コラムトップ
2012. 2.24.Up Dated.
REITの売買高
 
 REITはインカムゲイン投資商品という性格を有している為に、投資家は投資口を保有して分配金によるインカムゲインを得る投資姿勢が本来の姿と言われています。
従って、株式のように売買によって投資利益を得る商品とは異なり、必ずしも市場の売買高によって市場の活発化を計ることが出来ません。
然しながら、保有型投資商品であるREITがどの程度の市場取引になれば良いのかという点は今一つ明確ではありません。
REITの過去の売買高を見ると、2007年8月まで月間合計売買高が1兆円を超えていましたが、その後は減少し直近3ヶ月の月間売買高は3,500億円前後に留まっています。
また月間売買高と月初の時価総額を比較すると、多い時は2倍近くに達し、少ないと1倍を切ります。
次に、月間売買高と東証REIT指数の関係を見ると、売買高の多い時は東証REIT指数も上昇していますから、やはり売買高と投資口価格の上下は相関関係があります。

こうなるとREITの見方が分からなくなってしまいますが、ここは冷静に原理原則に則った見方をする必要があります。
REITは次期予想分配金/投資口価格による利回りが投資判断の要になりますので、出来れば分子・分母とも安定しているのが望ましいですから、取引によって現出される投資口価格も余り変動しない方が良いのです。
また分配金は資産運用会社の力量によって安定度が変化しますから、REIT投資では極力分配金の変動率が小さく、且つ、投資口価格も余り上下しないという形がベターです。
こうなると株式投資のように売買高によって市場の好不調を判断するのは適切ではありません。REITが誕生して10年を超えましたが、過去のトラックレコードを見ても、REIT取引の基準というものが明確ではありませんが、私の見方では、巡航状態は月間合計売買高が時価総額の1.0倍程度という形で推移し、スポット的に時価総額の1.5倍を上回って投資口価格が上昇するというのが理想的な取引パターンではないかと思います。

Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.