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2013. 5.17.Up Dated.
長期金利との関係
 
 10年物国債の利回りが5月10日から急上昇して、0.8%台/年で推移するようになりました。 0.8%台という数値は昨年9月頃の水準でしたから、アベノミクス以前の状態に戻っているとも言えますが、今は短期間でかなり動いています。

国債利回りの月間変動率を調べると、

年月 10年物国債利回り
の月間変動率
2012年11月 0.01
2012年12月 0.03
2013年1月 0.03
2013年2月 0.03
2013年3月 0.04
2013年4月 0.03
2013年5月 0.11

過去6ヶ月では殆ど変化はありませんが、5月は半月で0.11と4倍近い変動率になっていて、明らかに変調を来しています。

一方、REITの東証REIT指数との相関度を調べると、

年月 10年物国債利回りと
東証REIT指数の相関度
備 考
2012年11月 0.16 相関関係ナシ
2012年12月 0.88 順相関
2013年1月 -0.22 相関関係ナシ
2013年2月 -0.91 逆相関
2013年3月 -0.96 逆相関
2013年4月 -0.05 相関関係ナシ
2013年5月 -0.98 逆相関

従来は、余り相関関係が認められませんでしたが、今年2月からは完全逆相関とも言える動きを示し、4月は一旦消滅したものの、5月には再び完全逆相関になりました。
国債利回りの変調は日銀の施策との関係でしょうが、東証REIT指数との関連を見ると、その実態は材料探しの感があります。
元々、REITの投資口価格推移は国債利回りの動きを反映するものではなくなっていましたが、今年2月からの急上昇局面では、国債利回りの低下を一つの理由とした短期売買によって投資口価格が上昇していきました。
そして調整局面に入った4月は相関度が消滅し、以前の状態に戻ると思われましたが、5月に入り再び完全逆相関になりました。
過去6ヶ月の期間で見ても、両者の相関度は一定していませんから、投資口価格の形成根拠と言うよりは、短期売買の材料として利用しているだけだとも思えます。
このように見ると、国債利回りの推移をREITの投資口価格の予想に使うのは拙速ですが、売買材料という面では、国債利回りの変調は使えるのかも知れません。
又、一昨日に発表された東証の投資部門別売買動向では、4月のREITの取引金額が2.3兆円と3月の2.1兆円を上回っていますから、取引市場では依然として活発な売買が続いているようです。
3月と4月はREIT史上最高の月間売買高にまでなっていますから、今は売買材料探しに躍起になっているとも言えなくはありません。
従って、今後も関連のありそうな材料によってREITの投資口価格は変動すると予想されますので、短期売買主体にとっては、今までの利益を吐き出すことになるかも知れません。
一方、本来のREIT投資では、短期売買主体の思惑とは別に、今後の下限を予測し、投資タイミングを図れるようになるかも知れませんので、もう少し推移を見守るのが賢明だと言えます。

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