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2009. 1.30.Up Dated.
景気回復の起爆剤

 年が明けてから、企業の決算修正予想が続き、赤字転落や赤字幅拡大の動きが広まっています。その為、政府の経済対策も様々な分野に施さなくてはならず、財源も不足しますし、又、対策自体の有効性も落ちています。
元々、このような景気後退局面を、政府の経済対策だけで凌ぐことは出来ませんし、その対策もそろそろ絞り込まなければ、効果は散漫になってしまいます。
この意味からも、今年は重点施策をセーフティネットなのか、それとも景気刺激策なのかを決めねばならなくなりそうです。
景気刺激策も、従来型であれば公共投資の増加ですが、個人消費と企業の設備投資が落ち込み、更に建設投資も冷え込んでいる状態では、余程の大型公共投資を行わなければ景気を刺激することにはなりません。
こう考えると、景気の回復はかなり先になりそうなことは誰でも予想が付きますので、 「景気回復は2010年以降」という論は、わざわざ開陳する必要はなさそうです。
それよりは、どういう方法を採れば、2010年後半頃に回復の兆しが現れるのかとか具体的な提言が欲しいところです。

私はマクロ経済は専門外ですが、REIT及び不動産、そして投資環境を見ると、行先を失っている投資マネーを日本に呼び込むことが景気回復の起爆剤になると思っています。
問題は、どの分野に投資マネーを呼び込むか、そしてその手法は何かですが、我田引水ではありますが、私はREITは有力候補だと考えています。
日本の不動産は、欧米に比べれば傷は浅いですし、ましてREITは私募ファンドのような高値掴みをしていませんでしたから、ここへ投資マネーを誘引することは可能です。
但し、そのためにはREITの一層の充実が必要になりますが、それには先ず人材を集めることから始めなければなりません。
このように書くと怒られそうですが、デベロッパー等の不動産業界は当分回復が見込ませんし、既に構造的にフィットしなくなっていますので、大手デベロッパー等から優秀な人材をREITにシフトして、REITを先頭にして不動産のブレークスルーを狙う必要があります。
不動産業界にどんなに優秀な人材が居ても、ここ2年ぐらいは為す術はありませんし、単に頭を低くして大人しくしているしかありません。
これでは人材の無駄遣いですし、お天気任せの経営でしかありません。
一方、REITに人材をシフトし海外資金を呼び込み不動産状況の突破を図るという方法は、魅力あるチャレンジです。
私自身も以前からREITに掛けている夢は、質的に欧米を上回るという事ですが、今は正にその機会だと感じています。
その意味でも、REITを矢じりの先端にして突破しようとする気概と工夫を関係業界に求めたいと思っています。
 
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