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2007. 9. 18.Up Dated.
政局の混迷

12日の安倍首相の突然の辞任表明によって政局が混迷していますが、マクロ経済にとって危険な時期に政局が安定しないのは不安です。
米国サブプライムローン問題の行方と影響度も見えない状態ですので、これから海外投資資金がどのように動くかは予断を許しません。現在、グローバルな投資資金はリスクに神経質になっていますから、政局の混迷によって日本経済の改革が停滞し、成長が期待出来ないと見られれば、日本の投資市場から撤退が始まるかも知れません。
既に、株式市場もJREIT市場も海外投資資金の動きによって大きく左右される状況になっていますので、海外投資家の見方や思惑は日本経済にとって大事なファクターです。仮に、政局の混迷が続いて市場で日本売りが進行すれば、株式も下落しますから投資信託等を通じて分散された個人投資資金にも打撃を与えます。
株式等の投資市場に変動は付き物と達観している政治家も居るかも知れませんが、確かに、単なる循環変動であれば神経質になる必要はありません。然しながら、海外投資家が、一旦、日本売りに流れれば呼び戻せるような材料の乏しい日本経済は長期低落に陥る可能性があります。

日本の政治は伝統的に国内の視点重視ですから、現在の政治課題は「年金」「政治資金」「国内格差」と言った国内問題に収斂しています。これに、イラクでの米国活動の支援に該当する自衛隊の給油活動という、国際政治の分野ではかなりマイナーな事例を引き合いにして野党が攻勢を掛けています。
海外から見れば、日本の海上給油活動の是非等は問題にならないレベルの内容ですから、これで政局が混迷するというのは不可解と映るかもしれません。勿論、年金等の国内問題や自衛隊の給油活動が国内政治にとっては重要な課題であることは分かっていますが、一歩引いて外から日本を見る視点も政治には求められます。国内と海外では、問題の重要度も認識・理解も異なるケースが多いですので、これらの相違を考慮して政治が動く事が必要です。
この意味では、今、最も大きな国際的課題はサブプライムローン問題ですので、これにどのように対処するのかは日本の政治にとっても緊喫の課題です。

「政治は事無きを第一とする」のが要諦ですので、サブプライムローン問題が何時しか忘れ去られるような方向に持っていく動きを次の政権に期待したい処です。
 
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