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古川かをる <主人公> (沢口靖子)
吉武惣吉 <かをるの運命の人・網主『吉武』の跡取息子> (川野太郎)
板東律子 <久兵衛の長女・かをるの姉> (桜田淳子)
梅木健作 <入兆の手代・後のかをるの再婚相手> (柴田恭兵)
板東久兵衛 <醤油問屋『入兆』の主人・かをるの父> (津川雅彦)
古川るい <かをるの母・久兵衛の妾> (加賀まりこ)
吉武とね <惣吉の母> (草笛光子)
名取ぎん <久兵衛の妹> (三ツ矢歌子)
若林ハマ <入兆の女中頭> (根岸季衣)
弥太郎 <入兆に転がり込む半端者> (明石家さんま)
小畑兵造 <入兆の番頭> (高品格)
神山平六 <入兆の工場長> (牟田悌三)
船村源八 <吉武の家の漁師頭> (織本順吉)
板東千代 <久兵衛の正妻・病弱> (岩本多代)
板東英一郎 <久兵衛の長男・律子、かをるの弟> (鷲生功)
古川清次 <るいの兄・樽製造をして入兆に納めている> (寺田農)
馬場ツエ <るいの家の昔からの女中> (鷲尾真知子)
沖田周一 <画家・かをると惣吉の出会いの絵を書く> (福田豊土)
水橋信吾 <律子の恋人・労働運動家> (寺泉憲)
河原畑仁 <小説家志望・律子と心中しようとする> (石丸謙二郎)
小浜敬助 <入兆の従業員・後に軍人になり律子と結婚> (村田雄浩)
吉武善吉 <惣吉の弟> (安藤一夫)
鯉沼栄二 <入兆の従業員・後に梅木と共に出征する> (山下規介)

           他に入兆の若い従業員や吉武の漁師たちの中に、加藤義博や斉藤洋介なんて顔も…。

       

  放送時期 昭和60(1985)年4月1日〜10月5日
NHK・月〜土の「朝の連続テレビ小説」枠(15分番組)
年末には5回にまとめた総集編を放送(これがビデオ化されている)
  脚本 ジェームス三木
  語り 葛西聖司アナウンサー
  演出 重光亨彦 他

 


舞台は千葉県銚子市。「陸者」である醤油やの娘・かをると「海者」である網主の長男・惣吉が様々な障害を乗り越えていく純愛物。
かをるは女学校の4年。父親は地元の名士である醤油醸造元「入兆」の当主・久兵衛。
正妻ではない母親・るいと共に、父とは離れて暮らしている。
浜辺で偶然に惣吉と出会い、恋に落ちるが、気持ちを伝えぬまま、卒業と同時に父の家で暮らすことになる。
父の家には、病弱で寝たきりの正妻・千代、モガといった風体の長女の律子、かをるの弟にあたる英一郎がいた。
これもまた偶然であったが、惣吉の弟・善吉と英一郎は同級生であり親友同士であった。
入兆に来てしばらくは、女中頭・ハマより旧家の行儀作法からみっちりとしごかれたが、
みんな暖かくかをるを迎えてくれた。

久兵衛の妹・ぎんより、かをるの縁談が持ち込まれた。
断る術も無く話はとんとん拍子に進んだが、かをるが乗り気でないことを知った律子の策略により破談となる。
それをきっかけに久兵衛に惣吉のことを話すかをる。
しかし、相手が犬猿の仲である漁師の息子と知った久兵衛の大反対にあう。
惣吉もまた決心をし、門前払いを食わされつつも毎日久兵衛の元へ結婚を認めてもらう為に足を運んだ。
しかし、久兵衛は承知をしなかった。

律子の以前からの恋人である水橋は警察から目をつけられている。
律子自身も下手に警察に目をつけられないよう、久兵衛から外出禁止を言い渡されているので、
彼にお金を渡してきてくれるようかをるに頼む。
早朝、水橋が隠れている部屋に行ったかをるは、待ち構えていた警察に連行されてしまう。
釈放されたかをるを久兵衛は苦渋の決断で勘当する。
惣吉と結婚できるように考えてくれた父の真意がわかったかをるはそれは受け入れ、晴れて惣吉の妻となる。

久兵衛は律子と手代の梅木との縁談を考える。が、律子は一笑に付し、この話は流れる。
梅木は昔からかをるに憧れていてこの話に戸惑っていたが、久兵衛から「頼む」と頭を下げられ、
その気になった所へあっさりと「この話はなかったことにしてくれ」と久兵衛に言われ、
その理不尽さに荒れ、ハマと関係をもってしまう。

漁師の妻として、今までとは違った苦労のある生活であったが幸せな結婚生活を送るかをる。
それとは対照的な律子。自分を崇拝する河原畑と東京で同棲をしていたが、
自由の身になった水橋と銚子で再会し、彼とよりを戻してかけおちを計画する。
しかし律子を追ってきた河原畑と水橋が崖の上でもみ合いになり、水橋は海に転落。
動揺し心中しようとせまる河原畑に抵抗するも、一緒に海に落ちてしまう。
河原畑は死んだが、律子は奇跡的に浜に打ち上げられているところを発見され、かをるの家で介抱される。

新婚でありながら、なかなか2人でゆっくりとできなかった惣吉とかをるは、潮来へ2人だけで旅行に行く。
その後、惣吉の子を身ごもるかをる。
幸せの真っ只中にいたかをるであったが、ある日、惣吉の乗った船が嵐に巻き込まれ、惣吉が遭難してしまう。
懸命の捜索のかいもなく、惣吉たちは発見されなかった。
惣吉の葬儀中、焼香にきた久兵衛に付いてきた入兆の者と漁師達が喧嘩を始めてしまう。
その騒ぎの中、心労がたたりかをるは倒れ、流産をしてしまう。

かをるは入兆に引き取られた。
体調が回復し、数ヶ月が経ってやっと惣吉の死を受け入れたかをるは入兆の仕事を手伝い始めた。
梅木や工場長の神山に仕事を教えてもらって、醤油作りに熱中し、元気を取り戻していく。

番頭の小畑は、梅木とハマの関係に気付き、結婚する気もない梅木にハッキリさせろと勧る。
ハマは、久兵衛から真鍋という金貸しとの縁談を勧められ、一人息子を連れ入兆を出て行く。

小畑が引退し、周囲からの信頼も厚く仕事もできる梅木が番頭に昇格する。
小畑の助言もあり、久兵衛はかをると梅木の縁談を考える。
話を断ったら梅木は辞めてしまうかもしれないとるいに言われ、迷うかをる。
惣吉の母・とねに相談にいくが、とねからは「気にせず再婚した方がいい」と勧められ、
惣吉の墓にも相談するも決心がつかないかをる。
しかし真摯な梅木の人柄に惹かれ、再婚を決める。
梅木は「100年でも200年でもあなたと一緒に生きていきたい。ありがとうございます」と喜ぶ。
久兵衛は初めて見るかをるの花嫁姿に涙する。

かをると梅木は双子の男の子にも恵まれ幸せな生活を送る。
律子は元・入兆の従業員であり今は軍人になった小浜と結婚する。
英一郎は飛行機の設計をしたいという夢を持ちながら入兆を手伝っている。

そんなある日、律子が東京で惣吉にそっくりな男を見かける。
それは記憶をなくした惣吉であった。惣吉は遭難してフィリピンに流れ着き、生きていたのだ(んな、アホな(^_^;)
4年ぶりに惣吉と再会するかをる。
かをると会ってもすぐには記憶は戻らなかったが、船を漕ぐ内、記憶を取り戻す。

吉武の家では総領の惣吉が帰ってきたことで大喜びする。そしてかをるを取り戻そうと騒ぎ出す。
街中で吉武の若い者と入兆の従業員たちとの喧嘩が絶えなくなる。
また梅木もいらだち、夜毎のみ歩くようになり、心配するかをるにもつらく当たってしまう。
かをるは密かに惣吉と会い、梅木を含め3人の幸せの為、自分のことは忘れてくれるように頼み込む。
かをるを苦しめていることに気付いた惣吉は、もう2度と会わないことを誓い、入兆と吉武の手打ち式も行う。
梅木もまた態度を反省し、「今日から生まれ変わったつもりでお前の幸せを守り抜く。いつまでも俺の側にいてくれないか。」と誓う。

しばらくは平穏な日々が流れるが、戦争の足音が近づいてくる。
律子の夫である小浜も戦地に赴き、律子自身も満州に渡って日本人学校の教師をしている。
英一郎や入兆の従業員も何人か既に召集されている。
終戦の前年、梅木にも軍属としてフィリピンに建設する醤油工場に赴くよう命令が出た。
その後、惣吉にも召集令状が出た。

昭和20年7月、銚子は大空襲を受け、入兆の工場も焼け落ち、久兵衛とるいが亡くなる。

戦争が終わり、足を負傷した英一郎や肺を患った律子が戻ってきた。が、梅木は戻らなかった。
工場の再建も始まった頃、律子は病状が悪化し亡くなる。
梅木と共に醤油工場に派遣されていた栄二が帰ってきた。そして彼から梅木の死が知らされる。
フィリピンの山中を逃げる途中、負傷し、栄二が水を汲みに行った間に爆撃で死んだのだ。
栄二は、梅木の遺骨と「かをる 私は」とだけしか書けていない手紙を持ち帰ってきた。
かをるは嘆き悲しむ。

入兆は再建が進み、英一郎が跡を継ぐことになった。
かをるは足の不自由な弟を支えて働き、二人の息子・昭彦と和彦も元気に育っている。
惣吉は戦地から無事に戻り、かをるに復縁を迫るが、
かをるは久兵衛や梅木の意志を引き継ぎ、醤油と共に生きる決心をしており、
英一郎を支え入兆を大きくすることしか今は考えられないと断る。

惣吉は諦めずに、いつまでも待つ気でいる。
かをるもまた、いつになるかはわからないが醤油を世界に広めるという夢がかなったら、その時は、と・・・。


前半、梅木さん(恭兵さん)の出番はさほどありませんが、忠実な手代としてきびきびと働く姿が所々で見られます。静かに自分を抑え(そう!とても静かな役なんですよ)、口調も当然ながら丁寧で、主人である久兵衛(津川雅彦さん)に尽くす姿は、最近の恭兵さんが演じる役では見ることができない姿であり(笑)、とても新鮮に映ります(^^)。時代劇以外での着物姿というのも珍しいかもしれませんね。
梅木健作という役は、ただの忠義者、と言うだけではなく、その胸の内には密かな野心もあり、時には激しい感情を表すこともあります。但し、奉公人と言う立場、幼い頃より養ってもらった久兵衛への恩義・尊敬を決して忘れることはありません。高嶺の花だと思っていたかをると結婚して、本当に幸福そうだった梅木さん。ここまで来てやっと梅木さんの笑顔を見ることができるのです(見ているこちらも幸せな気持ちになります)(^^)。
ところが死んだと思っていた惣吉が生き返ってからは、笑顔が見られなくなり、苦悩の表情ばかり(T_T)。この惣吉の復活は当初は予定になかったそうですが、惣吉が遭難した後、視聴者から「生き返らせて」という要望が殺到し、なんと終盤に生き返ってしまったといういきさつがあります(^_^;)。当時、沢口靖子さんも川野太郎さんも新人で、初々しい2人の純愛物語にすっかりみんなはまってしまったということですね。う〜ん、これが無かったら、梅木さん死なずに済んだのかなぁなんて思ったりもして…。せめてもの救いは最後にあっさりと惣吉と復縁しなかったかをるの姿ですね。↑のあらすじでは判りづらいかもしれませんが、梅木と結婚生活を送るうち、かをるも本当に梅木を愛するようになったんですよ(*^^*)。

恭兵さん自身はこのNHKへの出演は「親孝行のつもり」と思っていたそうです。