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2012.12.21.Up Dated.
自民党政権の経済政策について
 
 衆議院選挙によって自民党政権が復活し、大型景気対策の期待感から株式市場も含めて投資市場に騰勢の気配が出ています。
REITもその影響から10月の日銀のREIT取得実施以後も国内投資家を中心として強気の姿勢が感じられます。特に、国内金融機関が買いを強めているようで、来年3月決算までは今の勢いが続くと予想しているのではないかと思います。
政治スケジュールを読むと、自民党政権が本格稼働するのは年明けから、そして色々な対策が検討され決定されるのが1月〜2月初旬、実施は3月位からとすると、相場が大きく動くのは、早くても1月末、遅ければ2月中旬になるのではと考えられます。
尤も、株式相場はもっと早いかもしれませんが、REITはこの程度のスケジュールになると予想されます。
但し、一概に相場が上昇するとは言えず、仮に大型補正予算を組んで国債を増発すれば、国債利回りの上昇を招きそれが他の市場に波及しますから、要求利回りの上昇によって価格が下がります。
それを避けるには、新発国債を市中消化とせずに、日銀に引き受けてもらう事ですが、日銀は既存の国債や資産買入基金として91兆円の枠を設定していて、それに更に20兆円の上積みを決定しました。(合計101兆円)
この上積み枠を新発赤字国債に充てるとすれば、他には回りませんから、資産買入枠の増加も必要になり、更に上積みされますから、日銀を当てにした経済対策という側面が強くなります。
それにしても財政的に苦しい国がこれだけ赤字国債を増発すれば、欧州の二の舞となるリスクが高まりますから、首尾よく景気が浮揚しなくては大変な事態を招きかねません。
日本の経済対策は伝統的に企業偏重で、企業の設備投資に頼る構造ですが、グローバルに競争している企業が政府の後押しで単純に設備投資を増やすことはありませんから、結局は公共投資等のばら撒きで一部の業界に恩恵をもたらすだけということもあり得ます。
仮に一歩譲ってばら撒きによって多くの企業が潤ったとしても、その利益が人件費に回る可能性は低いです。
企業は競争力確保の為には給与水準は上げられません。日本の賃金体系では、一旦給与水準を上げると長期的なコストプッシュを招きますから、それを避ける為に一時金の支給でお茶を濁します。勿論、賞与が増えれば多少は消費を刺激しますが、長期的な回復でない限り民間消費は盛り上がりません。
結局は、GDPに対する比率が50%台と言われている個人消費を直接刺激することは出来ず、一過性の景気対策で終わる可能性が高いのです。
これはある意味では常識的な見方ですし、短期的にどうこう出来る状況ではないのですが、目先の成績だけを気にするとこういう事態になりますが、これも日本の今の風潮だとも言えるかもしれません。

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