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2006. 5.18.Up Dated.
中央青山監査法人の処分について
 
 5月10日付けで金融庁から中央青山監査法人に2ケ月間(7月〜8月)の業務停止処分が下されました。処分理由は、カネボウの粉飾決算に加担したこと等によるものです。しかし一部上場企業決算の不正に加担し、投資家に多大な被害を与えた監査法人に対する処分としてはやや緩すぎるとも言えますが、行政処分だけで中央青山監査法人への制裁が終るわけでもなさそうですので、もう少し推移を見る必要がありそうです。
 今回のように大手監査法人への業務停止命令は監査を必要とする企業に大きな影響を与えそうです。しかしこの処分では4月・5月・6月決算企業の監査業務を停止対象から除外しておりますので、既存監査業務への支障は少なそうです。

 J-REITの場合も以下の10銘柄(括弧内は証券コード・決算期)の会計監査人が中央青山監査法人となっていますが、前述のように決算業務への影響はありません。
○日本リテールファンド投資法人(8953・2月/8月)
○プレミア投資法人(8956・4月/10月)
○東急リアルエステート投資法人(8957・1月/7月)
○ニューシティ・レジデンス投資法人(8965・2月/8月)
○福岡リート投資法人(8968・2月/8月)
○ジャパン・シングルレジデンス投資法人(8970・1月/7月)
○イーアセット投資法人(8974・4月/10月)
○FCレジデンシャル投資法人(8975・4月/10月)
○DAオフィス投資法人(8976・5月/11月)
○トップリート投資法人(8982・4月/10月)
 なお、今回の行政処分によって上記の銘柄の監査法人が交代になるか否かは不明ですが、いち早くグローバル・ワン不動産投資法人が今年3月の投資主総会で中央青山監査法人から新日本監査法人へ変更しており、投資家重視の姿勢を明確にしています。

 一般の事業会社と比べるとJ-REITは投資法人の収益・リスクともに投資家にパス・スルーする仕組みですので、より神経質になる必要があり、制度や仕組みには厳密さが求められます。その意味では、投資法人の今後の対応に注目したいところですが、現時点で今回の処分に対してプレスリリースを出しているのは上記銘柄のうちプレミア投資法人が監査に影響がない旨の公表をしているだけです。

 中央青山監査法人は、過去にも経営破綻した山一証券やヤオハン等の監査を担当しており、投資家にとっては避けたい監査法人です。従って、各銘柄が今後どのような判断を下すのか、またどういう対応をするのかを投資家に明確に説明する必要があると言えます。

 
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