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2006. 6. 8.Up Dated.
レジデンスのニューウェーブ
 
 JREITでのレジデンス系銘柄に対する評価は依然として厳しく、株価も低迷していますが、一方で、銘柄側にも少しずつ新しい動きが出ています。

例えば、先月に上場したビ・ライフ投資法人は店舗付住宅をいくつか保有しており、住宅に比べて高い賃料を取れる店舗からの賃料収入によって、取得利回りを向上させています。具体例を挙げると、「クイズ恵比寿」という山手線恵比寿駅前に立地する店舗併用住宅がこれに該当します。 この物件は、ジャパンリアルエステイト投資法人が保有する「恵比寿ネオナート」というオフィスビルの隣に昨年の2月に竣工した物件で、1・2階が飲食を中心とした店舗、3階から10階がコンパクトタイプの住宅という構成になっています。
店舗と住宅を併せた平均賃料は25千円/坪/月となっていますが、仮に住居だけであればとてもこれだけの賃料水準は実現出来ません。 恐らく、店舗部分の賃料は悠に35千円/坪/月は越えていると思われますが、この店舗賃料のお蔭で、NOI利回りは6%台になっています。
現在の不動産市場では新築に近い駅前物件でこれだけの利回りが確保出来る物件はありませんので、このような物件が取得出来れば、レジデンス系銘柄の配当金が上昇します。
ビ・ライフ投資法人は、他にも麻布十番と西麻布にも店舗併用住宅を保有していますが、こちらは「クイズ恵比寿」ほどの利回りは得られていません。
従って、投資法人の全体収益を見れば他のレジテンス系銘柄と大差ありませんから、「クイズ恵比寿」の1物件を以ってこの投資法人を評価するのは早計ですが、このような物件を投資対象に含めたという点は注目に値します。(尚、単純に店舗併用住宅が投資対象として優れているという事ではなく、商業店舗のテナント需要が多い地域だけに通用する例で、立地が限定されますから取得に際しては充分な吟味が必要となります。)

又、7月に上場予定になっているエコロジー・リート投資法人は環境配慮型物件への投資を中心とするようです。 こちらは、投資家へのリターンには直結しそうにありませんから、投資商品のメリットと言うよりはCSR(企業の社会的責任)への取り組みを投資方針へ盛り込んだという事だと思います。

このように後発銘柄では、何とかレジデンスへの評価を高めようという取り組みが始まっていますので、これが他銘柄にも波及して、色々な知恵と工夫が出てくるようになれば、JREIT投資の刺激策になります。 どの銘柄の投資主構成を見ても個人投資家の比率が下がっていますので、各銘柄が投資家を惹き付けるような工夫をする事が、投資家層の拡大に繋がるのではないかと期待したい処です。
 
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