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2009.12.25.Up Dated.
年末のご挨拶

 この1年コラムをご愛読頂きありがとうございました。
このコラムは2003年末より毎週掲載を始めて既に6年が経過しました。 これ以前にも、2000年から別の個人HPで不動産証券とREITに関する情報や解説を掲載していましたので、そろそろ足掛け10年になります。
最初に個人HPを解説した頃は、新しい分野であった事も手伝い、色々な方からお問い合わせを頂きましたが、大半の方はREITという分野の成長性には懐疑的でした。
又、不動産の方向が変わると考えている人も少なく、まして私のような仕事は成り立たないという意見が多かったと記憶しています。
私自身はREITの成長は確信していましたが、一方このような仕事が成立するか否かという見通しは全く立たずに始めました。
然しながら、今日振り返ってみると、REITの成長には目覚ましいものがあり、当初の予測に近い状態にまで拡大しました。今はREITは調整期間に入っていますが、2001年〜2003年前半までの状況に比べれば遥かに充実しています。
一方で、一口にREITと言ってもかなり多様化したのも事実です。
銘柄数が増え、REITに関わる人達が増えた事も関係していますが、最初の6銘柄時代に比べると、認識の差や意識面での格差も広がりました。
多様性というのは、メリットもデメリットもありますので、これは当然の事ですが、今は拡散し過ぎた多様性が調整を迎えているように感じます。そして、その調整の一環として合併が起こっているのだと思います。

合併には資産規模の拡大等の物理的側面もありますが、反面、REITとは何か、何が主たる目的なのかという原理原則を改めて考える機会にもなります。
恐らく2010年も合併の話題には事欠かないと思いますが、その中でREITとは何かという原点に立ち戻って考える人達も多くなると思います。
2002年初頭に日本ビルファンド投資法人の資産運用会社を訪問した時に「REITは投資家とテナントによって支えられる仕組み」という点で認識が一致しましたが、これは今の状況では尚更明白な事実です。
但し、難しいのは投資家もテナントも不特定多数であるという点です。
私募ファンドのように特定の少数投資家を対象としているだけでなく、保有物件数の多さと回転からテナントも特定先だけに限って見ることも出来ないというのが実状です。
従って、REITのIRは広く社会に対して行うしかなく、社会に受け入れられるような常識を必要とし、更には良識を持って運用しなくては支持が得られないと言う事になります。
今は未だ一般事業会社のIRをなぞるような展開しかされていませんが、合併を機にIRを真剣に考えることになると思います。
REITにとってのIRは、まさに存立基盤への働きかけですから、本来は真剣度も熱意も一般事業会社とは雲泥の差があってしかるべきなのです。
そして不特定多数の他人を明確に意識すれば、自分たちの為すべきことは自ずと見えてきます。
狭い会社の中でしか物事を考えられない人達にとっては難問だとは思いますが、REITはそういう悪癖を取り除いてくれるかも知れませんし、換言すれば、そうでなくてはREITがこれ以上前には進めないという現実によって嫌が応にもその方向に押しやられるのではないかと思います。
そして、私自身も2010年は少しでもそういう方向に動くように微力を尽くしながら、今の仕事を続けていこうと考えていますので、来年も本年同様ご愛顧の程をお願いして年末ご挨拶に代えさせて頂きます。
この1年ありがとうございました。 又、来年も引き続き宜しくお願い申し上げます。
 
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