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2006. 7. 13.Up Dated.
金利上昇の影響度


日銀によるゼロ金利解除が迫っているようで、早ければ7月下旬には金利引上げが実施されるとの観測が強くなっています。実際に金利引上げが何時実施されるかは分かりませんが、今の状況ではそう遠くない時期という見方が主流です。
従って、投資市場の関心は金利引上げ時期から、引き上げ幅に移っているようで、どの程度の利上げが行われるかに関心が集まっています。引き上げ幅については0.5%とする見方が多いようですが、0.25%との説もあるようです。
そこで、仮に0.5%金利が上昇すると仮定してJREITへの影響を財務面から見ると次のようになります。
■短期借入金の多い銘柄
新興銘柄の中には、短期借入金比率の高い銘柄がいくつかありますが、一つの例として300億円の短期借入金があった場合、仮に、短期金利0.3%上昇した場合、支払利息は年間で90百万増えます。(1期半年では45百万円)
新興銘柄で90百万円の費用増は、経常利益の8〜10%に相当しますので、最大、配当金が10%減少する可能性があります。従前の配当金が年間26千円/口程度の銘柄では、10%減は厳しいですので、当面、賃貸費用等の削減によってカバーするでしょうが、一時凌ぎではこれからの金融環境への適応は難しいと言えます。
■高株価銘柄で短期借入金の多い銘柄
老舗銘柄の中には、比較的高い短期借入金比率を持っている銘柄がありますが、こちらは、配当原資となる経常利益の額が大きく(年間配当金3万円/口程度)、600億円程度の短期借入金があっても、支払利息増は経常利益の1.5%〜2.0%程度ですので、配当金に与える影響は最大で年間で1,000円/1口程度です。

以上の単純計算で見ても、金利引上げは、未だ資産規模の小さい新興銘柄への影響が大きくなります。
但し、新興銘柄の中には短期借入金のない銘柄もありますから、一律には見られません。それでも、一旦、利上げがあればゼロ金利に戻る事はないでしょうから、例え、長期借入金であっても何れ支払利息増は避けられません。
一方、新興銘柄は資産規模拡大のため積極的に資産の追加取得を行ないます。しかし、不動産市場で価格が高騰しているこの時期に低い利回りの物件を取得すれば、ファンド全体の利回りを低下させてより配当金原資を少なくしてしまいます。
こうなると悪循環に入りますので、JREITの新興銘柄は資産の追加取得を慎重に考えなくてはなりません。又、借入金によるレバレッジで配当金を上乗せしていた場合は、更に、影響が大きくなりますから、投資家は、新興銘柄でLTVが高く、短期借入金比率も高い銘柄が資産取得を活発化している場合には要注意です。
勿論、資産運用会社もこの点は理解していますから、このような時期に4%程度のNOI利回りで凡庸な物件を取得する愚は犯さないでしょうが、高利回りを求めて地方都市の不動産購入に走る可能性があります。
このように書くと、新興銘柄に問題があるとの印象を受けると思いますが、実は、銘柄の問題と言うよりは、JREITへの進出時期が遅かった為に不動産市場の価格高騰の煽りを受けて、低い利回りの物件を数多く保有せざるを得なかったという事情があります。
そうは言っても、弱者に厳しいのは競争社会の常ですので、新興銘柄はこれからの金融環境では余程心して掛からなければ市場から置き去りにされる可能性すらあります。
見方を変えればこれも淘汰だとも言えますので、金利引上げによって、JREIT各銘柄の真の実力が見えてくるのではないかと考えています。  

 
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