今年に入って過熱気味に推移していたJREIT株価も、ようやく調整局面に入ったようで、JREITの将来にとっては朗報です。
年初から始まった勢いが続き、200万円/口を突破してしまえばまさにバブルの状態ですので、直前で止まったのは何よりです。
最近の株価の動きを見ていると長期金利とのスプレッドで株価が動いていますので、以前に議論されていたJREITの適正スプレッドについて、再度考える機会になりそうです。
現在のスプレッドは予想配当利回りに対して設定されていますが、配当金は様々な処理とプロセスを経た最終結果ですので、予想配当利回りで銘柄毎のスプレッドを算出するのはやや短絡的です。
本来は、真水に近い収益で比較し、スプレッドを設定するのが適当だと思いますが、真水に近い収益を何で捉えるかが問題です。
一つにはAFFO(不動産売却益を除いた当期純利益+減価償却費)を株価で割った利回りにスプレッドを上乗せする方法もあります。また、更に真水に近くするならば、NOI(不動産売却益を除く)利回りをベースにする方法もあります。
そこで、参考までにオフィスビル4銘柄の直近決算期の数値を調べると、以下のようになっています。
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(a)
実績配当金 |
(a/b) |
(b)
1口当り
AFFO |
(b/c) |
(c)
1口当り
NOI |
日本ビルファンド(NBF) |
19,224円 |
66.19% |
29,045円 |
82.95% |
35,015円 |
ジャパンリアルエステイト(JRE) |
17,521円 |
72.55% |
24,149円 |
87.62% |
27,562円 |
グローバル・ワン不動産(GOR) |
19,163円 |
70.82% |
27,059円 |
74.17% |
36,482円 |
野村不動産オフィスファンド(NOF) |
16,750円 |
74.92% |
22,356円 |
76.57% |
29,198円 |
これらの数字を元にして、長期金利+スプレッドで投資口価格を算出すると、次のようになります。
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aに対して
長期金利2.0%+スプレッド1.5%
で算出 |
bに対して
長期金利2.0%+スプレッド1.5%
で算出 |
日本ビルファンド(NBF) |
1,098,514円 |
1,659,710円 |
ジャパンリアルエステイト(JRE) |
1,001,200円 |
1,379,965円 |
グローバル・ワン不動産(GOR) |
1,095,029円 |
1,546,218円 |
野村不動産オフィスファンド(NOF) |
957,143円 |
1,277,503円 |
1口当りFFOは理論配当金の上限値を示していますので、実際には投資家に還元される事はありませんが、FFOは投資家に帰属しているものなので、一つの見方にはなります。
また、更に詳細に分析するには過去のデータを含めて時系列で分析する必要はありますが、少なくとも配当金だけで見るよりは実態に迫るのではないかと思います。
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