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2006.10. 5.Up Dated.
新興銘柄の憂鬱(2)


 昨年の11月に同じテーマで取上げましたが、その後新興銘柄数も増えたことと、市場評価は依然として変わらないという事で、現在の状況について改めて考えてみます。

新興銘柄の資産運用会社に聞いてみると、昨年の新興銘柄と今年の新興銘柄の違いに市場認識の差が挙げられます。 昨年の新興銘柄では、上場に際して市場を読み違えたという面があり、実際、上場前の大口投資家回りでも感触は悪くはなかったという声が多かったのですが、今年の新興銘柄からは大口投資家の厳しい姿勢を感じている事と、上場前の市場評価に対する楽観論は聞こえてきません。 それにも拘わらず、今年は既に11銘柄が上場しています。これらの銘柄の上場準備は1年半ぐらい前から始まっていますので、やはり止まらなかったのだと思います。投資法人は、JREIT進出を準備して物件を集めていますので、途中で上場を断念したり延期したりすると借入資金の返済の問題も生じます。 実際に、上場延期した投資法人では、急遽リファイナンスをして凌いだそうですが、それでも半年間の延期が限度のようです。

一方、引受証券会社も営業攻勢を掛けていた時点では強気でも、実際に上場する際には弱気になっていますので、IPOの価格や引受手数料で資産運用会社の意見の違いもあるようです。 外部からはなかなか実態は分かりませんが、引受証券会社では、公募で消化出来ずに、市場で売るという事もあるようですので、上場後の株価の動きも渋くなるという事に繋がっているのかもしれません。

それでも、新興銘柄は取り敢えず上場を果したという一つの区切りはあるようですが、その後の見通しとなると一様に難しそうです。
上場間もない銘柄では、これから戦略を練り直すという事ですが、問題は、今の市場の状態がこの後も続くと予想した場合、具体的な方策が乏しい事です。株価が低迷している銘柄では、当初予定した外部成長が図れませんから、当面、内部成長に注力することになりますが、賃料上昇が期待出来るような物件は少ないので、目に見えた成果を挙げるのは難しそうです。
昨年上場した銘柄の中には、既にLTVが50%程度にまで達した所もありますが、今の市場でPOを行う事は難しいので、もう少し我慢するか、思い切ってPOを掛けるかの二択になります。
最近の銘柄の動きを見ていると、思い切ってPOという行動に出る所もありますが、株価の低迷している銘柄の大半は我慢しています。 然しながら、我慢さえしていれば市場環境が好転するという他力本願ではこの先銘柄の存続が危くなるとも言えますので、早急に打開策(実際は難しそう)を考える必要があります。
私の見通しでは、年内は未だ若干の猶予はありそうですが、来年からは、どの銘柄が生き残るのかという憶測が多くなると思いますので2007年は新興銘柄にとって正念場になりそうです。

 
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