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2009. 9.11.Up Dated.
ニューシティ・レジデンス投資法人が新たな再建策へ

 9月9日に開催されたニューシティ・レジデンス投資法人の債権者集会(2度目)で、現計画案が再否決された事で、ローン・スター・グループの支援を軸とした再生計画案は廃止になりました。
今後は、大口債権者が提案するビ・ライフ投資法人との合併を前提にした再生計画案に移行するようです。

以前もこのコラムで書きましたが、投資法人の合併による再生計画が最も自然な流れだと思いますので、REITとしてはこれが普通ですが、外部から見ると思惑が違ったようです。特に、前再生計画案を主導した監督委員(裁判所選任の弁護士)にとっては想定外の事態だと思いますが、それも、REITに対する認識が浅かった所以ではないかと思います。
また、昨年10月のニューシティ・レジデンス投資法人の破綻後にフィナンシャル・アドバイザーに就任した日興シティグループ証券の対応にも違和感があります。
証券会社がアドバイザーになりながら、投資主総会では個人投資家から反対意見を出され(これは投資口数割合で否決)、債権者集会では大口債権者の同意が得られなかったのですから、一体何をアドバイスしたのか疑問が残ります。アドバイザー・フィーをどの位得たのかは分かりませんが、果たして報酬に見合った仕事をしたのかと勘繰りたくなります。
このような疑問や経緯を抱えながら、ニューシティ・レジデンス投資法人の再生計画はリセットされ、合併に向けて再スタートされるようです。
既に投資法人の合併はアドバンス・レジデンス投資法人と日本レジデンシャ投資法人間で協議が始まっていて、日本コマーシャル投資法人をオリックス不動産投資法人とユナイテッド・アーバン投資法人が狙っているようです。

このようにREITの中で合併の動きが活発化すると、他の多くの銘柄も座視は出来ません。
今や投資法人の合併は重要なサバイバル戦略ですので、投資口価格が低迷している銘柄にとっては最優先検討課題です。
更に言えば、投資口価格が堅調な銘柄にとっても、合併は一つの課題です。
仕組み的に合併が難しい上位銘柄もありますが、そうでない銘柄はこの機会に一挙に外部成長を図るという方策にもなります。
勿論、被合併側の投資法人の保有資産査定が必要ですが、現実的に見ると、一つ一つの不動産を取得していく手間とコストを考えれば合併による取得はメリットもあります。
また、官民ファンドによるREIT支援策が行われる中で、合併はREITの自助努力にもなりますので、REITの合併について多くの銘柄が真剣に取り組むことは、REIT再生の第一歩になると思います。

 
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