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2012.11.23.Up Dated.
新規上場銘柄への対応
 
 2012年の新規上場銘柄は、ケネディクス・レジデンシャル投資法人、アクティビア・プロパティーズ投資法人、大和ハウスリート投資法人(上場予定)、GLP投資法人(上場予定)の4銘柄になりました。
一年間に4銘柄が上場したのは2002年と2003年になり、REITの草創期のペースと同じです。この頃は銘柄数が未だ一桁台でしたので市場はウェルカムの状態でしたが、今は銘柄数は多くなっていますので、上場数の問題ではなく、久しぶりの新規上場という点でやはりウェルカムだと言えます。
但し、2002年の上場では基準価格割れの公募が2件、2003年は1件でしたから、この時期に比べると今年は厳しいIPO環境だと言えます。
過去のデータを見ると、基準価格割れのIPOは投資家にとって有利なケースが多いですから、やはりウェルカムだとも思われますが、今の市場環境を冷静に見れば、必ずしもIPOで購入しなくても良いという判断もあります。
長期保有を前提にしてREIT投資を行う場合、最も大切なポイントは上場銘柄の将来性ですが、目論見書だけでそれを見通すことは困難です。
また銘柄数が多くなったことで、相対的な強さや優位性も勘案する必要がありますから、これらの情報を得るには、上場後の動きや資産運用の考え方等も把握する必要があります。
一方、基準価格割れとなった投資法人は、上場後に格段の努力が必要となりますから、過去は、上場後に投資家に対する説明を積極的に行ったりポートフォリオの考え方を更に詰めた内容に修正したりしていました。
こう考えると、基準価格割れIPOは市場にとってプラスが多いですから、今年上場の4銘柄がそのような動きを採れば市場活性化に繋がりますが、今の所、上場済2銘柄にそのような動きは見られません。
大和ハウスリート投資法人とGLP投資法人が上場後にどのような活動を展開するかは分かりませんが、 厳しいIPO環境に奮発し、積極攻勢に出てくれればとも思います。
REIT市場はある意味では子育てと同じで、甘やかし過ぎるとだめですし、逆に厳し過ぎると萎縮してしまいますから、今のように基準価格に対して5〜10%レスの状態で公募増資を終え、その後も投資家が推移をチェックしつつ取引市場で拾うか否かを判断する状態が良いのだとも言えると思います。

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