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2009.11.20.Up Dated.
東京グロースリート投資法人とエルシーピー投資法人の合併

 11月17日に東京グロースリート投資法人(TGR)とエルシーピー投資法人(LCP)の合併が発表され、11月19日に合併説明会が開催されました。私もこれに出席して説明を聴きました。
この合併の当面の目標はデットへの対策です。 先ず、LCPの借入金約255億円が11月24日に返済期限を迎えますので、これのリファイナンス対策として、時間差はあるものの合併による負ののれん代を使って保有物件の売却を行うという手法です。
両者の合併によって資産規模は、約1,300億円になりますが、これは一時的な数字で、主としてLCPの保有物件を売却して返済原資に充てるようです。
仮に、最大限の規模の売却を行えば、500億円相当の資産売却もあり得ますが、今の不動産市況で、短期の売却を図れば、売却価格が更に引き下げられる可能性がありますので、一部のリファイナンスや別の借入も検討しているようです。
従って、先ずは、デットリスクを乗り越える事が優先されますので、エクイティにとってはもう少し先を見る必要があります。

説明会では、全く言及されませんでしたが、この合併はこれで終わりではなく、始まりである必要があります。
合併による資産規模は、保有物件売却によって1,000億円を下回るでしょうから、将来的には、更に合併を繰り返して資産規模拡大を図る必要があります。
現在のREITには、他にも財務的に苦しい投資法人がいくつかありますので、これらの投資法人が参集する核となる可能性もあります。
前にも書きましたが、REITの合併は垂直合併が望ましいのですが、中上位銘柄のダイナミックな動きがありませんので、下位銘柄同士で動かざるを得ません。
この状況が続けば、合併を模索している投資法人が、TGRとLCPが合併した投資法人に加わる事も考えられます。

これはこれで面白いのですが、やはり中上位銘柄の何処かが「この指とまれ」的に合併の核となるのも期待したい所です。
REIT業界再編の中で、乾坤一擲の勝負に出るような剛毅な投資法人が出れば楽しいですが、これは保守的な資産運用を続けてきた資産運用会社では難しい判断です。
REITの資産運用会社には、こういう大局的な経営判断が出来る人材が乏しいですし、スポンサーからの出向者である身分では単独では判断出来ません。
それでも、この状況でREITのトップを目指して大同合併に動けば、海外からの注目も浴びますから、大望のある人にとってはチャンスです。
本来は、このぐらいの器量のある人材が欲しい所ですし、REITにとっても小さな動きだけでなく、ダイナミックな動きが加われば、海外資金の流入も期待されます。
デットにとっては、取り敢えずの合併でも良いでしょうが、エクイティにはもっと夢が必要です。
投資はリスクがあってもワクワクするような感覚が無ければ追従してきませんので、エクイティを見据えた動きが欲しいと思います。

 
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