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2008. 9.26.Up Dated.
リプラス・レジデンシャル投資法人について

 9月24日、リプラス・レジデンシャル投資法人のオリジネーターのリプラス(株)が破綻しました。今後の行方が注目されそうですが、私から見れば却ってスッキリして出直しが出来るのではないかと思えます。

リプラスの破綻が発表されると、複数のマスコミから電話が入りコメントを求められましたが、質問はREITへの影響が主でした。
REITは、創設時点から倒錯隔離を強く意識して制度が作られているために、オリジネーターの破綻等の影響は限定的になります。
リプラス・レジデンシャル投資法人も即日にニュースリリースをHPに掲出し、その内容は、投資法人の上場は維持される事と、資産運用会社の財務には問題がないとの事です。

これはREITの仕組みから見れば当然の事です。
一般には親会社の倒産によって子会社が連鎖倒産するというイメージがありますから、株式投資等の視点から見ると違和感があるかもしれません。
投資法人の保有資産は資産保管会社によって管理されていますので、誰も勝手に手を出せません。その上、家賃収入で運営されていて僅か役員4人だけの事業体ですから、外的要因による影響は最小となる収益構造を持っています。
影響がありそうな点は、リプラスによるマスターリース契約ですが、実は、保有物件全てが信託受益権になっているので、家賃も保全されていますから、未収金の発生もありません。
従って、リプラス・レジデンシャル投資法人への実質的影響は無いとも言えます。
次に、資産運用会社への影響ですが、こちらについても収入は投資法人からの資産運用報酬(直近1年間の報酬額は431,300千円)ですので、投資法人が存続する限り収入は変わりませんから、財務的には特段の影響もありません。

唯一問題となるのは、リプラスが保有している株式(発行済株式の55%)とリプラスから出向している資産運用会社の人員の身分です。
発表によると、リプラスの保有株式は、第2位の株主であるアップル・リンゴ・ホールディングス・ビー・ヴィ又はその関連会社に譲渡される予定との事ですから、株主の異動だけで終わりそうです。
また、出向者の身分は一旦は不安定になりますが、資産運用会社のプロパーとして転籍することで身分は保全されます。
但し、給与体系や社会保険・福利厚生面では変更を余儀なくされますから、しばらくは落ち着かないという事もあります。

このように考えると、オリジネーターのリプラスの破綻の影響は資産運用会社へ出向している社員への影響に収斂するとも言えます。
私も若い時に同じような経験がありますが、転籍することで大半の部分は解決されてしまいますから、深刻な問題は残らないと言えます。
このように解説すると、マスコミ等はやや拍子抜けするかも知れませんが、元々、J-REITは安定を主として作られた仕組みですので当然だと言えるのです。
 
 
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