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2013. 1.18.Up Dated.
コンフォリア・レジデンシャル投資法人のIPO
 
 東急不動産系のレジデンス専門銘柄のコンフォリア・レジデンシャル投資法人の上場予定が発表されました。
東急不動産系は昨年6月に上場したアクティビア・プロパティーズ投資法人に次ぐ第2弾となりましたが、資産規模はアクティビアの半分以下となる約712億円ですから、IPOの規模も250億円程度と小振りになっています。
但し、コンフォリアのIPOは私募ファンド時代の投資主の保有投資口の売出がメインになっていて、基準価格50万円/口に対して54万円/口での売出を目論んでいます。
元々、IPOを売出とする例は少ないですが、まして現在のような市場状況ではレアケースとなります。
REITの投資実績を見ると、概して売出によるIPOは公募投資家にとっては不利になりますが、それは将来のキャピタルゲインを既存投資主に先取りされてしまうからです。
今回のコンフォリアのIPOも、50万円の基準価格の8%相当が既存の私募ファンド投資主に先取りされてしまう可能性がありますから、果たしてIPO価格がどの水準で決まるかが焦点になります。
投資セクターがレジデンス専門という事で、上場後の投資口価格の大幅上昇は見込めないセクターですから、常識的には50万円/口以下のIPOとなるのが普通ですので、仮にそのようなIPO価格になった場合は、売出はどうなるのかも注目です。
引受証券会社はこのような問題をどう捉えて引受しているのかも気になります。IPOの営業ではどのような説明をしているのか、プレミアム分が上乗せされたIPO価格を勧誘する投資家にどう説明するのかも関心があります。
私募の投資主が売出による売却益を得ようとするのは当然ではありますが、それに公募投資主が応じるのかが問題です。
投資口売却益を得る反対給付は何なのかを上手く説明出来なければ成立しない取引ですから、私から見ればかなり難しそうです。
尤も、私募側もある程度は覚悟していて、最悪は50万円/口でもと考えているものの、一応プレミアムを乗せて打診してみるという事なのかも知れません。
先に上場したアクティビアは、基準価格50万円に対して46万円と8%のディスカウントになりましたので、同じ東急不動産系としてコンフォリアは小規模IPOながらやや苦しい展開になる可能性もありそうです。

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