番外編2 〜吹奏楽のための作品〜

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グレインジャー リンカンシャーの花束

ホルスト 組曲第1番・第2番

ヴォーン・ウイリアムス イギリス民謡組曲

カウディル バンドのためのフォルクローレ

バーンズ アパラチア序曲

チャンス 呪文と踊り

F・シュミット ディオニソスの祭

S・メリロ アメリカの騎士〜選ばれし者

ウォルトン 戴冠式行進曲「王冠」

ベネット バンドのためのシンフォニックソング

フチーク フローレンティナー


グレインジャー リンカンシャーの花束

 グレインジャーはオーストラリア出身の作曲家だったように思います。イギリスの民謡を素材にした作品が知られていますが、ものすごい数の作品をのこしたようです。私が知っているのはこの「リンカンシャーの花束」を含めたいくつかの吹奏楽作品のみなので、彼の作風が一貫したものであったのかどうかはもちろん知らないのですが。この「リンカンシャーの花束」は、大学生の頃でしょうか、一般バンドでコンクールの自由曲として、なかの3曲をやりました。だいたい組曲の一部をやると全体を知りたくなる私はその後CDを買い求め、他の曲もきいて、全く気に入りました。素朴な民謡ふうの(あるいはほんとに民謡なのかも?)をもとにした組曲で、シンプルな素材によりをかけて料理してあるといった感じです。かなり複雑そうな和声が効果的に用いられており、楽しくもあり、またじんわりと叙情を感じたりもしてしまう曲です。あそび歌のような旋律が繰り返される「リスボン」コラール風に始まる「ホークストウの農場」不思議な木管楽器の響きで始まる「ラフォード公園の密猟者」ほのぼのした「元気な若い水夫」金管楽器の力強い響きで始まり、さびしい中間部から強力にもりあがっていく「メルボルン卿」、シンプルっぽい舞曲の「行方不明婦人がみつかった」の6曲からなっています。ぜんぶきいても20分もかからない短い曲です。


ホルスト 吹奏楽組曲第1番・第2番

 「惑星」で有名なグスタフ・ホルストはイギリスの作曲家で、この人もグレインジャー同様、イギリスの民謡に基づいた作品を残しています。この組曲第1番・第2番は「ミリタリーバンドのための組曲」となっており、吹奏楽のいまや定番のレパートリーとなっています

 第1組曲は古典的な緻密ささえ感じさせるカッチリした作品です。低音で提示される短い主題をもとに展開をしていく「シャコンヌ」、速い刻みにのってリズミカルに演奏される「間奏曲」は中間部に叙情的なメロディがきかれます。3曲目は行進曲。古典的な行進曲の形式にのっとっています。トリオの主題が素朴でなんともいえない。始まってすぐの大太鼓の一発「どかん!」は目立ちたい打楽器奏者の人気のマトだったりして。

 第1組曲はわりとかっちりした作品ですが、第2組曲ではイギリスの民謡が多く使われています。引き続き「行進曲」から始まります。しかしここのはあまり行進曲らしい雰囲気はなく、歩けそうにはありません。クラシックの作曲家の作品って感じです。大太鼓一発で始まる8分の6拍子の中間部の旋律は古風でありどこかしら懐かしい感じで耳に残る。2曲目はオーボエのさびしげな長いソロのある「無言歌」さほど展開も無く終わってしまいます。一転して雰囲気が変わり、「鍛冶屋の歌」軽快なメロディの間にアンヴィル(かなとこ)の響きが聞かれます。短い曲。私が学生のときこの曲をやって、先輩がくぎぬきをかなづちで叩いているのを見て、そういう曲なのかと思ったけれどただそれはまにあわせでそんなことをしていたのですな。4曲目「ダーガスンの幻想曲」途中に有名な「グリーンスリーヴス」の旋律があらわれます。

 この2曲を聴くとあのハデハデな「惑星」の作曲家が意外にかっちりした作曲をしているんだなあ。と思います。じつは惑星もかなりしっかりと書かれていると思うんだけど。


ヴォーン・ウイリアムズ イギリス民謡組曲

 管弦楽版でも演奏されますが、吹奏楽版がオリジナルです。管弦楽版をゴードン・ジェイコブが編曲していたような記憶が。「逆じゃないの?」とか思ったような。

この曲ダイスキです。わかりやすい主題が次々と出てきて楽しい。最初は行進曲「日曜日で17歳」調子のいい行進曲です。途中で8分の6拍子になって勇壮な響きになってみたりします。いいね。打楽器の使い方なんかも洗練されていてカッコイイ。途中にちょこっと出てくるスネア・ドラムの後打ちなんかめちゃクールだ。

 第2曲は間奏曲「マイ・ボニー・ボーイ」この曲でも長いオーボエのソロがあります。中間部に出てくる舞曲風の旋律は上記の「リンカンシャーの花束」でも使われています。

 第3曲は「サマーセットの民謡」これはホルストも同じ題材で「サマーセット・ラプソディ」とかそういう曲を書いています。第2マーチの旋律がそうかな。最初はいくぶんすっとんきょうに始まります。大学のときこの旋律に「みよちゃんもさっちゃんも寄っといで〜♪」ってな歌詞をつけてた先輩がいて、いまだにここを聴くと、「みーよちゃんもさっちゃんも寄っといでぇ〜」と始まって、困るんだってばっ!


カウディル 吹奏楽のためのフォルクローレ

 これってさ、「バンドのための民話」とか、「バンドのための民謡」とかいうタイトルで演奏されるけど、「フォルクローレ」じゃないのかしら。といつも思うのです。フォルクローレ。「コンドルは飛んでいく」みたいなヤツですよ。いやいやちょっとまて、そんなことゆうてるより先になんで錚々たる名曲の中に「吹奏楽のための民話」が入ってるのよ?というご意見もあろうかと思いますけども、なぜでしょうねえ。この曲、初心者バンドがよくとりあげる曲で、吹奏楽経験者ならほとんどが知っている曲でしょうね。そんなにたいした曲じゃないか。でも以前、某所で演奏した際、そこの指揮者がこの曲をたっぷりと表情をつけて「アダルト」な雰囲気で演奏したとき、めちゃめちゃ感動したのです。それ以来、この曲は私の中で名曲のなかまいりを、まだしてはいないけれど、仲間入りしようと教室の入り口の扉の影からのぞいている雰囲気なのです。それともあの指揮者にまんまと「してやられた」のでしょうか......?


バーンズ アパラチア序曲

 ついでに似たようなのをもう1曲。これも吹奏楽オリジナルの作品です。バーンズは吹奏楽のための多くの作品を書いています。だいたいこんな感じで調子よく始まって、まんなかでゆっくりになって、また速くなる、というワンパターンですわな。それほど芸術的な価値のある作品だとは思えないのです。

 この曲はしかし、中間部に出てくるアメリカ風な旋律がとても郷愁をさそって、いいのですねえ。昔はそんなことには気づかなかったのですが、数年前に母校の吹奏楽部でヘタヘタな演奏を聴いているときに「なんて美しい旋律なんだろう?」と突然感じたのでした。この旋律、コープランドとか、グローフェっぽい気がしませんかね。アメリカのある種の民謡のふしまわし、なんじゃないでしょうか。この中間部のために、私はこの曲を「つまんない」と切って捨てられないのです。


J・B・チャンス  呪文と踊り

 J・B・チャンスはアメリカの作曲家。よく演奏されるのはこの曲と、あと、「朝鮮民謡の主題による変奏曲」とか。どっちもテンプルブロック(木魚)が活躍しますな。チャンスはだいぶ前に家庭内の電気の事故で亡くなっています。

 この曲は、フルートの低音から徐々に厚みを増すブキミな序奏で始まります。この序奏においても、あとに現れる旋律が暗示されています。やがて、打楽器のリズムに導かれ、トロンボーンによる勇壮な旋律があらわれます。そのあとにあらわれる木管楽器の旋律が木魚のリズムをもとにしているのと同様、打楽器のリズムはそれぞれの主題のリズムを先導しており、それらのリズムと旋律がとてもいいアンバイに組み合わされていくのです。マニアックに聴くと、いろんな発見がある作品です。というとなんか難しい曲のように思うかもしれませんがそんなことはないです。よく演奏されますが、カンペキな演奏っていうのがなかなかできない作品のようにも思います。打楽器で、うまいこと演奏できるととてもキモチイイ曲。


F・シュミット  ディオニソスの祭

 フローラン・シュミットは、フランスの作曲家で、バレー音楽「サロメの悲劇」などがときどき演奏されています。確かギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のために書かれたこの作品は、演奏が非常に難しいにもかかわらず、たいへんな人気曲で、吹奏楽コンクールでは毎年のように演奏されていますね。
 曲はまるでスピルバーグの「JAWS」のようなフンイキで始まります。ドビュッシーあたりのようなフンイキをかもしつつしだいに緊張感を増していき、突然速くなります。どことなくストラヴィンスキーの「春の祭典」を思わせる緊張感とフランス印象派っぽい脱力感が交互にやってきて、やがて大きな盛り上がりをつくっていく。というような作品。乱暴なリズムがなんともキモチイイ。


・メリロ  アメリカの騎士〜選ばれし者

 メリロはアメリカの作曲家だそうです。すごい多作家だそうです。とはいえ私の持っている1枚ものの作品集、とおしてきくとちょっと食傷しそうです。
この「選ばれし者」は「アメリカの騎士」という組曲の1曲だそうですが、他の曲はきいたことがありません。
 この曲は、2,3年前に地元の吹奏楽コンクールで中学生がやってるのをきいて、「なんてかっこええんや!」と思った曲です。サクソフォンのヘンテコなイントロによってテーマが出されると、すぐにすごい緊張感をもった音楽が始まる。ここんとこスゲーかっちょ良い!お約束のように中間部で遅くなるなあと思うと、急に速くなったりまた遅くなったり。最初のテーマがあざといくらいにもりあげて歌われる。吹奏楽ならではって感じのハデハデな作品。
 ・・・っていうか、主題が1個しか出てこない気が。


ウォルトン 戴冠式行進曲「王冠」(クラウン・インペリアル

 イギリスの作曲家サー・ウイリアム・ウォルトンの行進曲。ウォルトンはクラシックのほうでもちゃんと有名で、交響曲などのCDもソコソコ出ています。この行進曲は、なんだか細切れのような旋律のマーチと、上品な旋律の中間部からできています。管弦楽版もあって、ひょっとしたらこちらが本来のものだったりするのかも。ただ、私はこの曲は吹奏楽できいたほうがいい気がする。
 イギリスのこの手のマーチには有名な、エルガーの「威風堂々」第1番があるわけですが、さいしょのマーチの堂々とした感じといい、中間部の旋律の気品の高さといい、けしてひけをとることはないものだと思います。最後の盛り上がりがひょっとすると「やり過ぎ」なのかもしれない。


ベネット バンドのためのシンフォニックソング

 ロバート・ラッセル・ベネットはガーシュインの「ポーギーとベス」の交響組曲版の編曲者として有名ですが。この、シンフォニックソングをはじめてきいたのはどこかの高校の実況録音かなんか。かなりひどい音で聴いた記憶があります。全体になんともユーモラスなフンイキが漂う音楽。
 リズムの刻みの上に息のながい旋律が流れる「セレナーデ」アメリカ風の素朴な旋律にヘンテコな合の手が入るゆっくりした楽章「スピリチュアル」サーカスの音楽みたいな「セレブレイション」の3つの楽章からできています。第3楽章では金管群がバリバリ吹いたり、鳥が鳴いたり、打楽器のアンサンブルがあったりととりわけお気に入り。


フチーク フローレンティナー

 チェコの作曲家、ユリウス・フチークの行進曲です。ファンファーレのあと、大太鼓が、どん!と鳴る。かわいらしい旋律と、ユーモラスなトロンボーンの合の手が入る第1マーチもよいのですけども、トリオの旋律がとても美しい。1回目は、演奏にもよりますが、行進曲にはめずらしく、たゆたうようなやさしげなフンイキが漂います。トリオの第2マーチは明るくこれもかわいらしい旋律です。最後はトリオの旋律が高らかに演奏されて終わります。最初から最後まで、サワヤカな雰囲気の、なにか、気品のようなものさえ感じる行進曲です。私はこれ、大好きなんですよ。

 吹奏楽版だと、フレデリック・フェネルがこの美しさを強調したようなステキな編曲をしたクリーヴランド・シンフォニック・ウインズだかのCDが出ていたと思います。オーケストラ版もあって、チェコフィルハーモニーを長く指揮していたバツラフ・ノイマンのCDがあります。これにはフチークの序曲などがいっしょに入っていて、これらもなかなかに素朴な雰囲気があってよいものです。


 

 

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