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2009. 4.10.Up Dated.
ニューシティ・レジデンス投資法人の新スポンサー決定

 4月7日、ニューシティ・レジデンス投資法人の新スポンサーが、入札の結果、ローン・スター・グループに決定されたと発表されました。
第一感としては「ローン・スターか・・・」というのが正直な感想です。下馬評でもローン・スターが有力候補ではありましたが、一方の有力候補はオーク・ツリーでしたので、最終的にはオーク・ツリーになるのではと思っていたため、やや意外感がありました。
タイミング良く、日経新聞に投資法人の合併に際しての税務上の取り扱いが明確になったとの記事が掲載されましたから、当局もオーク・ツリーを想定していたのかも知れません。
仮に、オーク・ツリーが新スポンサーになれば、俄かに、日本賃貸住宅投資法人(旧;リプラス・レジデンシャル投資法人)との合併が現実味を帯びてきますから、タイミングとしてはピッタリでした。
然しながら、結果はローン・スターに決定したため、当面は他の投資法人との合併はなさそうですので、今回の税務上の整理は今後の事例待ちになりそうです。

ローン・スター・グループによるニューシティ・レジデンス投資法人の買収の内容はHPで公表されていますが、この中で気になるのは公開買付価格です。
35,000円/口で平成21年11月20日〜平成21年12月21日の期間に買付となっていますので、既存投資主はこの価格で売却するか否かを決めなくてはなりません。
買付価格を35,000円とした根拠は発表されなかったようですが、恐らく5月13日に開催される投資主総会では何らかの説明が行われると思います。
また買付期間まで間がありますから、それまでに何らかの進展があるかも知れませんので、直ちに決める必要もありませんが、公開買付に先立つ第三者割当増資によって、ローン・スター側は発行済投資口数の約69%を握りますから、既存投資主は少数投資主になります。
更に今後5年間は配当金が出ないとの事なので、既存投資主にとっての選択余地が小さい事も確かです。

今回のケースで、REITの投資口は株式のように無価値にならないという事は示されましたが、残存価値の算定には若干の疑問もあります。
今回の入札をリードした資産運用会社及びフィナンシャル・アドバイザーの日興シティグループ証券は、ゼロ円でなければ良いと考えたのかも知れませんし、残存価値は新スポンサーの懐具合だと割り切ったのかも知れません。
元々、ニューシティ・レジテンス投資法人のように、いきなり民事再生申請を行うのは特殊例ですし、投資主にとっては初めが良くないですから、その後も多くは期待出来なかったとも言えます。
それでも、ニューシティ・レジデンス投資法人の破綻を契機にして、REIT支援策が発表されたり、他の資産運用会社にとって反面教師の役割もしましたから、全てが悪かった訳でないのが救いです。

 
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