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服部良平 <夕刊ヨコハマ新聞社の記者> (柴田恭兵)
久世静香 <金持ちのご令嬢> (田中美佐子)
マーシャ <娼婦> (沖直美(直未)
安藤 <宝石の故買屋> (寺田農)
山森 <”なおみ”に宝石を残して死んだ故買屋> (玉川伊佐男)
チョロQ <マーシャの元締め> (左とん平)
青木ミツエ <宝石を騙し取ろうとして殺された女> (黒田福美)
  <マナー教室の先生> (鰐淵晴子)
  <良平の上司である編集長> (河原さぶ)
  <ヤクの売人> (立川光貴)
  <良平の知り合いの刑事> (樋浦勉)
山崎 <山森の使い走りをしていた男> (江幡高志)

       

  放送時期 昭和61(1986)年12月30日 23:20〜1:20(2時間) CX系
  サブタイトル お嬢様を探せ!
  脚本 那須真知子
  監督 金子修介
  原作 トニー・ケンリック『マイ・フェア・レディーズ』(訳 上田公子)
(原題:THE CHICAGO GIRL)(角川文庫)

 


横浜を舞台に、時価4億円の宝石を騙し取ろうとする男と女たちの欲望を描くピカレスク・ロマン。

宝石商の山森が「”なおみ”という女に渡してくれ」と時価4億円のエメラルドの首飾りを残して死んだ。なおみの手がかりはピンボケの写真1枚と、テネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』のブランチのセリフを一字一句間違えずに諳んじられるというほど芝居好きのレディで、インテリで、名門女子大出の良家の令嬢で、しかも娼婦だという。頼まれた安藤は山森に世話になったことに恩義を感じており、”なおみ”を探し始める。しかし、”なおみ”に成りすまして宝石を横取りしようとしたミツエを殺してしまうほど、安藤は凶暴な男だった。

良平はこのネタを仕入れ、宝石を騙し取ることを計画する。警察に捕まった娼婦たちの中から芝居の上手いマーシャに白羽の矢を立て、彼女に計画を持ちかける。最初は渋っていたマーシャだったが、金額を聞いてやる気になる。

先ずは、マーシャをマナー教室に通わせて言葉遣いやしぐさを特訓してご令嬢に仕立てることから始める。が、特訓の成果を試すテストで大失敗。落胆する良平。しかし、マーシャの一言で彼はひらめく。”ご令嬢を娼婦に仕立てればいいんだ!”。

名門女子大の卒業名簿から劇団に所属する静香を見つける。彼女に話を持ちかけると、当然最初は断られるが、計画が成功した時の分け前をきちんとすることで静香も計画に乗ることを決めた。

今度はマーシャが先生となり、静香に”夜の女”の言葉遣いやしぐさをみっちりと叩き込む。静香は実地テストで見事に良平の前で”娼婦”に変身した。

実際に安藤と接触する為に、静香は”安西エリカ”として街に立つ。アパートを借り、良平は”エリカのヒモ”として静香と一緒に暮らすことにする。街に立つ為には、マーシャの元締めであるチョロQに話をつけなければいけない。良平は知り合いの刑事を上手く利用して自分を刑事だとチョロQに信じ込ませ、静香が婦人警官であり麻薬捜査の張り込みの為にマーシャと共に街に立つことに目をつぶらせた。

とあるバーで”エリカ”とヒモの良平に目を付ける安藤。安藤は、さくらを演じていた良平をボコボコにして、”エリカ”の話を聞きだす。ボロボロに傷ついてアパートに帰ってきた良平を静香は看病する。今まで事あるごとにぶつかっていた2人は、この時初めてお互いに惹かれている気持ちを素直に表した。

翌日、恋人同士のようにドライブから帰ってきた2人を待っていたのは安藤だった。夜に訪れる予定を早め、2人の留守中に部屋に入り込み、素性を探っていたのだ。安藤は静香の持ち込んだトランクから消したはずのイニシャルを見つけ、静香が”安西エリカ”ではなく”久世静香”であることを見抜く。動揺する良平をよそに、堂々と相手をする静香。「あんたが”なおみ”だろ?」安藤の言葉に驚く良平。昔、山森のもとに居て”なおみ”に会ったことのある山崎が首実検の為に呼ばれていた。山崎は静香を見て言う、「よう、なおみじゃねぇか」。静香は落ち着き払って答えた、「お久しぶりね、山崎さん」。
果たして静香が本当の”なおみ”なのか?それとも良平の計画通り”なおみ”を演じているのか?

そこへ、チョロQが乗り込んでくる。チョロQは良平が刑事でないことに気付き、騙されたことに怒り、マーシャを痛めつけてこの場所を聞き出して乗り込んできたのだ。また、そのチョロQの後を追ってヤクの売人もやってくる。彼は警察のガサ入れがあったのはチョロQが垂れ込んだせいだと思い込み、報復する為にやってきたのだ。

そうした騒ぎに乗じて良平は静香の手をとって安藤から逃げる。安藤は邪魔をするチョロQや売人、宝石を横取りしようとした運転手などを次々とピストルで撃ち、2人を追っていく。途中で良平は足を撃ち抜かれながらも、安藤と闘う。安藤は静香に騙されたと思い、歯止めがきかなくなっていた。良平を蹴り倒して静香へと迫る安藤。屋上で追い詰められた静香は足を滑らせ、下に落ちそうになる。そこへ迫る安藤。が、後を追ってきた良平が安藤の足を払い、ヨロヨロとした安藤は屋上から転落する。間一髪の所で良平に引き上げられて静香は助かる。

事件が一段落し、マーシャは商売を辞めることにした。良平は静香に連絡をとろうとするも門前払いされ、彼女に会えない。
心機一転、良平は新聞記者を辞め、夢だったヨットの仕事をすることにした。乗員を募集している船をマーシャに教えられ、そのヨットのオーナーに会いに行くと、なんとそれは静香だった。


良平という役は、明るくてお調子者で、でも行動力があって、カッコよくて、ちょっと情けないところもあって…。そう、『あぶない刑事』の勇次をもっとソフトにしたような感じです(*^^*)。
話も面白いし、テンポもとってもいいし、BGMの音楽の使い方もいいし、ラストのアクションシーンはとってもドキドキするし、とってもオススメな作品です(^ー^)。

この作品が放送されたのは、あぶない刑事が始まった年の年末12月30日(しかも深夜!)。だけど、エンディングのシーンとか見ると、思いっきり”夏”なんですよ(笑)。海だし、ヨットだし、半袖だし、安部恭弘の「テネシー・ワルツ」が流れるし…。どうやらこれ、この年の前半にCX系であった”木曜ドラマストリート”枠で放送される筈だったらしいです。それがその枠が無くなり、放送が延び延びになっていた、ということらしいです、たしか(うろ覚え(^^; )。
だから、ちょうど勇次を演じる直前に撮影したもの、ということになるのかもしれませんね。

恭兵さんのみどころ、というと、いっぱいあります(^^)。ランニング+スウェットパンツで体を鍛えていたり、サラリーマンっぽいスーツ姿あり、タキシード姿あり、チンピラみたいな姿あり、足を撃たれて引きずるようなアクションシーンあり、殴られてよろよろになったり口から血を流したり、女性を軽々と抱き上げたり。
あと問題のセリフ。最後の方に、静香に向かってやさしく「関係ないよ」という恭兵さんのセリフもあります(笑)。
これが「関係ないね」とモノマネされるそもそものセリフだという話が某BBSで出てましたね(^^ゞ。

ホントにホントに面白い作品なので、ビデオ化したりしてくれないかなぁ、とずっと思っています。


(おまけ)
当時録画したビデオを見たら、間のCMのひとつが、恭兵さんがナレーションをした丸井のCMでした(^-^)。


(原作について)
原作のお話は、原題からも分かる通り舞台がアメリカ・ニューヨークです。で、当然登場人物は日本人ではありません(笑)。良平=レディング、静香=ジェニー、なおみ=ロイス、安藤=デヴァイン、となります。マーシャはマーシャだけどね(^^ゞ。
基本の話の流れは同じですが、それはそれ、舞台が違うと微妙に雰囲気も違います。でもね、この原作の方のお話も面白いです。最後の山場のデヴァインとの対決シーンはドラマの方とはちょっと違いますが、スピード感あるし、読んでてドキドキします。だからこちらもオススメです。でも本屋さんでは最近見かけないので、ひょっとして廃刊になっちゃったのかな?と思いましたが、amazon.co.jpで調べたら売ってるみたいですね。