!やっぱりヘンなものを買ったかな?と思ったら、これが意外によいのです。全体にこぶしひとつかふたつぶん、あるいは小さじ1杯分ほど速めのテンポで(どんなテンポだよ)さっぱりとやっているのもキモチイイし、またフォルテの時の音のバランスもうるさくならない感じでよいです。(きちんと迫力もある)ブルックナーというとゆっくりしたテンポで森林浴をするように聴くような感覚がありますが、こういうさっぱりしたブルックナーもよいなあ。(でもゆっくりしたのに慣れた人にはせかせかしてきこえるかな?。)また、ときどきものすごくすっきりした美しい響きが聞こえる(とくにホルン)のが魅力的です。この演奏の良さはオーケストラの音にもよるところがかなり大きいんじゃないかと思います。アジワイ深い。
 難点をいえば、ライヴのせいか、音が小さくなったときのアジワイが欠けることがある点、たとえば、第2楽章冒頭など、ワタシは雨の森を歩くような感覚で聞くことがおおいのですが、ここではイマイチそういう感じがしない。あと、やはりライヴのせいか咳の音がすごくうるさい。ライヴ盤でもこういうの気にならない盤がだいたいだと思うのですが、これはもうかなりあちらこちらでゴホゴホやっていて、まるで会場にいるようなリアル感覚(違うだろ!)
これはスタジオ録音で聴きたいところだなぁ。あるいはほんとにライヴで。

チャイコフスキー 交響曲第6番
ムラヴィンスキー指揮 レニングラードフィルハーモニー

 これはあの、有名な黄色い「どいっちぇ・ぐらもほん」のヤツではありません。エラートから出てる1982年のライヴ盤です。グラモフォンのはずーっと以前にレコードで持っていたのですが、当時ありがたみがわからなかったとみえて(現在聴きかえすチャンスもないのでいまだにわからない)中古屋にうっぱらったらしいです。でまあ、もういちどききかえそう、どうせなら新しい録音のを...と買ったものですが、な、なんじゃこりゃあ?

 エラートのデジタル録音ですが録音はあまりよいとはいえません。レニングラードフィルの音が予想以上にデカかったらしく、フォルテッシモのところなんか割れまくってます。
で、そんな割れてしまうくらいめちゃめちゃに力の入った渾身の演奏です。なぜだか弦の音もかなりキンキンする部分が多いですし、アンサンブルにも若干(?)の乱れが。第1楽章の展開部、金管楽器のこれでもかーーーーーーーー!っという強奏は脳髄にキリキリと突き刺さるようです。最後の方でもえぐえぐいクレッシェンドなどがあり、まったく必死です。ぐあいのわるいときにきくと悪化すること間違いなし。曲中に聞こえるゴホゴホ咳の音がそれを助長する。具合のいいときにきいてもなにかしらの不安をおぼえることでしょう。
 第2楽章はまあああいう楽章なのですが、ムラヴィンスキーには「ロマンティックに聴かせてやろう。」とか、「美しいサウンドでメロメロにしたろ。」とかいう気持ちはなかったようです。
 第3楽章も。予想通りの部分で予想通りにウルサイ。逆に弱い音の部分の叙情が感じられない。単に録音レヴェルが高いだけかな?最後のあたりがまた割れています。特にやっぱり金管がものすごくて、たぶん弱い宇宙人とかならこの音で死んじゃうかもくらいの殺人音波っぷり。さすがソ連。開発するものがチガウ。(オイ
 第4楽章は速めのテンポだがしみじみはじまる。偉い。で、弦の歌に金管がグリグリ入ってくる。終末間際になっていきなり入る嘆き節も妙...
 とにかく全体にいっちゃってる金管が事件です。第1楽章なんか笑っていいんだか愕然としていいんだか。
 トンデモ盤としておスキなかたにはたまらない1枚です。とりあえず殺人音波に注意。

モーツァルト 交響曲第40番・41番
ジョルダン指揮 オルケストラ・アンサンブル・ド・パリ

 ジョルダンのモーツァルトはすでに交響曲第34番と36番を持っていて、けっこう気に入っていました。他の番号のもあるはずだ!と思っていたのですが、なかなか見つかりませんでした。エラートの廉価盤の主力はコープマンになっちゃったのかな?
で、某所で見つけたので買いました。エラートの昔からの廉価盤のシリーズ「盆栽ヌーボー」の中の1枚。なんというレーヴェル名!(ジャケットも盆栽の写真。)
 そーしてきいてみたのですが、やはりフシギな良さがありますわ。ジョルダンとこのオケのモーツァルト。アクの抜けた、品のよい演奏って感じ。金持ちケンカせずって感じ。ウソ。思いついたので書いてみただけ。でもしばらく前の主流だった(?)ベートーヴェンのような骨太さもなければ今の古楽器系のような主張の強さもない。おフランス風午後のヒトトキ。って感じのさらさら感。第40番でさえ悲劇的な感じはなく、ほのかな明るさを感じるように思います。

レスピーギ ローマ3部作
スヴェトラーノフ指揮 ソビエト国立交響楽団

 バティスのローマ3部作をきいたので、ひとつこれもきいてみよう、と、久しぶりにスヴェトラーノフ盤を出してきてきいてみました。以前とものすごく違う印象を受けてびっくり。(メロディア盤です。念のため。)
 ひとつは、録音悪いんだな、と思っていたんだけれど、そうなのかどうか...わりあい弦はちゃんときこえてる気がするのです。そうすっとあの金管は...実際にあんなトンデモな音を出しているとは思えないのだけれど...?マイクの位置かなんかの関係だろうか...?
 ローマ3部作でナニが一番好きかといわれると、祭、で、このCDも実はその辺目当てで買ったワケです。しかし、今回聴いて、この演奏ではむしろ、「噴水」や、「松」にききどころがあることに気がつきました。
 最初に入っているのは、「噴水」で、その始めの曲(ジュリアの谷の噴水)の歌いかたがほんとにすげい。これでもかっつーくらい歌いこんでいてもうスヴェトラーノフの本領発揮って感じです。「松」もそう。ある意味ものつごい金管の音に耳をうばわれがちなのですが、この演奏のききどころは案外こういう「歌」(カンタービレ、というのとはちょっと違うんだろうね)にあるのかもな。と思ったのでした。しかしね、「アッピア街道の松」の最後はすごいね。オーケストラの大咆哮がひきのばされる。
 音がいいとはとてもいえないのですが、おそらく凄い演奏だったのでしょうねー。観客のブラボーの声がすごい。

チャイコフスキー 交響曲第6番
バーンスタイン指揮 ニューヨークフィルハーモニー

 グラモフォンレーベルからいかにも安っぽい2枚組の廉価盤で出ている。バーンスタインをもっと聴いてみたい、と思っていたので買ってみた。ロストロポーヴィチのくるみ割り人形組曲、バーンスタインのチャイ5、ロミオとジュリエットが一緒に入っていてなかなかおかいどく。
しかーっし!!!!
 そんな安っぽいCD(見た目も。)に入っていると侮るなかれ。この「悲愴」は凄すぎる。
チャイコフスキーはロシア系作曲家の中ではヨーロッパ臭いといわれているからばかりではないかもしれないけれど、あっさりした演奏が良いように思う。珍しくワタシの気に入っている演奏がカラヤン盤だったりするからね。
だがっ!
 この「悲愴」はひとことでいうとそりゃあもう、ネトネト。すんごい遅さ。序奏からして尋常ではない。それぞれの楽器が語り、呟き、嘆く。チェロの歌のものすごいこと。
主部に入ってもゾっとするような響きがところどころきかれる。第2主題も美しく歌い上げるというよりどことなくなにか遠い喪失のようなものを感じさせる。もっとももりあがるところ、テンポを思いきり落とし、強烈な嘆きを聴かせる。これはしかしただ単に「嘆き」といったものを越えているように思う。ゆさぶられる。
 第2、第3楽章ももちろん尋常でない音楽なのだが、やはり第4楽章がもう...。
 最初の悲しげなメロディよりむしろあとで出てくる慰めるような旋律が、これはもう、説明のしようがない。どうしてこんな音楽を奏でられるのか?という世界。尋常でないゆっくりしたテンポで尋常でない音楽を作り出している。そうして最後、コントラバスの有名な終わりの部分、ひたすら闇にきえていくようにものすごい弱音で消えていく...。ナマで聴いたらたぶんたっぷり1分は凍りつくんじゃないかな。(スピーカーの前で凍り付きました...。)

とにかくここにあるのは尋常でない音楽だと思う。こんな音楽を演奏する人がいるということに驚く。バーンスタインという指揮者はやはり凄いね。2枚組でやすいとこだと1500円以下でかえるのでぜひおためしを。チャイ5も同様でいいです。ただこういう音楽はいつもいうけど繰り返し聴けない。まいってしまうからね。

ベートーヴェン ピアノソナタ集
ウィルヘルム・バックバウス

 実は室内楽がニガテなワタシなのですが、ときにはそういうものも聴かないわけではないのです。
 バックハウスはベートーヴェン弾きとして有名ですが、いままでははずかしーことにコンチェルトしか聴いたことがありませんでした。最近ベートーヴェンのピアノソナタとかヴァイオリンソナタを聴きたくなって、CDをぶっしょくしていたところ、新宿タワーで2枚組みでとっても安く(1000円前後)売っていたので買ってみました。
 はっきしいってピアノの録音は音が悪いと聴く気になれなくて、これまでおくらいりになったものもソコソコあります。この演奏も録音は50年代から60年代で、はたしてだいじょうぶかしらと思いましたが意外にだいじょうぶでした。バックハウスはよくケンプと(独奏ではこの人も聴いたことがない)比較されて無骨だと言われるようですが、比較対象のケンプの演奏を知らないワタシにはよくわかりませんでした。確かにタッチは硬質な感じですが、微妙なテンポの揺れなどは非常にみごとなものだし、いちがいにこれを無骨だとか冷たいとかいえるであろーか?という疑問を持ってしまうのでした。また、この訥々とした感じの音楽が、たいへんたくさんのことを語っているようにも思われるのです。ワタシはたいへん気に入りました。
しっかし!思ったのですがベートーヴェンって人はロマンティストなんですねきっと。このCDに入っているのは「月光」「悲愴」「熱情」「別れ」「田園」「テンペスト」「ワルトシュタイン」などの題名つきのものたちです。これらの曲をきいたのはずいぶん久しぶりですが、なんという美しい旋律にあふれているのか!と思ってしまいました。(たとえば、「悲愴」の緩徐楽章のあの旋律...)交響曲のベートーヴェンと比べると別の人のようです。ここしばらくブルックナーとかマーラーとか、デカイ音のする曲ばっかり聴いていたので、かえってとても新鮮にきいてしまいました。

チャイコフスキー 交響曲第4・第5番他
フエンテ指揮 
オルケスタ・シンフォニカ・デ・ミネリア
オルケスタ・シンフォニカ・デ・ハラパ

 バティスとおんなじメキシコの指揮者であるフエンテのCDを買ってみた。最初に買ったのはショスタコーヴィチの交響曲第5番。ヴァイオリンのソロが凄い音(別の意味で。)であるのと、とんでもない休止をはさむのでビビッた。金管楽器もそこいらじゅう音をはずしまくりで、ひどい演奏だったのだけれど面白かったので、いったいこのしとはどういうしとなのか?と新たにCDを買いこんでみたわけです。長いな前置きが。
 この、フエンテって人、チェリビダッケとシェルヘンに師事したというフシギな経歴。(他にもこういう人いた気がするんだけど思い出せない。)メキシコのフルトヴェングラーとか言われているらしい。アヤシイ。
 で、チャイコ。ゆったりめのテンポと重心の低い響きの濃いい演奏。えぐるようなアクセントがつく。(チャイ5の前に入っている「ロメオとジュリエット」の強烈なこと!)こういう演奏をする人は...と考えてフルトヴェングラーは出てこないようにも思うけれど、チャイ5の途中でマイスタージンガー序曲につながっても違和感が無いような気はする。第5番第1楽章第2主題のうたいっぷりにはメマイがしそうだし、第2楽章の金管が強く鳴らされるところ、あそこは怒りとか不安を感じさせられるところで、確かに金管は申し分なく鳴るんだけど、その音響の中に不安や怒りは感じないのがフシギ。第4楽章でもティンパニが爆裂。この曲の編成にバスドラムがあったか?と思わず確認してしまった。
 これもオケはウマイとはいえないがとにかく全体にちょっと今時聴かれないカンタービレで面白い。バティスの来日インタビューで音楽に対して意外な純粋さを持っていることにおどろいたんだけども、この人にもそういう純粋さがあるのではないかと思う。メジャーなオケでは聴けないようなアジワイがある。ゆったりめのチャイコなんか聴けるかよ!と、バティスを聴いたあとには思ったけれど、まったりと聴いてしまった。当然CDがそれほど出ているとは思えないけれど、この人のマーラーとかワーグナーなど、聴いてみたいなぁ。

 この人のCDには、カルミナ・ブラーナとか、ガーシュインの作品集とかのライヴ盤があります。演奏はまあ・・・(カルミナの途中で爆笑ものの「こぶし」が利いてるところアリ。)ユニークといえばユニークなんですが、聴衆の拍手とブラボーの大合唱がすごい。あれを聞くと日本でのフライングブラボーなんてかわいいものです。最後の音が鳴っているのに嵐のような拍手。ブラボーも少なくとも10人以上が競うように叫んでいるな・・・・・・。

バーバー バイオリン協奏曲
オルソップ指揮 ロイヤルスコティッシュナショナル管弦楽団
(Vn バスウェル)

 NAXOSから出ているCD。オルソップもバスウェルもきいたこともない人なんだけれども、どっかでいい演奏をしていると言っているのをきいたので買ってみた。オケがあのスコティッシュ・ナショナル管というのもあったな。
 全体的にはソコソコいい線を行っていると思う。ただ、どんな曲かなーっと聴いてみるにはどうかなぁ?オケのパートもよくきこえてはくるんだけれど、録音のせいなのか、演奏のせいなのか、ちょっとオケの各楽器の表情が乏しく、平板な感じがする。特に木管楽器など、独奏っぽい動きのとき、どうもその楽器の色彩感に欠ける気がする。第2楽章のあのオーボエの独奏ですらもにゃ〜っとした感じで...。ヤルヴィが骨太系でやってるオケとは別物のような印象。第3楽章のオーケストラ・ヒットも軽めかな。きれいめな演奏で、よいんだけれど、この曲のオケパートはけっこう面白いので、そこのところがもっと聴きたいゾ。という要求にイマイチお答えいただけないのが残念。ただ、ダメとはいいきれないところ。ソコソコ。

R・コルサコフ 交響組曲「シェエラザード」
ゲルギエフ指揮 キーロフ歌劇場管弦楽団

 ゲルギエフという指揮者にはどうもあまりよい印象がない。初めて買ったチャイコフスキーの交響曲第5番のCDがどうも体質に合わなかったので、あまりゲルギエフのCDを買わないから。という理由もあると思うけれど...。
 そもそもこの曲のCDを買うってこと自体あまり気が進むことではないんだけれど、試聴してみてこれは買ったほうがよいなっ!と反射的に思った。冒頭の激しい響き、第3楽章のロマンティック(すぎる、とつけてもよさそう)な表情、第4楽章のハデさなんかをつまみ聴きしたら、いいじゃん!と思ってしまったのです。
帰って通して聴いてみましたが、今まで買った(数少ないけれど)ゲルギエフのCDの中では一番良いかも。曲の土臭さや表情の濃さがうまくゲルギエフの音楽と合っている感じ。ところどころあまりに濃く味付けをしているのでフレーズの距離感がブツ切れに感じるところはあるけれど、曲の性格がそれを感じさせない。手兵のオケってこともあるのだろうか、かなり隅々まで表情づけがされている。
 とにかくウルサイけれど、第3楽章のものすごい歌や第4楽章のもりあがるところの激しい表現など、ききどころはたいへん多い。キーロフ歌劇場のオケもなかなかの技量。当分は雑誌の名曲名盤ベストなんちょかに顔を出すであろうなあ。
 難をいうと、厚めに鳴る部分での響きがイマイチきれいでないなぁ。ということとか、(そういうことを求めちゃいけない?)タンバリンはもうちょっとがんばってほしいなとか。(打楽器全体はいくぶん上品な鳴らしかた。)
 とにかく濃いい。こういう曲を繰り返し聴くにはもっとあっさりしたものがよいかもなあ。といいつつそういう演奏を聴くとものたりなかったりするのだろうか。

R・シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」
プレヴィン指揮 ウイーンフィルハーモニー管弦楽団

アンドレ・プレヴィンという指揮者については、ながいこと中庸な指揮者というイメージで、それほど興味もなくみすごしていた。しばらく前にウイーンフィルとやったムソルグスキーの「展覧会の絵」のライヴ盤を買って、音が悪い〜などと言ってしまいこんでいたのだが、ちょっとしたきっかけがあって出してきて聴いたら、これがけっこうウイーンフィルがゴキゲンで暴れまくってるヘンなCDだった。んー?ゲルギエフと録音したり、ひょっとして案外ウイーンフィルってイケイケの演奏もしたい団体なのでは...?

 しばらく前からこの、「英雄の生涯」のCDをさがしていた。うちにあったのはメータのたぶん旧盤と、小澤盤でどちらもどうもつまんない。という感じだったの。そのあとまあトンデモ盤のキタエンコ盤(別の意味で面白いんだけど)を買ったり、渋くてイイんだけどちょっとダイナミックレンジが低そうに感じるブロムシュテット盤など買ったんだけど、なにか足りない。って感じだった。
で、今回プレヴィンの「英雄の生涯」ですが、これはなかなかよい!ウイーンフィルの弦は美しいし、金管木管も十分迫力のある音を出してくれている。テラークの録音もまあ予定通りって感じで。プレヴィンは特になにかを狙ったり、変わったことをしていないので、演奏としては普通なんだけれど、それでじゅうぶん堪能できると思う。このあと、同じ組み合わせの「ドン・キホーテ」なんかも買ったんだけど、これもなかなかよい。まあもうソコソコ前の録音なのでその後がどうだかわからないけれど、(プレヴィンがR・シュトラウスを得意にしているらしくて何回か録音してることを差し引いても)これを聴く限りプレヴィンはウイーンフィルと相性が良さそうだなぁ。この組み合わせのベートーヴェンなんかはちょっと不安だけれども、ブラームスやブルックナーなんかは合いそうな気がする。出ているのかな?HMVなんかで調べたらウイーンフィルとの録音はあまり多くはなさそうだけれども...。

ベートーヴェン 交響曲第6番
ベーム指揮 ウイーンフィルハーモニー管弦楽団

名盤の誉れ高い1枚だけれどもじつはかなり昔にカセットテープにラジオから落としたものしか持っていなかった。もうここ何年もカセットで音楽を聴くってことがほとんどなかったため、当然この演奏もあまり聴く機会が無かったことになる。最近CDを改めて買って聴いてみた。
 第1楽章の第1主題の後半の音形をやけにスタカートぎみにしていた。という印象はあったが、もっとやわらかい演奏をしていたような記憶はまちがいだった。第1楽章は意外に力強く、硬質な手触りを持っていて、ワルターのロマンティックに感じる演奏の系列にある演奏だと思っていたワタシはちょっとめんくらった。
 第2楽章はこの流れから一転してロマンティックな感じ。ただこの楽章はよほど変わったことをしないとこうなってしまうものかもしれない。第3楽章からもややロマンティックながら鋭さを持っている。ロマンティック一辺倒の演奏ではない。第4楽章の嵐もびっくりするほど激しい。第5楽章でもおだやかな歌のなかに金管の強奏などがあったりする。ウイーンフィルは美しいだけのオケじゃないぞ、ということにあらためて気がつく。
 今回聴いた印象では、意外に激しい音を出していて、美しいというだけの演奏ではないな。と感じた。第1楽章と、あとの4つの楽章のバランスはどうなんだろう?と思ったが、くりかえしきくうちになにかわかってくるかもしれない。ロマンティックひとすじでもなく、かといってただゴツゴツした感じでもなく、ひとすじなわではいかない感じ。

ショスタコーヴィチ 交響曲第5番
バルシャイ指揮WDR交響楽団

 ブリリアントレーベルから出た激安全集のなかの1枚。現在(2002/11月)でもこの11枚組3000円前後で買えるでしょう。(HMVで見たら2700円くらい。)
買った当時わりと評判が良かったし、ショスタコの交響曲をこの機会にまとめて聴くっていうのも良いだろうと思って買ったものです。買ってソコソコの期間をかけてききとおしたわけですが、はっきりいってショスタコーヴィッチの交響曲をたてつづけに、しかも全曲聴くというのはひっっじょーーーーーに、気がめいることであるなあという感想を抱いたものでありました。とはいえ、この全集、評判どおりなかなかのクオリティであり、値段から考えてもなかなかお買い得ではないかと。
 今回はヒサビサに第5番をとりだして聴いてみました。
全体には落ちついた雰囲気のとても惹きつけるものを持った演奏。といいつつちゃんと金管ががんばるところはドイツ風の底鳴りのする音できかせてくれます。基本的にはゆったりめのところがいい感じなので、第1、第4楽章のもりあがりでテンポを速くしていってしまうのはどうなんだろう?と思うけれど。あと、ショスタコの演奏にときどきある時代のフンイキをあらわしたりとかそういうのは無いように思われます。ひたすら誠実に音楽に向かい合っていった結果の演奏、という感じ。意表を突くようなことはしない。ときどきもうちょうっとぼやかした表現もほしいかな?と思う場面もありますが、逆にそのはっきりさに新たな発見もあるわけで。
 第3楽章が圧巻。おちついていながら上品に丁寧に歌いこんでいき、凄いクライマックスに持っていくさまはすばらしい。いままでこういう演奏をきいたことがあったのかな?

ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」
スイトナー指揮シュターツカペレドレスデン

先日新宿の某銀行でどようびにおかねをおろした。携帯電話の料金をある銀行から引き落としているのだが、残額が心細くなっていたので入金しておこうと思ったのだ。しばらく入金せずとも済むようにソコソコの金額をおろし、さてでは入金を。と思ったら、なんと土曜日は入金ができん!というではないか!確認してからおろせば良かったのに...!と思ったがもうあとのまつり。土日で東京に出かけた初日のしょっぱなから、ソコソコのお金とともに行動しなければならなくなった。
 そのあと、友人と会ったのだが、財布に(「ソコソコの。」以下略。)大金がある、というのはとかく気が大きくなるもの。お昼ごはんをご馳走してしまったり、夜のワリカンをひとり多めに出してしまったり、おおばんぶるまいであった。(と書いたのを実際に一緒に行った友人が見たら「どこがおおばんぶるまいだよっ!」と激しくツッコまれることうけあい。)

翌日の日曜日、大金を(くどいな。)フトコロに秋葉原石●電気に行ったところスイトナーのハルサイ、といういかにも怪しげなCDがめだつところに置かれていた。値段はそれほどではなかったが、買えば財布のなかみもお部屋の収納スペースも確実に減るのは目に見えている。と思い、思いとどまった。いつもなら思いとどまっていたところだが、なんといっても財布の中には大金(まだ言うかっ!)が。というわけで強気に買ってしまった。携帯の支払いはどうするのだ!

 オトマール・スイトナーというと、N響をときどき振りにきていたちゅうくらいに渋いオッサン、ってイメージで、思い返すにいったいこのオッタンのハルサイってなものにおまいは何を期待してCDを買ったのだあほちゃうか?とひとりツッコミをいれつつCDを聴き始めたのであった。
 だけんども、しかし。(Byかなざわいっせい)この演奏はとんでまにい、じゃなかったとんでもない演奏だったのであった。冒頭の萌え萌えした雰囲気(どんなフンイキだよ!)から弦楽器とホルンの刻みが始まるあのあたりから、尋常じゃない世界が広がり始める。なんでそんなに音をブツブツ切るのだっ!コワイヨー。スイトナーさんどうしちゃったの?

なんのかんのいっても「春の祭典」はもはや古典であり、たとえばブーレーズの演奏を聴くとき、すでになにが次に起こるかだいたいわかっている。この、スイトナーの演奏は、意外なできごとが次々とおこってくる。
 「アタシ、ディズニーランドだいすきで、ビックサンダーマウンテンなんか、次にどっちにカーブするかまで全部わかってるわん(はぁと。)」なぞとぶっこいてる人がある日乗ってみたらイキナリ全然コースが変わっていてびっくり!って感じなのである。わけわかんないたとえ。しかしまあひさしぶりに「よくつかまっていないと危ないかもしれない」という感じでハルサイをきいた。はっきりいってゲテモノだけれど、楽しい。

ギドン・クレーメル/クレメラータ・バルティカ(?)
「アフター・モーツァルト」

イカシたアルバムの登場だずぇ!!ヴァイオリン界の、めがねウナギちゃんあるいはヴァイオリン界のゴーヤーマンことギドン・クレーメルくんがクレメラータ・バルチカ(ほんとうにこの読み方でいいのか?)と組んだ「AFTER・MOZART」だ!モーツァルトの「セレナータ・ノットルゥナ」「アイネクライネ・ナハトムジーク」、モーツァルトとうちゃんの「おもちゃの交響曲」(この曲が「Kinder−Symphonie」だったとは、知らなかったずぇ!直訳すっと「お子ちゃまシンフォニィ」か?←訳してへんやん?)
 もちろんクレーメルくんがこりだけのプログラムでCDだすワケない。現代作曲家による作品もちりばめられてたりするのさ。シュニトケの「モーツァルト・ア・ラ・ハイドン」など。
でまあ、このへんの現代曲の演奏はヨクワカンナイんだけど、そのほかの3曲の演奏が、ステキなんだわ。(文体がもたなくなってきた)
どうもスペシャルサンクスってぇところに「ニコラウス・アーノンクール」くんの名前が出ているから、きっとなにか入れ知恵されたにちまいなかろうが(なんて言い方?)アイネクライネは、古楽器風のアクセントを強調したやりかた。編成がこじんまりしているせいかアーノンクールの演奏とは全くベツモンのシャープですがすがしい響きがつくられちゃってる。おまけに思い切り良く速いテンポでやってるからきもちいーのなんの。うしろでちゃらちゃらせずに鳴るチェンバロもミゴトで、音楽のビート感をあおりたてる。古楽器演奏ふう、を、目指したんだろうか?これは、まさに「現代のモ−ツァルト」なんじゃないかっ?
 セレナータ・ノットゥルナはあんまり良く知ってない曲なので言えないんだけど(いきなりトーンダウン。)しかしこのイキイキ系の演奏は「アイネクライネ」とおんなじあたりを目指しているんじゃないかな?楽しい。
 でまたこりゃ、ビックリ。目からウロコが出て、「こんなものが目に入っていたとわっ!!!」とオドロクようなステキ演奏。をしているのが「おこちゃまシンフォニー」。なずぇかイキナリ「ハロウ!」なぞと言われて「ナアニ?」なぞと面食らっていると突然曲が始まる。ぼっとしているバアイじゃないのだ。で、この曲がまた、「あれっ。こんな曲だっけ?」っていうくらい。楽しい。遊園地でかかっていてもわりとダイジョブかも?サエナイとおもっていたあの曲が大変身。んー。でね。この曲の中には、愛の手、じゃない、合いの手にいろんなおもちゃが出てきますね。あの、おもちゃもクレーメル風にアレンジしてあって、面白い、のかな。フツウ版のオモチャできいてみたかった気もするのでこのへんヨシアシ。このオモチャのせいで「イロモノ」っぽくなっちゃった感は否めまい?
 ちゃんと最後は「バイバイ」とごあいさつして終わる。楽しい時間はもう終わりなのね。って感じだ。
 しかししかし。このアルバムには今書いたもう完全な通俗名曲と化した2曲が入っているんだけど、この手垢のついた曲をミゴトにピッカピカにすることに成功しているんだずぇ。(紹介文の文体は中途ハンパだが。)いいよぉん。

...この1文をもってこのペイジのおちゃらけ度が1UPって感じ。イカスぅ。......

もどるずぇシッカリつかまってろよぉ