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2009. 3.20.Up Dated.
個人投資家セミナーについて

 3月18日(水)に開催した個人投資家セミナーには、日本レジテンシャル投資法人とアドバンス・レジデンス投資法人の両資産運用会社が参加し、各々30分間の説明を行い、その後パネルディスカッションを45分行いました。

今回は、パシフィックホールディングスの会社更生法申請による日本レジデンシャル投資法人の行方に関心が集まりましたが、当日、資産運用会社のパシフィックレジデンシャル(株)の高野社長より、かなり具体的な説明がなされました。
勿論、内容的には投資法人のHPに開示された範囲内ではありましたが、投資家にとって最も気になる点である投資法人債の償還についての考え方や、資産運用会社代表者の姿勢について語られたのが良かったと思います。
特に印象深いのは、高野社長より投資法人の存続を第一として考え、その為には資産運用会社の存続すらも拘らないという姿勢でした。
これは換言すれば、投資法人の存続のためにあらゆる手段を講じるという決意であり、ひたすら投資法人維持に邁進するという強い意志表明でもあります。
資産運用会社がこのような考え方で進めば、投資法人の存続は可能ですし、様々な手法が選択出来ますから、投資家にとっては朗報だったと思います。

また今回のセミナーでは、レジデンスセクターの抱える収益ストレスの問題点が浮き彫りになったのも収穫ではないかと言えます。
REITの収益変動リスクについては、巷間、様々な憶測と見通しが飛び交っていますが、その大半は具体性を欠いていて、且つ、又聞きの類が多いように思います。
それに比べて、今回のセミナーでは、アドバンス・レジデンス投資法人から、具体的な数字を挙げての説明がありましたので、投資家はどの程度の収益変動を見込めば良いかの見当が付いたと思われます。

この個人投資家セミナーの舞台裏を明かすと、事前に打ち合わせをする事はなく、唯一パネルディスカッションの質問だけが事前に資産運用会社に送られるだけで、当日最初の私の講演内容は明かされません。
それでも私が指摘した問題点について、両資産運用会社もバックデータを持っていましたので、正直驚きました。
勿論こういう時期ですから、資産運用会社も説明機会が多いので、様々なデータを準備しているのだと思いますが、一般事業会社の代表者に比べると実務能力が高いと言えます。
仮にこれが大手不動産会社の代表者であれば、恐らく咄嗟に数字を挙げての説明は出来なかったと思いますし、それ以前に私とのディスカッションは避けるだろうと思います。
このように見ると、REITも大分進化してきたと思いますが、こういう厳しい時期こそ人を鍛えるのだと改めて感じました。
 
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