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2009. 8.14.Up Dated.
プロジェクトX??

 私が連載している月刊プロパティ・マネジメントの編集者から、久しぶりにテーマを指定した原稿依頼が来ました。 この雑誌には2001年9月から連載を始め、既に8年経過していますが、最近の数年間は私の自由で原稿のテーマを決めていました。
ところが、今度の10月号では、私が会社勤務時代に参画した広尾ガーデンヒルスのプロジェクトについて書いて欲しいとの依頼が来ました。
広尾ガーデンヒルズについては、以前編集者に話した事はありますが、その時はプロジェクト関係者に在職中の人が多かったので執筆は出来ませんでしたが、今は関係者の大半は定年退職になりましたので、そろそろ書いても良いかなと思われます。

広尾ガーデンヒルズのプロジェクトは、私が参画した事業では最大規模のものですが、規模だけでなく事業そのものが、当時の不動産事業とは異なっています。
先ず、事業者が三井不動産・三菱地所・住友不動産・第一生命の4社共同事業になっていましたが、当時は、三井・三菱・住友の財閥系3社の不動産会社が一緒に事業するという例は殆ど存在しませんでした。
不動産の共同事業をリスク分散による事業リスク軽減と考えている人も居ると思いますが、実態は必ずしもリスクが軽減されず、逆に増大する方向に進みがちです。
その理由は「船頭多くして、船、山に登る」の類で、一社で行えばスムーズに運ぶことが事業者間の調整を必要とする事などが挙げられます。
又、事業が順調に運んでいる時は表面化しませんが、一度、不調に陥ると責任転嫁が始まり、途端に不協和音に満ちます。
後に、こういう共同事業にも、私は途中から参画したことがありますが、販売不振で建物が建築中にストップした状態で事業者同士が反目していて、販売会社をスケープゴートにしていた事業もあります。
私はその状態から参画しましたが、先ず事業者同士の協調体制を構築することから始めなければなりませんでした。
広尾ガーデンヒルズについても、当初はその懸念が先行していて、事業不振による事業者同士の反目と、敵前逃亡を心配する意見が、特に三井不動産から挙がりました。
このプロジェクトは総戸数1,200戸の規模でしたが、戸数よりも、その全てが億ションになるという未曽有の事業内容でした。
1ケ所に1,200戸の億ションを建築し、それを数年で販売するという計画は当時(今でも同じですが)の億ション市場の規模(年間販売戸数100〜150戸程度)からすれば無謀でしかありません。 又、どの事業者にもそのような経験はありませんから、何を参考にするかもなく、全くの手探り状態から始めなければなりませんでした。
私自身は、広尾ガーデンヒルズの前に、1,000戸と800戸の2件の大規模マンション事業に参画していましたので、大規模マンションの経験はありましたが、億ションではありませんから、広尾ガーデンヒルズは事前に目算が立ちませんでした。
それでも、事業関係者の中では大規模マンション事業の経験が豊富でしたので、少しは役に立つと考え、積極的に参画する道を選びました。
この私の考え方が発火点になって、広尾ガーデンヒルズが完全な共同事業方式になりましたが、共同事業方式に決まるまでは大変な交渉が必要でした。
この交渉経緯が非常に興味深いのですが、これを何処まで書けるかなと思っています。
他にも、未だ関係者の一部がそれぞれの事業会社の役員として在職中という事もありますのでデリケートな部分もありますが、このプロジェクトについて記述するのは私の役割でもあるかも知れませんので、編集者の依頼を引き受けました。
広尾ガーデンヒルズの事業が終了して既に25年近く経っていますが、今でも関係者による懇親会が毎年1〜2回開催されており、このプロジェクトは、まさに「つわものどもの夢のあと」ではないかと思っています。
 
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