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2005.11. 4.Up Dated.
新興銘柄の憂鬱
  
最近上場した銘柄の株価が公募割れを起こしているのが目立ち、40万円台の株価で推移している銘柄が5銘柄あります。
これは、今年前半のJREIT市場の勢いからは考えられなかった事ですが、新興銘柄の上場ラッシュになった7月から潮目が変わったようにも思えます。
この状況を見て一部のマスコミではJREITの勢いが止まったという見方もしているようですが、株価と違って、JREITは個別の銘柄の質によって株価の動きが異なるのは当然だとも言えます。
一方の、市場の反応に驚いているのは銘柄側も同様のようであり、1年ないし1年半前から準備して上場した新興銘柄にとってはショックだとも言えます。
今の状況を冷静に見れば、新興銘柄が短期間に評価を上げることは難しく、しばらくは地道な活動を続けて配当実績を重ねるしか手段がありませんが、銘柄によっては我慢出来ないところもありそうです。
早期に株価を回復出来なければ、増資の見通しが立ちませんから、LTV60%ぐらいまでの外部成長しか出来ませんので成長余力が限られます。
特に、オリジネーターが私募ファンドの銘柄は、投資法人に物件を移し難くなってしまいましたので目算が外れたところもありそうです。
新興銘柄の中には、今の状況を打破する為に色々な動きを模索しているようで、その方向は、
   @ とにかく積極的に外部成長を図って株価を上昇させようという銘柄
   A 早くも資産運用会社の体制を見直そうという銘柄
   B 再度戦略の練り直しを図ろうとしている銘柄
等がありそうです。
この中で、@のパターンは収益用不動産の価格高騰と取得競争激化を考えれば、市場評価を上げられるような物件取得は難しいでしょうから、却って、身動きが取れなくなる可能性もあります。
Aのパターンは本末転倒とも言える動きで、今の市場評価はオリジネーターの信用力に起因している部分が大きいですから、必ずしも資産運用会社の問題とは言えません。
Bが最もオーソドックスな動きで、再度、JREITの本質を見直して投資家の信頼を得られるような戦略を再構築するという考え方になります。
実際にBのパターンで見直しを図ろうという銘柄もあり、外部成長のスピードを落として、一旦、資産の見直しを図る事にもなりそうです。
何でも同じでしょうが、逆境の時にこそ工夫が行われるとも言えますので、これからは勢いだけでJREITに出て来てしまった銘柄と、元々、相当な努力を覚悟して出て来た銘柄と分かれる事になりそうです。
一方、投資家から見ると、このような状況は大変ありがたいとも言えます。
銘柄側が努力を傾ける事は、即、投資家のメリットに繋がりますので、サバイバルの状況は銘柄間の競争を促し投資家利益の増加をもたらしそうですから、今の状況がもうしばらく続く事が望ましいと言えます。