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2010. 4. 9.Up Dated.
経済成長について

 
日本の名目GDPの過去20年間の推移を見てみると以下のようになっています。



名目GDPは1996年に500兆円に達しましたが、その後は500兆円前後で推移する、所謂、低成長時代に入っています。
従って、日本の政策は低成長を前提として組み立てられる傾向にあり、特に富の分配を行う政治は、限られたパイの分配を調整する方向にシフトしています。
確かに現実を見れば止むをえないのですが、低成長を前提とした考え方は若い人にとっては面白くも楽しくもありません。
一方、団塊世代を中心としたシニア層は、限られた富の分配に注意を向けていて、選挙人の多さからも、政治はその声を無視出来ません。
その為か、低成長下における富の分配という考え方が主流になりつつありますが、次世代を担う若い人を惹きつけられない政策は国家の大計としては失格です。
しかも現状を見ると、20代の人達の非正規雇用が半数に達している状況ですから、これで低成長を前提としてしまえば、若い人たちの人生設計の夢が萎んでしまいます。

このような状況を打破するには、社会の中心に若い人を据えて、かつての殖産興業のような政策を採る必要があります。
現状を容認し守勢に回るような世代に国を任せていては、国力の衰えは必至ですし、結果として財政破綻をも招きます。
既に日本は調整機能を得意とする人達ではかじ取りが出来ない状態になっていますが、今まで蓄えてきた富を費消する事で先延ばしするだけの考え方が横行しています。
今の政権もこの考え方の域を出ませんから、目先の分配をいじる事が政治目的になっています。
このような現状が良くないのは誰でも分かりますが、最初の一歩が踏み出せません。
又、自己の利益を考えると現状容認を選択してしまう旧世代がそれを阻みます。
消費税を増税しても、その原資を成長に振り向けず旧世代の費消に使ってしまえば時間稼ぎにしかなりません。
こう考えると、骨太の政治家が現れて、消費税増税と経済成長政策をセットにした政策を掲げて欲しいと思います。
勿論、経済成長が始まれば格差は生じますし歪も出ますが、それを避けて通れば夢を失います。
元々「思いやり政策」なんてものは世間を知らないボンボンしか考え付きません。
人は何時でも何かと戦い勝ち負けを繰り返すのが常ですし、だからこそダイナミズムがあるのです。
このように至極当たり前の事を見ないで、物事を考えるのは老害でしかありません。
もう日本はまっとうな人達と考え方で運営されていかなければならない時期に来ているのだと思います。

 
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